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もし東大野球部のデータアナリストが戦略コンサルタントのフレームワークを導入したら〜2〜

このnoteは、東大野球部に学生スタッフ兼アナリストとして所属する私、齋藤周(Twitter→@Amapenpen)が、日々の練習内容や気づいたことをメモしておくためのものです。

リソースの制約と"てこ"の原理

さて前回の記事では「得点=1イニングに奪塁数2以上」であることや「得点の3要因=①複数安打、②長打、③安打+走塁」であることを書きました。まだお読みでない方はこちらもぜひ!

このような形で解決すべき問題が明確に定義されたら、次に行うべきは戦略を練ることです。

起業家をされているけんすうさんという方がいらっしゃいます。こんなアイコンがトレードマークです。見たことある方もいらっしゃるかもしれません。

けんすうさんにはたまにアドバイスをいただいたりしているのですが、戦略についてけんすうさんがこんなことをおっしゃっていました。

「戦略とは、てこの原理のように大きな成果を生み出す一点を見極めて、リソースを集中させること」

本当は得点の3要因である複数安打、長打、安打+走塁を全部磨いていきたいところだったのですが、東大野球部は決して広いとは言えないグラウンド1つに100名以上の部員を抱えていますし、授業など時間的な制約もかなりあります。

そのため、「てこの原理のように大きな成果を生み出す一点を見極めて、リソースを集中させる」必要があったのです。

複数安打を考える

得点の3要因のどこにフォーカスするかを考えるため、新チーム始動前には1つ1つ定量的な検証を行いました。

まず考えたのは複数安打です。

そこで、そもそも複数安打が出る確率はどのくらいあるのか、というところを試算してみましょう。

六大学野球の平均的な打率は、全体で見るとだいたい.250、東大だけにしぼると.200に届かないくらいです。

そこで.250と.200について複数安打が出る確率と1試合あたりの期待値を計算すると、こんな感じになります。

・打率.250の場合
2安打以上:26.2% (2.36回)  3安打以上:10.4% (0.94回)

• 打率.200の場合
2安打以上:18.1% (1.63回)  3安打以上:5.8% (0.52回)

よって打率を.050上げて他の大学に見劣りしないような打率を達成しても、1試合あたりで見ると複数安打が出るイニング数は1.63回→2.36回、すなわち1回分も増えないだろう、ということがわかりますね。

しかも打率を上げるというのはバッター的には1番大切なことですから、当然ながらこれまでもずっと注力してきたはずです。

それでも多くのシーズンでは.200を越えられなかったわけなので、.250を達成するための具体的なプランがなかなかわからなかったのですね。

なので、難しさの割にあまりリターンが大きくなさそうなことや、達成プランが見えにくかったことにより、「複数安打を増やす」ことにリソースを集中させるのはあまりおいしくなさそう、という結論になりました。

次回は残っている2つの要因である「長打」と「安打+走塁」について、どのように考えたかをご紹介します。お楽しみに!

〜次回へ続く〜

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