『Egg〈神経症一族の物語〉』第九章
「やばい9時だ。くっ! 頭が痛え…」
大阪に取材に来ている高藤隆治は、カーテンが閉まった薄暗い部屋でのろのろと体を起こし、けたたましく鳴っている目覚まし時計を止めた。
ここは編集長の五十嵐が大阪で借りている四畳半のアパートの一室だ。昨晩は大阪の商工会から情報をもらおうと接待をしていた。やっとのことでセッティングできた商工会会長との席であったし、会長から勧められた酒を飲まないという粗相はできない。隆治は酒を浴びるように飲んだ。しかし2次会、3次会と席が進むにつれ、ちゃんぽん