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肋骨しめつけバンド

分厚いサラシのようなものを胴にきつく巻いて暮らすようになって1週間。いまわたしの肋骨にはひびが入っていて、痛みの軽減のためと治癒を助けるためにその肋骨しめつけバンドを巻くことになったのだが、シンプルに苦しいし、暑くて煩わしい。せめて冬場なら腹巻きを兼ねられて良かったのだろうが。気を抜くと奇声を上げながら胴体からバンドをもぎ取り投げ捨てそうになるくらいには鬱陶しい代物だ。それでも毎日巻いてせっせと肋骨をしめつけているのは、やはり、巻くと痛みがかなり抑えられるのだ。

子どもが「苦しいのになんで巻くの?」と訊いてくれたので嬉々として上記のことをダラダラ語った。すると

「苦しいのと痛いのとどっちか選ぶってこと?困っちゃうね」

と完璧な要約が返ってきて舌を巻いた。

そもそもなんでヒビ入り肋骨人間になっているかというと、ボルダリングジムで調子に乗りすぎたのが原因だ。壁のぼり楽しすぎて考えなしで動き続けてるうちにただでさえ洗練されてない動きがさらに鈍くなり、鈍くなってるのにも気づかないままルンルンでのぼり続けていた。それである瞬間、腕を無茶な方向にガッと伸ばしたら脇腹がピシッと。あ〜あ。

医師が電子カルテに「ボルダリング再開は1ヶ月後以降」と書き込むのをうなだれて眺めた。ボルダリングで調子に乗ったせいでボルダリングができなくなるとは。

インスタグラムを開けばボルダリング名人のあらゆる壁のぼり動画が流れてくる。肋骨しめつけバンドを巻いたわたしは指をくわえてそれを見る。はやくまたのぼりたいよう。

ヘッダーは調子に乗っていたときのわたし。



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