『Egg〈神経症一族の物語〉』第2部 第四章
お父さんを玄関まで見送ったお母さんがキッチンに戻ってきた。そして使い終わった食器を食卓から片付けながらオレこと高藤哲治に言った。
「哲治、夏休みの塾が今日から始まるでしょ。宿題をきちんとやって、遅れないように行きなさいね。お父さんが『哲治はもっと勉強しないとダメだ。勉強量が足りてない。努力不足だ』って言っていたわよ」
「ん~」
朝ごはんを口の中にもくもくと放り込みながら、適当な返事をしているオレの姿を見て、お母さんが更に言った。
「大体お前は楽観的すぎるのよ。これからの社