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12球団ドラフト展望⑧~東北楽天編~

ここ数年はトレードやFA市場を賑わせている甲斐もあって、今シーズンも昨シーズンに続き、Aクラスを期待できる戦いをしている東北楽天。とはいえ、あくまでも球団としての悲願は2013年以来の日本一だろう。

浅村栄斗らの加入によって、チームは劇的なレベルアップを遂げたものの、レギュラーと控えの差は広がっている感はある。藤平尚真やオコエ瑠偉は足踏みが続いており、ベテランに差し掛かる主力の後継者を作るとともに、歯痒さの残る若手の競争相手を指名したい。

1 先発投手

則本昂大、岸孝之に加えて今シーズンは劇的な復活を遂げた涌井秀章が大活躍し、先発ローテーションの一角を担っている。

しかしながら、上記の3投手は全員30代で、ベテラン中心の投手陣になりつつあるのは気がかりで、近年の成績は波がある。かつてのドラ1の安楽智大や藤平も期待通りの活躍をしているとは言い難く、早めに手を打つ必要がある。

即戦力となると、左腕だと早川隆久(早稲田大・投手・左投)、右腕だと伊藤大海(苫小牧駒澤大・投手・右投)栗林良吏(トヨタ自動車・投手・右投)が有力候補になってくるが、三投手の実力は言うまでもない。ここでは地元・東北が誇る2人の右腕を挙げたい

大道温貴(八戸学院大・投手・右投)は今年に入って評価を急激に上げている。昨年の全日本大学野球選手権でも好投したが、今秋のリーグ戦ではノーヒットノーランを記録するなど、敵なし状態だ。美しいフォームから50キロに迫るストレートとスライダーで勝負する正統派投手だ。

もう一人の右腕は、宇田川優希(仙台大・投手・右投)だ。ただし、宇田川は全国的な実績を積み上げている投手ではなく、これから花を咲かせる投手だ。最速で150キロを超えるストレートという武器を生かしながら、実戦力を高めることができるかがカギになる。

2 即戦力のリリーフ投手

松井裕樹の先発転向に伴い森原康平をクローザーに抜擢したが、淡くもプランは崩れてしまった。最終的には松井をリリーフに再コンバートするなど、苦しい運用を余儀なくされている。

来季に向けては、昨年までクローザーを務めた松井の起用法次第ではあるが、リリーバーの陣容を少しでも充実させたい。木澤尚文(慶應義塾大・投手・右投)森博人(日本体育大・投手・右投)ら150キロを超えるストレートを投げる剛腕・快腕が大学球界に揃っているが、来年一年のみを見据えた場合は、田澤純一(武蔵ヒートベアーズ・投手・右投)も十分アリだ

様々な逆風を乗り越え、田澤がMLBで積み上げた実績は言うまでもない。ただし、30台中盤に差し掛かった年齢と、MLBで結果を残せなかった近年のパフォーマンスを考慮する必要はある。BCリーグでの結果以上に、年齢面や今後NPBで活躍できる期間と、他のドラフト候補の将来性との比較が重要になってくる。とはいえ、ドラフト指名というよりもトレードで獲得する感覚ならば、十二分に指名する価値は出てくるはずだ。

3 右の長距離砲

昨年のドラフト会議で、小深田大翔と黒川史陽を指名したので二遊間は喫緊の課題ではなくなった。今年は右の長距離砲に狙いを定めたい。

現状、浅村やロメロもいることから、是が非でも即戦力である必要性はなく、高校生で時間がかかるであろう選手を指名することに差し支えないはずだ。

大砲の2文字が似合う高校生となると、井上朋也(花咲徳栄・内野手・右打)西川僚佑(東海大相模・外野手・右打)あたりになる。いずれも高校球界を代表するスラッガーだが、井上は内外野をこなすことができるだけに、守備位置を柔軟に設定できるのが強みだ。一方の西川は、守備と走塁の面でプレーに改善の余地はあるものの、スイングの速さや飛距離は魅力的だ。

仮に当日、投手を上位指名して、中位以下で長距離砲を指名するとなると、渡部健人(内野手・内野手・桐蔭横浜大)が残っていたら面白い。長打を放つだけではなく、守備面の評価も高いため、いわゆる打つだけの選手に終始しない存在なのもプラス材料だ。現在、神奈川大学リーグで三冠王に君臨しており、圧倒的な実績を残してプロ入りしたいところだ。

まとめ

野村克也、星野仙一がこの世を去り、馴染みのあった楽天が遠い過去になろうとしている。ただこればかりは、どの球団にも当てはまることで、楽天も一昔前を振り返るだけの歴史を球団として積み上げた証でもある。

今後球団の歴史を10年、20年と積み重ねていく中で、2020年のドラフト会議で獲得した選手が、優勝に大きく貢献したとファンの間で語り継がれるようなドラフトにできると、新時代の楽天がより輝かしいものになる。

参考


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