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言葉の海を漂っていたい 映画/音楽/本

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言葉の海を漂っていたい 映画/音楽/本

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雨の木曜は、銭湯とオムライスと映画と

1週間のうちで最も自分を甘やかすと決めている日。 あと1日で休日に突入するわくわく感と張り詰めていた自分が少し緩むのがこの木曜の夜である。 どんよりとねずみ色をした1日。少し仕事を早めに切り上げて、明日から育休に入る先輩と軽くお茶で盃を交わす。 その足で、最近すっかり常連と化した近くの銭湯へ。 若干500円ほどで至福の時間が味わえるワンコインオアシスだ。 平日の夜は人も少なく、熱いお風呂と20度を下回る水風呂の交互浴で大きく伸びをしながら、身体を解きほぐす。 自分の、そして

    • 真夜中のアイス

      時計が12時を回った頃、ずるずるのTシャツにちょっとサイズが大きすぎたサンダルを履いて僕らはふらりと出かけた。 目指すは夏の夜のお供だ。 しん、とした世界に響くのはパタパタというサンダルが地面を踏みしめる音。 彼女が笑う。私、こういうの彼氏ができたらやってみたかったの、と。 なんてことない片道15分のコンビニまでの道のり。 ぼくらはなんてことない1日の報告をしあう。 電車で隣に座っていた女の人が一心不乱に読んでいた本のこと。会社の後輩が3ヶ月前から狙っていた男性は、ついに後輩

      • シャインマスカットの彼女

        「給料日にはシャインマスカットを自分のご褒美に買うの。」 そう言っていた切りっぱなしボブのかわいらしい彼女は元気だろうか。 爪の先まで念入りに綺麗な彼女が実は倹約家だったこと。 日に当たると輝くくらいの髪の色で、いつも朝まで飲み明かしていた後輩がいつのまにか、会社の先輩と同棲を始めてガバハ!と笑っていたあの声が最近は聞こえてこないこと。 業界仲間を集めた飲み会を仕切っていた幹事の先輩が、一人暮らしの家を引き払っていて実家に戻っていたこと。 仲の良い先輩の目の周りが荒れていて、

      雨の木曜は、銭湯とオムライスと映画と