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12球団ドラフト展望⑫~中日編・高橋と五十幡をめぐるせめぎ合い~

高校生ナンバーワン投手の高橋宏斗(中京大中京・投手・右投)がプロ志望を表明する数日前、文春野球コラムにて、「ドラゴンズ勝手にドラフト予想座談会」の模様が掲載された。

3名の有識者が中日のドラフト展望をする中で、高橋の1位指名とともに、1位指名もあり得る韋駄天の五十幡亮太(中央大・外野手・左打)の2位指名を夢見る内容となっている。

大前提として、五十幡の2位指名は他球団の動向に左右される。1位で他球団に指名されないのは勿論のこと、2位指名においても、セ・リーグ2位(10月17日時点)の中日より先に指名する球団が悉く五十幡を回避する必要がある。

以上のことを考えると、高橋と五十幡のダブル獲りは困難を極めることが予想される。しかしながら、どちらかを断念するのは諦め切れないので、当日のシミュレーションをしながら、ここではわずかな可能性を模索したい。

1 一回目の入札

仮に1位指名した高橋の交渉権を獲得できたとしても、五十幡もドラフト1位で消える可能性も大いにある。まずは五十幡が1位指名されるパターンを考えたい。各球団の補強ポイントや、メディア報道を基に以下のとおり初回の入札が行われるものと仮定したうえで、話を展開する。

オリックス:佐藤輝明(近畿大・内野手/外野手・左打)

東京ヤクルト:早川隆久(早稲田大・投手・左投)

北海道日本ハム:早川隆久(早稲田大・投手・左投)

広島東洋:早川隆久(早稲田大・投手・左投)

埼玉西武:佐藤輝明(近畿大・内野手/外野手・左打)

横浜DeNA:伊藤大海(苫小牧駒澤大・投手・右投)

東北楽天:高橋宏斗(中京大中京・投手・右投)

阪神:佐藤輝明(近畿大・内野手/外野手・左打)

千葉ロッテ:早川隆久(早稲田大・投手・左投)

中日:高橋宏斗(中京大中京・投手・右投)

福岡ソフトバンク:佐藤輝明(近畿大・内野手/外野手・左打)

読売:佐藤輝明(近畿大・内野手/外野手・左打)

初回の入札において、高橋が指名が重複してしまうため、中日が抽選で高橋の交渉権を獲得することが大前提だ。ここでは、中日・与田監督が今年も地元のスター候補生を引き当てたこととする。

初回の入札では高橋のほかに、佐藤と早川に複数球団が入札することになる。両選手の抽選結果によって、「サニブラウンに勝った男」の命運は変わってくる。

2 ドラ1・五十幡の可能性 

二回目の入札で五十幡を入札する可能性が高いチームとなると、センターのレギュラーを固定できていない東京ヤクルト、ポスト・西川遥輝を欲する北海道日本ハム、即戦力外野手の指名を公言した読売の三球団が挙げられる。

先述の三球団が抽選を外してしまうと、当初の予定を変更して五十幡を繰り上げた形で1位指名する可能性が出てくる。1位指名に関しては、読売が佐藤、北海道日本ハムが早川の交渉権を獲得できることが望ましい。

東京ヤクルトに関しては、投手陣の立て直しが不可欠となっている現状を踏まえると、栗林良吏(トヨタ自動車・投手・右投)をはじめとする即戦力投手に再度入札することも考えられる。しかしながら、ドラフト全体の流れを考えると、フリーエージェント権を取得した山田哲人の万が一に備えて牧秀悟(中央大・内野手・右打)の交渉権を獲得することが、中日が五十幡を指名する上では都合がよい。

早川の交渉権を獲得してしまうと、最初の12名で五十幡の名前が呼ばれなかった場合、2巡目で獲得するケースが想定されるだけに、東京ヤクルトは1位・牧が理想的だ。

3 13人目~19人目の流れ

五十幡の名前が最初の12人に上がらなかったとしても、中日が2位で指名できる保証は全くない。なぜなら、読売を除くライバル2球団は中日より先に2位指名を行うからだ。

1位・広沢克己(明治大・内野手・右打)

2位・秦真司(法政大・捕手・左打)

東京ヤクルトは、彼らを指名した1984年を最後に1位・2位で野手の連続指名をしていない。仮に1位・牧となった場合、立て続けに野手を指名するとは考えづらい。となると、投手を2位で指名する公算が高くなる。

一方の北海道日本ハムは、ドラフトにおける球団の方針となっている「ナンバーワン選手の指名」に成功した次は、弱点の捕手や西川の後継者となる選手の獲得を視野に入れることになる。中日にとっては、ここが最大の難所となるはずだ。

北海道日本ハムが五十幡を回避するとしたら、以下の場合だ。

① (ポジション問わず)2位までに指名したい選手が他に残っていた場合

② 外野手よりも捕手の指名に重きを置いていた場合

ここでは特に②の場合を想定したい。今年のドラフト戦線にて、2位までに指名しないといけないであろう捕手となると、古川裕大(上武大・捕手・左)が挙げられる。北海道日本ハムが古川を指名するためには、14番目以内に指名されないことが前提になる。

12球団を見渡して、捕手を上位指名することが予想される球団として、カギを握るのがオリックスだ。

オリックスは、正捕手を務める若月健矢より若い年代の捕手の陣容に不安を抱えている。1回目の入札で大砲・佐藤の抽選に敗れた場合は、古川を繰り上げた形で指名する可能性は大いにある。1位指名をしなくても、2位指名のウェーバー順が全体のトップになると思われることから、全体の13番目でオリックスが交渉権を獲得することも考えられる。

まとめ

シミュレーションからも分かるように、「1位・高橋、2位・五十幡」の夢が叶う可能性は極めて低い。ドラフト1位で指名されても驚かない選手を立て続けに指名することは、現在のドラフト制度だと困難を極める。

とはいうものの、各方面で指名予想をしても、予想通りに事が進むことは殆どない。当日は思わぬハプニングや「まさか」が発生するものだ。現に、1位指名が濃厚と言われていた選手がなかなか指名されなかったり、無名の選手が上位指名されたり、くじの当たり外れを間違えたり・・・。

何せ今回のシミュレーションをするにあたっての最大の誤算が、中日の快進撃によって、ウェーバー順が日に日に後ろになっていったことだ。つまるところ、「2位・五十幡」を実現するためのハードルを自分たちの手で上げてしまった。

だからといって、再びそのハードルを下げる必要はない。宝物が簡単に手に入ってしまっては、どこか味気ないものになってしまいかねないのだから。

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