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編集者という仕事を分解してみた(5)

夏休みでドタバタしていたらあっという間に1か月も経ってしまいましたが、この連載もいよいよ最終回です。張り切って行ってみましょう。


…と、その前に前回までのおさらいです。

過去4回のおさらい

<1回目>
編集者の仕事で一番大切なことは、作家との信頼関係を作ること。

<2回目>
校正は読者の読みやすさのため、吟味は企画の具現度を高めるため。

<3回目>
「ラフ」が書ける編集者はデザイナーにもなれる。

<4回目>
編集作業で編集者は「読者と編集者が交流できる場をデザインしている」。

という感じでした。今回は最終回ということで、「できあがった本をどう告知するか?」についてお話したいと思います。

共同通信社様など複数メディアで告知していただける快挙達成!

『アメガミチルヨ』をAmazonで出版した後、私にとって最大の課題は、いかに多くの人にこの本の存在を知ってもらうか?でした。SNSを活用して友達経由で広めてもらったり、読書会を開いてみたりとしてみましたが、未知の読者との出会いにまで広がりません。そこで、下記のサービスを使ってみることにしました。

1配信お試しで無料配信OKということだったので配信~。

すると…。嬉しいことに、それから1週間後に共同通信社様など複数の会社様に告知をしていただけることとなりました! 詳しくは下記ご覧ください。

思わず「載せたくなる」告知とは何だろう?

ビギナーズラックでたまたま拾っていただけただけ、かもしれませんが…笑。
私はダイレクトメールや広告などを作った経験が数年あるので、それを生かして今回の告知を作りました。なので、告知をメディア様に拾ってもらえるように、自分としては工夫しているポイントがあったのです。
効果があるかどうかはわかりませんが笑、どなたかの参考になると嬉しいのでお教えしますね。

(1)キャッチコピーで時期訴求を明確にする

メディア様の立場に立ってみると想像しやすいと思いますが、メディア様は大量にある商品・サービス告知を毎日毎日チェックしているわけです。で、その中から掲載するものを選ぶのですが、告知物が大量にある場合、よほどの思い入れがある商品・サービスでない限り、「掲載したいものを選ぶ」以前に「掲載しないものを選ぶ」作業が発生します。
だから、告知を作っている側としては、メディア様の最初の振り落としの段階で、「掲載しない」というラベルを貼られないようにしないといけないんです。
このときに最低限満たしておくといいのが、キャッチコピーで商品紹介に「時期訴求」を加えることです。
具体的に説明します。
『アメガミチルヨ』の告知を出したのは5月のGW直後でした。5月というと何を思い出しますか? 連休、旅行、こいのぼり、柏餅、五月病…。そう、五月病です!(突然ですが笑) 
『アメガミチルヨ』という絵本は人生に悩んでいる主人公が自分を取り戻す物語です。それを読みたくなる人は誰でしょう? ズバリ、人生に悩んでいる人、ちょっと疲れている人です。これを5月という広告を出す時期にはめると、まさに「五月病」を意識した本の紹介をすればいい、ということになります。
そしてメディア様は、おそらく振り落としの段階では「キャッチコピーとメイン画像しか見ません」。これはほぼ確(私もそうだったから)。画像はナカソネさんのおかげで素晴らしいものが出来上がっています。というわけで、キャッチコピーに商品の特性と告知を出す時期の読者の特徴をガッちゃんこしたクリエイティブを突っ込んだのです。その結果がこちら。

5月って心が疲れて泣きたくなっちゃうこともあるよね!

さて、私の告知を拾ってくださった共同通信社様の告知を見てみましょう。

私が書いたキャッチコピーを生かしてくれてます!
来た!五月病訴求で読者に呼びかけています!

という感じです。よく考えてみると、メディア様にも「読者」がいます。読者の共感や興味を引けるコンテンツを掲載しないと、読者が離れてしまいます。だから、メディア様としても、読者が読んでくれる今この瞬間に合った提案がしたくなるわけです。そこを理解して、メディア様が拾いやすくなるように、キャッチコピーで時期訴求をはめてあげると、掲載可能性はぐんと上がると思います。

(2)AIに客観的な文章を書いてもらう

valuepress様の場合、告知FMTがかっちりと決まっていました。ChatGPTをはじめとする対話型AIはフォーマットが決まっているものに文字を埋める作業が得意です。
そこで『アメガミチルヨ』の絵本の中身やそれまでに書いたnoteの記事、AmazonのレビューなどをChatGPTに参照させて、FMTに合わせて告知文章を記述させました。
もちろん思うようにいかない部分もいくつもありましたが、それ以上にメリットがありました。それは客観的な視点で文章を書ける、というところです。
具体的に説明します。
最初に私が用意した絵本の紹介文は以下でした。

全体のあらすじですね。

この文章やほかのレビューなどを参考に、AIがFMTの別の個所を埋めてくれました。

いい感じでまとめてくれるのう。

さらに3つの特徴を入れなければならなかったのですが、ここもうまいこと書いてくれました。

おお、教えてないのに内容を分析しとる。

自分で書くことももちろんできたのですが、今回はAIが書いたものを採用しました。それはちょっと客観的に読者に向けた文章を書いてくれているからです。頭までずっぽり当事者になっている私では思いもつかないような観点で、AIは文章を生成してくれます。役に立たない文章もあるにはありましたが、それらもひっくるめて、告知内容を一歩引いて冷静に見ることができたために、初めて読む人の気持ちに近いところで仕上げることができ、それが伝達速度を上げたように思います。

ちょっとした工夫ではありますが、こうしたポイントとメディア様のニーズがうまくかみ合っての掲載だったんじゃないかなと分析しています。ともあれ大変光栄でした。

最後に:編集者の仕事をまとめてみよう。

というわけで、全5回で編集者の仕事について棚卸してみましたが、皆さまいかがでしたでしょうか。詳しく書かなかったものもありますけど、最後の最後に編集者の仕事内容の全貌を箇条書きにしてみます。
・ファシリテーター
・編文家
・デザイナー
・スパルタ教師
・ディレクター(場づくり)
・広告営業マン&販売者
・物流管理
・プロデューサー(スケジュール、人材&金管理)
みたいな感じでしょうかね。なんか一杯やってるなあ。。。笑
まあ、表に立つことはほぼない役割ですけど、1冊の本を完成させるべくあくせくやっている内容が少しでも皆様に伝わったのなら、とっても嬉しいな~と思います。

今回題材にしている『アメガミチルヨ』はAmazonで購入できます。よかったら手に取ってみてください。
ここまで読んでいただき、誠にありがとうございました!


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