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会社を辞めてデンマークに逃げた私が過ごした特別な空間

昨年の冬、休みながら学べる場所としてデンマークの※フォルケホイスコーレへの短期留学を思いつき、今年の5月から8月まで「Bevidsthedsudvikling」に留学しました。
(学校の選定においては「社会人のための北欧留学~デンマークFolkehojskoleガイド」を読み、北欧留学情報センターへ相談しました。)

※入学試験もなければ、卒業資格もない。先生も生徒も同じ校内に住んで、暮らしの中でさまじまなことを体験するというデンマークの先人たちが作った学びの場(出所:北欧の和み)

丸ごと箱に入れて日本に持って帰りたい、そんな空間で4ヶ月を過ごしたので、私が触れたものを少しでも共有できたら嬉しいです。

学校(Bevidsthedsudvikling)
※絵画、デザインなど創造性を育む科目を学びながら、自らを見つめなおし自己の可能性を広げる学校。校舎は海が見渡せるシェラン島北西部のリゾート地にある (出所:社会人のための北欧留学)

童話に出てきそうな校舎

日常はこんな感じ

授業

平日午前9時〜12時、午後14時半〜16時の2コマの授業です。
午前の授業はヘルスケアとアートの2つから、どちらか1つを選択しました。私はヘルスケアを選び、インドの伝統医療アーユルヴェーダをベースに、アロマや脈診などを学びました。午後は生徒全員でメディテーション(瞑想)を学びました。4ヶ月の間に3~4回遠足があり、島、美術館やレゴランドに行きました。

近所の島

食事


専任のシェフがアーユルヴェーダに則ったベジタリアン料理を作ってくれました。朝、昼、晩3食が提供され、水曜には手作りケーキが出てきました。カラフルで体に優しいご飯が出てくるので、毎回の食事が楽しみでした。学校の裏にはガーデンがあり、そこの野菜や果物も美味しかったです。ベジタリアンといえど美味しすぎて太るので危険です。

アートのような食事

設備


私は日本人女性との2人部屋でしたが、追加料金で個室を選択することもできました。私たち二人を除いて全員が個室を選択していました。部屋には机、ベット、クローゼット、洗面台、トイレ、シャワーがあり使い勝手は良かったですが空調が弱く、冷え込む日がありました。

言語


英語ができれば問題ありません。先生やデンマーク人にとって、英語は第二言語ですが、それでも日本人よりは英語を話すことに慣れていました。私は英語につまづき、不甲斐ない思いを何度もしたのでこれから英語を勉強します。

私が得たもの

スパイスやアロマオイルの楽しさ


4ヶ月の間に、スパイスやアロマオイルが好きになりました。アーユルヴェーダではそれぞれの体質や季節に合わせた身体へのアプローチ方法を学びました。風邪を引いた時、眠れない時、ストレスでイライラする時にどうすれば良いのか。身体の問題は、スパイスを食事に取り入れたり、アロマオイルを吸い込んだり、マッサージをして解決する一方、心のバランスは瞑想だったり、脈診で整えます。内容はとてもシンプルで、それを丁寧に実践できるのは良かったです。
ある日の授業では、床に寝転んでアロマオイルの香りを当てっこしました。
(カリキュラムはアーユルヴェーダの入門編でしたので、本格的に学びたい人には別の学校をお勧めします)

生のフェンネル

歌と絵と散歩


4ヶ月の間に、歌と絵と散歩が好きになりました。

学校では、午前中の授業開始前に皆で歌を歌いました。といっても、有志で集まる4〜5人です。ピアノが上手な人がいたので、みんなで歌うことができました。爽やかな空気の中で歌う曲は最高で、歌詞が身体にしみました。特に、モーニングコーヒーの歌と、「morning has broken」というデンマークの歌が好きでした。

お気に入りの歌



それから時々、アートの教室を覗いて皆が描いている絵を観ました。アートの先生から、「人の絵は評価してはいけない」と言われていたので、感想は言えませんでしたが、どの絵もその人らしさが出ていて綺麗でした。今まで絵を描いたことのなかったクラスメイトが、段々アーティストになっていくのを見て、絵のパワーは凄いなと思い、私もアートクラスを受けたくなりました。1日だけアートの授業に参加させてもらい絵を描きましたが、楽しすぎて生涯忘れない経験になりました。アートが身近になって良かったです。

そういえば、ほぼ毎日学校の周りを散歩しました。夕焼け、綺麗な海、海の石ころ、日々変わる花々、そんなものを眺めているうちに心が耕されました。誰かと一緒に行く散歩も、一人で歩く散歩も、どちらも好きでした。

よく歩いた散歩道1
よく歩いた散歩道2

ともだち


4ヶ月の間に、素晴らしい友達ができました
これは留学して1番良かったことです。20代から80代まで、色々な人に出会い、話をして、友達になりました。英語で深く話すことはできなかったけれど、それでも日々の暮らしの中で、少しずつ人となりを知って、触れ合って、仲良くなれました。

サウナ後に皆で海にダイヴ!

日本に帰国してから変わったなと思うこと


幸せのハードルが下がった


これは悪い意味で捉えらるかもしれないけれど、今までは気づかなかった些細な出来事に感動するようになりました。上述した通り、散歩が好きになったので、日本に帰ってからも毎日1万歩の散歩を続けています。知っている場所だけれど、旅をしているような感覚になり、歩くだけで幸せを感じます。

夜の学校

絵を描くようになった


日本に帰国して早々、クラスメイト主催のセミナーに参加しました。
「どんな場所でもアートはできる!」ということを改めて実感して、それ以降よく絵を描くようになりました。これからもアートを身近に楽しんでいきたいです。
クラスメイトに感謝です。

外で描いた絵

なんか変わったねと言われた


帰国して早々、友人に「なんか変わったね。学生の頃の雰囲気に戻った!」
と言われました。良い意味で、柔らかくなったそうです。嬉しかったです。
日本文化から抜け、新たな環境の中で心身ともにリフレッシュできたからでしょうか。4ヶ月の間、宙ぶらりんな暮らしを楽しんで、自然に心がほぐれました。
自分の心にある、過去の後悔とも向き合う時間があり、もう前に進もう!と覚悟を決めることもできました。ありのままで居られる環境だからこそ、変える勇気が持てるのかなと思います。

変える勇気


10月に帰国し、学生という安心感の中での自由は終わりました。
自分の心に素直にこれからの道を決めようと思っています。
瞑想の授業の中で「1%の波及」という話がありました。
とある街で、瞑想をやる人が1%いれば、そのまち全体の幸福度が格段に上がるといった話でした。私も「1%の波及」を意識して、デンマークにいた時のマインドで生活したいと思っています。
というのも、やはりデンマークから帰国してから、日本とデンマークの暮らしのギャップに困惑しています。私は家族と同居をしているのですが、デンマークでの食生活、アーユルヴェティックな暮らしはなかなか理解してもらえませんし、実行するのも難しいです。
それでも、まずは私の暮らしをできるだけ自分の心地良いものに保ち、身近な人にも幸せが波及すれば良いと思います。

デンマークへの留学はお金も心配もかけたけど、かける価値がありました。
会社を辞めずにウジウジしていた私にとっては、前に進む勇気が持てたらどんな方法でも良かったかもしれません。でもそれが、デンマークのBevidsthedsudviklingへの留学で良かったと今は思っています。留学に当たって背中を押してくれた方、留学中お世話になった方に感謝しています。ありがとうございました。

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