『Egg〈神経症一族の物語〉』第2部 第二十七章
そんな高藤組は高藤誉の一周忌を待たず、1974年に解散した。
跡取りである息子の隆治は組を継ぐ気は一切なかったし、妻のいちも自分の代でこの世界から足抜けしたいと考えていたからだ。
それで一周忌を節目として、実力のある連中に組を分割して渡し、高藤家は組の運営から完全に手を引いたのである。
いちは義理の娘の弘子と孫の正彦、小間使いの東海林勝、料理人の高橋や運転手、その他行き先がない者だけを数名自宅に残した。今後はバーを建て替えて小料理屋を経営すると言う。
前を向いて生き