『Egg〈神経症一族の物語〉』第2部 第六章
8時になり、オレこと高藤哲治は、うっすら痛む頭を気にしながら、自転車にまたがって家を出た。
ペダルをこぐと、心臓がドクドクと速いピッチで動き始める。血流が上がるのがよくないんだろうか? オレのこめかみの痛みは、ずんずん悪化し始めた。
大体さ、やっと夏休みになったのに、夏の間ずーっと塾に行けって、ちょっとひどいと思うんだよな。
うちのクラスで塾に行っているのは、オレを含めて50人中たった5人だ。
しかも夏期講習に行く他のやつらは、妹の由美みたいに小学校からオールA