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毎週水曜更新『Egg〈神経症一族の物語〉』第2部 1978

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1978年、中学2年生になった高藤哲治は勉強が大の苦手。受験戦争についていけない哲治は新しくオープンしたゲームセンターでインベーダーゲームと出会う…。 神経症の両親が作る「心をが…
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#群像劇

『Egg〈神経症一族の物語〉』第2部 第九章

 「あれ? お前、哲治?」  声のする方を見上げると、バリケードのてっぺんで、リーゼント…

『Egg〈神経症一族の物語〉』第2部 第八章

 ドクンドクンドクン……。  頭が痛くて吐き気がする。胸の中にぐつぐつと煮えたぎるお父さ…

『Egg〈神経症一族の物語〉』第2部 第七章

 夏休みとはいえ、朝の電車は出勤するサラリーマンや遊びに行くお母さんと子供たち、単語帳を…

『Egg〈神経症一族の物語〉』第2部 第六章

 8時になり、オレこと高藤哲治は、うっすら痛む頭を気にしながら、自転車にまたがって家を出…

『Egg〈神経症一族の物語〉』第2部 第五章

 息子の高藤哲治がのっそりとキッチンを出ていく様子を見送った恵美は、早速食器を片付け始め…

『Egg〈神経症一族の物語〉』第2部 第四章

 お父さんを玄関まで見送ったお母さんがキッチンに戻ってきた。そして使い終わった食器を食卓…

『Egg〈神経症一族の物語〉』第2部 第三章

 深夜1時を回るころ、オレこと高藤哲司は自宅に到着した。自宅は大きな戸建てばかりが立っているエリアの一画にある。お父さんの高藤隆治が金融業界専門の業界誌の社長として成功して、うちはこの辺でも一番大きい家を建てていた。辺りはしんとしていて、自転車のチェーン音が妙に響く。オレは高藤という表札がかかっている大きな門扉をそろそろっと開けて家の敷地に滑り込んだ。  うちの庭で飼っているビーグル犬のシュヴァルツがくーんと鼻を鳴らしてオレの脚にすり寄ってきた。オレはかがみこんでシュヴァルツ

『Egg〈神経症一族の物語〉』第2部 第二章

 深夜の誰も通らない山道を、オレこと高藤哲司は友人二人と自転車で走っていた。まだ体の芯が…

『Egg〈神経症一族の物語〉』第2部 第一章

 東京都町田市のはずれの山と田んぼの間に、鶴川街道とつながる予定の道路がある。通称「16…