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amazarashiの永遠市ツアー ひたすらライブレポする

今年6月に開催された弾き語りライブに参加できず、深刻なamazarashi不足が続いていた日々だった。
最後にamazarashiのライブに行ったのは昨年の10月。今年はもうライブはやらないかもしれない、そんな覚悟を持って毎日を過ごしていたけれど。
アルバムの発売とツアーの開催の知らせを受け、指折り数えてその日を待って。いよいよ当日、私はその会場に勇み向かったのだった。

ライブには1人で行くことが多いけれど、今回は同行者がいた。一度amazarashiのライブに行きたい と、声を掛けてくれた友達。
今回のアルバムは暗い曲も多く、受け入れてくれるだろうか なんて心配していたけれど。そんなの、本当に、全くの杞憂だった。

01.俯きヶ丘

ライブが始まった。秋田さんの声が会場に響いて、ステージに影が伸びる。心がざわざわして待ちきれない。聴いているのに、早く聴きたいとせっついてしまう、不思議な気分だ。


02.インヒューマンエンパシー

息をつかぬまま次の曲。
音に、声量に、映像に、惹き込まれて。かなり後方の席ではあったものの、ここまで浴びられるものなのか と衝撃を受けてしまう。前回も、きっと同じことを思っていたに違いないが。

かっこいい。

いろんな感情は言葉として成立せずに、月並みな言葉に集約されてしまったようだ。

03.下を向いて歩こう

さわやかな曲調と 薄暗い歌詞の絶妙なバランスが大好きで、すごく楽しみにしていた。
映像と演者、どちらも見逃したくなくて思わず目が泳いでしまう。

星が落ちていたら拾うつもり という歌詞がずっと心に残っていて。もしかしたら 下を向いて歩くことで何かに気付くことだってあるんじゃないか と、そんなことを思わずにはいられない。
薄暗い中に それでも、だからこそ と、逆説の強さがある曲だと 個人的にはそう感じている。


04.ディザスター

密かに聴きたいと思っていた曲。
当たり前だけれど、アルバムツアーはアルバム内の曲をおおよそやってくれるので本当に嬉しい。

名シーンだけの人生じゃいられないな
不成功がもたらす栄光
延々待っても来ない順番は 不名誉が僕らの名誉で
ディザスター 危機が訪れて あれがはじまりだと
のちに知るんだよ

名シーンだけの人生じゃいられない。
この歌詞、初めて聴いたときはすごくすごく衝撃だった。
どうしようもない自分も、消したい過去も。全部繋がって それが未来になることだってある。
災難がどう響くのか、それによって人生がどう転ぶのか。そんな人生の展開を、丸ごと楽しみにできたらどんなに良いだろう、なんて。

05.14歳

えっ、と 心の中で小さく声が漏れた。まさかこの曲を聴くことができるとは。
好きな歌を歌う と、秋田さん自身の宣言にも聴こえる歌詞。文字で見て聴いて、噛み締めた。

07.辻褄合わせに生まれた僕ら

この曲の映像が好きで、思わず食い入るように観てしまう。
力強い という単語で伝わるのかはわからないけれど。1曲目から全く衰えない迫力に驚いて、真っ直ぐに向かってくる歌詞と音に、少し泣きそうになった。


10.月曜日

イントロを聴いて、聴き間違いだろうか?と思ったくらいだ。
月曜日って、ライブでやってくれる曲なんだ。そんなよくわからない感想を押し込め、感覚を音に預ける。
先の日程のライブに参加する人は、これからこの曲を聴けるんだよな。ふと当たり前のことを思って、途端に羨ましくて悔しくて たまらなくなった。

12.超新星

映像が綺麗で。これは手放せない と響く声を聴きながら、すっかり魅了されてしまった。

所有権は僕以外あり得ない
一小節で世界凍り付かせたい

この歌詞に、諦めない炎のような 闘志のようなものが透けている気がして。amazarashiはきっと続くのだと思って、勝手に少し安心してしまう。
きっとなにかを〝創る〟人はみんなこの気持ちを持っていて。持ち続けている間は、創り続けられるのではないだろうか。そんなことを考えた。


13.自由に向かって逃げろ

もしかしてセトリ落ちしているのでは、とも思っていたけれど。イントロが鳴った途端、待ってましたと言わんばかりに顔を上げた。
この曲の中に、どうしても秋田さんの声で、今日、聴きたいフレーズがあったのだ。

巨大なリバークイーン号が太々しく川を行く
その横をちっぽけな筏ゆらゆら
「いいか見ろよあの筏が 僕らなんだ 今に沈みそう
だけど自由だ 君次第だ あの夕日を 打ち抜くのだって」

アルバムが発売されてから、今日のライブまで1週間程度。その日数の中で、このフレーズを何回聴いただろう。

最近、思うところがあって。
もっと周りの人みたいに上手に生きられないのか。
思考が幼いから生きづらいのではないか。
割り切って、押し込めて、我慢すべきじゃないか。

だからずっと、聴きたくて。
自由だ 君次第だ と、その言葉だけで、私は私としてこの先 まだやっていけそうな気がしたのだ。なんて、大袈裟だろうか。


MC

あと2曲になりました という宣言とともに、ぽつりぽつりとマイクに向かって喋る。
療養していたとき、〝もうダメだ〟という気持ちと〝まだやれる〟という気持ちが闘っていて。後者がギリ勝ったから、いまもこうして楽しく音楽をやれている、と。そんな内容だった。

多様な単語で歌詞を描く 秋田さんの〝ギリ勝った〟という、口語すぎる口語に思わず口角が緩む。
隣を見ると、友達も同じような顔をしていた。

無理はしないでほしいけれど、穏やかに生きていてくれたらそれで充分だけれど。それでも歌い続けてくれたら嬉しいと、贅沢だけれど、押しつけだけれど、そう思っている。
amazarashiは過去の歌からも映像からも、いつだって救いの手を差し伸べてくれる。それでも。
この先もずっと、新しい曲をつくって、新しいライブを観せてくれたとしたら。それを楽しみに、この世界は生きるに値するのではないかと そんなふうに思えるのだ。

全ての曲が終わって、照明が明るくなる。
一瞬だった。かっこよかった。迫力があった。映像が綺麗だった。元気そうでよかった。いろんな感情が溢れて、それから 〝終わってしまった〟という事実に呆然としてしまう。

隣を見て、「すごかったでしょう?」と、まるで自分の手柄のように笑いかけた。
友達も「うん、本当にすごかった」と、まるで私の手柄のように返事をしてくれる。

「すごかったね」
「かっこよかったよね」

語彙力が消えた会話を繰り返しながら、でも確かに興奮と感動はわかり合えていると確信しながら。
駅までの長い道のりを、熱気を纏って歩き始めたのだった。

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