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毎週水曜更新『Egg〈神経症一族の物語〉』第2部 1978

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1978年、中学2年生になった高藤哲治は勉強が大の苦手。受験戦争についていけない哲治は新しくオープンしたゲームセンターでインベーダーゲームと出会う…。 神経症の両親が作る「心をが…
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『Egg〈神経症一族の物語〉』第2部 第三十三章(最終回です→第3部は9/25より公開)

 「はあっ! はあっ! はあっ!」  どうしたらいいのか、どこへ行ったらいいのか。何一つ…

『Egg〈神経症一族の物語〉』第2部 第三十二章

 さっきまでお父さんだった「青鬼」は、ソファからゆらりと立ち上がり、オレこと高藤哲治と向…

『Egg〈神経症一族の物語〉』第2部 第三十一章

 鶴川駅でオレこと高藤哲治はバイクで送ってくれた川上太一さんと別れた。  自転車に乗り換…

『Egg〈神経症一族の物語〉』第2部 第三十章

 「うわあ! かっこいいですね!」  国鉄原町田駅の線路沿いに止められていた太一さんのバ…

『Egg〈神経症一族の物語〉』第2部 第二十九章

 スペースインベーダーでついに瞬間ランキング1位になったオレこと高藤哲治は、夜になってサ…

『Egg〈神経症一族の物語〉』第2部 第二十八章

 一周忌から1年ほど経った、小学校の1学期の終業式の日のことだ。 夜遅くに帰宅して夕飯を…

『Egg〈神経症一族の物語〉』第2部 第二十七章

 そんな高藤組は高藤誉の一周忌を待たず、1974年に解散した。  跡取りである息子の隆治は組を継ぐ気は一切なかったし、妻のいちも自分の代でこの世界から足抜けしたいと考えていたからだ。  それで一周忌を節目として、実力のある連中に組を分割して渡し、高藤家は組の運営から完全に手を引いたのである。  いちは義理の娘の弘子と孫の正彦、小間使いの東海林勝、料理人の高橋や運転手、その他行き先がない者だけを数名自宅に残した。今後はバーを建て替えて小料理屋を経営すると言う。  前を向いて生き

『Egg〈神経症一族の物語〉』第2部 第二十六章

 「まだ若かったころ、儂は東京で歯医者の助手をやっていたんじゃ。  ちょうどお昼の時間だ…

『Egg〈神経症一族の物語〉』第2部 第二十五章

 「今日は命日か」  編集部でカレンダーを見ながら高藤隆治は呟いた。8月22日。五年前の…

『Egg〈神経症一族の物語〉』第2部 第二十四章

 「そうそう。お向かいの佐藤さんの話、聞いてるかしら?」  私こと高藤恵美が、買い物かご…

『Egg〈神経症一族の物語〉』第2部 第二十三章

 「そういえば、朝、哲治君が自転車に乗って出かけるところを見たわよ。塾に行っているの?」…

『Egg〈神経症一族の物語〉』第2部 第二十二章

 高藤恵美は台所で洗い物を終えて、うーんと伸びをした。  「よし、洗濯と掃除と洗い物はこ…

『Egg〈神経症一族の物語〉』第2部 第二十一章

 そんなオレだったけど、一度だけ女の子を好きになったことがある。中2のときに同じクラスに…

『Egg〈神経症一族の物語〉』第2部 第二十章

 大体、オレこと高藤哲治が男子を好きになったのは、女子が苦手だということも原因だと思う。  小学校のとき、女子はでかくて偉そうでおっかなかった。オレは小学校までは前から2番目のどちびで運動音痴だったし、勉強もできなくて要領も悪かったから、しっかりものの女子たちからはしょうもないやつだと思われていた。  そして中にはオレをいじめる嫌な女もいた。 ・・・  小6の頃だ。  いつも何かとオレに嫌がらせをしてくる小林っていう女が、休み時間にオレが席を外した瞬間に、オレの消しゴムを