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仮定の話~中日・ドラフト1位高橋宏斗~

「第1回選択希望選手 中日 高橋宏斗 投手 中京大中京高校」

仮に、今年のドラフト会議で、中日ドラゴンズがこの地元のスター候補生を1位指名しても全く驚かなかった。

なぜ「全く驚かなかった」なのかというと、高橋は大学進学を予定しており、プロ志望届を提出する予定がないからだ。根尾昂、石川昂弥と2年連続で地元出身の高校生を指名している中日からすると、是が非でも獲得したい逸材だったに違いない。「純・地元選手」であることに加え、1位指名に恥じない実力も兼ね備えている。野手である前述の2選手とは異なり、投手という点も、ポジションの偏りを考慮した場合、実にありがたい存在だったのは事実だ。

高橋を1位指名するのは、「地元枠」云々ではない。ストレートは常時150キロ前後を記録する。また、スライダーや高速チェンジアップといった変化球も一級品の精度で、フィールディングや牽制も達者だ。将来的には、中日投手陣の柱になる可能性を秘めている。今夏、愛知県の独自大会でも高いパフォーマンスを披露し、NPB球団のスカウトの視線を浴びている。中には、抑え投手としての適性を評価するスカウトもいるほどで、球界を代表する投手になっても不思議ではないポテンシャルの持ち主だ。

現状、中日には期待の若手は多いものの、頭一つ抜けた存在になっている投手が不在だ。それを受けて、筆者は以前から即戦力候補の栗林良吏(右投・トヨタ自動車)の1位指名を提案してきた。しかし、相次ぐ公式戦の中止のため、その実力を披露する場が限定されてしまっている。

また、現在の社会情勢だと、都市対抗野球の予選中止のリスクもある。そうなると、公式戦に殆ど登板することなくドラフト会議当日を迎えることになる。身体の酷使を防ぐ利点はあるが、来シーズンから即戦力として活躍できるか判断が難しくなる。即戦力としての活躍が難しい場合、栗林を指名する最大のメリットを失うことになる。ここ数年の傾向からしても、NPBの先発で1年目から活躍する大卒の社会人出身投手は、かなり少ない。数年先を見据え、高橋の将来性に狙いを切り替える意義は大いにある。

今後、高橋が大学に進学した場合、2024年にドラフト対象選手となる。現時点で既にドラフト1位クラスの投手なだけに、更なるレベルアップをすることができれば、その年の目玉となる可能性も高い。

「第1回選択希望選手 中日 高橋宏斗 投手 〇〇大学」

2024年のドラフト会議でこのアナウンスを耳にする日が来ることを願うばかりだ。とはいうものの、4年という時間は長く、何が起こるか分からない。だからこそ、次のステージでの活躍を願いながらも、今年のドラフトに微かな希望を抱いている。


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