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右対左、左対右は本当に打者有利なのか

このnoteは、東大野球部に学生スタッフ兼アナリストとして所属する私、齋藤周(Twitter→@Amapenpen)が、日々の練習内容や気づいたことをメモしておくためのものです。

投手と打者の左右によって有利不利はあるのか

さて今回は、よく言われがちな「右ピッチャーには左バッター、左バッターには右ピッチャーが有利」というのが本当なのか、というところを検証してみたいと思います。

プロ野球でも代打を出す時には投手の右左が多分に考慮されますし、実際の体感的にも右打者なら左ピッチャー、左打者なら右ピッチャーが打ちやすい感じがしますが、数字で客観的に見るとどうなのかというところは気になるところです。

そこで今回は2020年の六大学野球リーグ戦の結果を、投手の左右と打者の左右という観点から分析してみました。

右打者は実は左投手が苦手?

結果は、こんな感じになりました。

    右投手   左投手   通算
右打者    0.232   0.192   0.220   
左打者    0.255   0.223   0.247   
通算     0.244   0.206          

結論を簡単にいうと、「左打者は右投手を得意としているが、右打者は左投手を苦手としている」ということになったのです。

しかも右投手vs右打者は0.232、左投手vs右打者は0.192ですから、0割4分もの差があります。右投手vs左打者と左投手vs左打者の差が0割3分ちょいですから、左打者が右投手を得意にしている以上に、右打者は左投手を苦手としているのですね。

「右投手に左の代打は有効だが、左投手に右の代打は有効でないかもしれない」という事実は、かなり意外なものではないでしょうか。

左ピッチャーが優秀説

なぜ右打者も左打者も同様に右投手の方が得意だったのでしょうか。

まず考えられるのは、全体的に左ピッチャーが優秀だったということです。

昨年の六大学では楽天ドラフト一位の早川隆久投手やロッテドラフト一位の鈴木昭汰投手など、素晴らしい力をもった左ピッチャーがいました。

右投手の被打率が0.244、左投手の被打率が0.206ですから、かなり右投手の方が成績がよかったというわけです。これが影響を与えたことは間違いないかなと思います。

あとは、左投手の方が利き手側に逃げる系のボールをうまく使えていたような印象があります。

早川投手や鈴木投手は、右打者に対してはチェンジアップやツーシーム系、左打者に対してはスライダーやカーブなどを使い、どちらに対しても逃げていくようなボールで空振りを取れていたような印象があります。

一方右投手はスライダーやカット系を得意とする投手が多く、左打者には苦戦したのかな、という印象です。右投手が左打者を討ち取っていくために、ツーシームやチェンジアップのように逃げる系の球種を覚えることは有効かもしれません。

代打を出す際の基準は見直す価値があるかも?

あとは、全体的に右打者よりも左打者の方が打率が高いこともわかりました。右打者が0.220、左打者が0.247ですから、その差はけっこう大きいことがわかります。

左打者が少し有利だということは、なんとなく理解はしていましたが、いざこういう形で数字で見ると右打ちの人間には悲しいものがありますね。

そもそも左打者の能力が高い、右投手の割合が高い、一塁に近いなど色々原因になりうるものはあると思いますが、これだけの差があるのは興味深いところです。

代打を出す際にまず投手の左右を考える、というのは割と一般的だと思いますが、このファクターが本当に重要なのか、見直してみる価値があるかもしれません!

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