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まあお訳古今集 恋はいちごを添えて拾伍

皆さん、こんにちは! 残暑厳しい今日この頃、ご無事でいらっしゃいますかぁー?

私こと自称作家の あまおう まあお はもう無理です。なんか色々と溶けました。連日に渡る30度超え灼熱地獄……もう夏は終了で、お願い申し上げますm(_ _)m

このシリーズまだまだ続くんですけど、次回が出なかったら「そういうこと」だとお察しくださいね(ヽ´ω`)

そんじゃま、行きますかね……今回はこの歌からです。

恋歌三 壬生忠岑
有明のつれなくみえし別れより 暁ばかりうきものはなし

僕は夜明けがいちばん嫌いですね。あなたのつれなさにすごすご帰ったあの朝の有明の月を思い出すもので。 #いちご訳

有名なのに、解釈割れするやつですね。
有明の月は夜明けまで残っている月なんですが。逢えずに帰る空に見えた月なのか、月は帰らないのに僕は(逢えたけど)つれなく帰らされたと言っているのか。
歌の収録順からすると、逢えてないと解釈されると思いますが……そのへんは専門の方に任せます!

恋歌三 在原元方
逢ふ事の渚にし寄る浪なれば うらみてのみぞたちかえりける

あなたに逢えずに寄せては帰る僕のことが渚の波にみえるでしょうか。波は浦を見るだけですが、僕は恨んでしまいますよ。 #いちご訳

歌うっま!(絶句)
以前の歌をふまえていますね。
立ちかへりあはれとぞ思ふ よそにても人に心をおきつしらなみ
同じ方宛でしょうか。あはれが恨みに変化したのか時系列逆なのか。私は「うらみて」の方が好きなんですが、どちらにせよダジャレ感という説もあるようです。渚と「なき」も掛詞。

恋歌三 詠み人しらず
かねてより風に先立つ波なれや あふことなきにまだき立つらん

波が立つ。風が吹くよりも先によ。あなたに逢ってもいないのにほら、もう噂が立っているんですからね。 #いちご訳

昨日の歌でうらみて「たち」かえる、という男に返歌。立つと言えば噂と波。秀逸な返しです。
実際に元方さんへの返歌として女性が詠んだのか、そういうていでこの歌をここに置いたのかはよく分かりませんが、この歌順を決めている編者の皆様の顔が思い浮かぶようですね!
#国家プロジェクトです

恋歌三 壬生忠岑
陸奥にありといふなる名取川 なき名とりてはくるしかりけり

東北にあるという名取川ではないけれど、取った名がありもしない恋の噂では、つらいものがありますよ。
#いちご訳

名は名でも「浮名(うきな)」でした~! という歌。しかも事実無根では、困りましたね!
この時代のお貴族様はほんと、噂には苦労したんでしょうね。今で言うと炎上みたいな感じでしょうか。
人の噂も七十五日。それまで大人しくしとくか、またはもっと大きな火をつけてかき消してしまいましょう!

恋歌三 御春有輔
あやなくてまだきなき名のたつた川 わたらでやまんものならなくに

早くも根も葉もない噂が立ってしまった「竜田川」それで渡らずに済むほどの恋心ではありませんから! #いちご訳

「なき名」シリーズ二人目の被害者は御春有輔さん。有助という資料もあり。藤原敏行さんとこの家人と言われる、そうです。
この方の場合は「まだ逢ってないのに噂になった」というパターンのようですから「あやなくて」というより、目立ってたんじゃないかと思いますね。……返歌来たかな? #心配

恋歌三 在原元方
人はいさ 我はなき名の惜しければ 昔も今も知らずとをいはむ

彼女はどうだか知りませんが僕は迷惑しておりますゆえ、ま、今も昔も関係ございませんと言っておきます。 #いちご訳

元方さんもなき名被害に! これはちょっと笑っちゃう系の歌ですね。
知らずとをいはむ、の「を」が間投助詞というやつですよ! 意味はあったりなかったりします。今回は敢えて訳出してみましたが、わざとらしかったかな。
歌の内容としては流石にクール、と申しておきます。
#恋の達人 #So_cool

恋歌三 詠み人しらず
こりずまに又もなき名は立ちぬべし 人にくからぬ世にしすまへば

またしても根も葉もない恋の噂が立つわけです。人と人が憎くはない現世ですもの、仕方ないことですね。
#いちご訳

なき名シリーズ最後は妙な達観! 笑ってしまいます。
まあ、噂に出るうちが花と申しますか。憎いわけではない、というのがまた、味が出ていていいですね!
ご明察、千歳ののちの我が世でも噂の花は咲き乱れおり。
色恋沙汰というのはどうしたって話題になるわけですね。それなりの平和を感じます。

恋歌三 在原業平
人しれぬわが通ひぢの関守は よひよひごとにうちも寝ななん

それは秘密の恋の通路なのです。関守さんどうか毎晩うたた寝をして僕を見逃して下さい。 #いちご訳

業平様~! 伊勢の五段によりますと、この歌でまんまと許してもらったようです。
ほんと業平様は歌の才だけで世の中渡りきってますからね!(その後在原家は没落しつつも、密かにその子孫が名を変えて活躍したとのこと……まあ、隠し子とかごろごろいそうですからね)
#恋にかまけてお留守 #業平様

恋歌三 紀貫之
忍ぶれど恋しき時は あしひきの山より月のいでてこそくれ

この恋は誰にも知られたくない。それでも恋しくてたまらない時は山から月がのぼるように僕も家から出てきてしまうのです。 #いちご訳

あしひきの、は山の枕詞ですね。
山から出る月ってどんなイメージでしょう。こっそり? ひょっこり?
いつだってそうであるように、自然に。
私はそんな風にイメージしました。自分でも止められない思いに突き動かされたんでしょうかね。
貫之さんにしては素直な一首かなと思います。

恋歌三 詠み人しらず
恋ひ恋ひてまれにこよひぞあふ坂の 木綿つけ鳥はなかずもあらなん

恋しくて恋しくて。ようやくあの人に逢えたのです。大阪の木綿付け鳥よ、どうか今夜は鳴かないで。朝が来ても帰りたくない。 #いちご訳

ゆふつけ鳥……前にも出ましたがニワトリでしたね。逢坂とセットで出てくる歌は古今集に全部で三首あります。
前出たのはこれ。
逢坂のゆふつけどりも わがごとく人や恋しき ねのみなくらむ
あと一首も恋歌です。だいぶ先になりそうですが、お楽しみに^ ^ノ

恋歌三 小野小町
秋の夜も名のみなりけり あふといへば事ぞともなく明けぬるものを

秋の夜は長いなんて嘘ばかり。あのひとに逢えたというのに、もうあっけなく夜が明けてしまったんだもの…… #いちご訳

かわいい方の小町さん。「みるめなきわが身をうらと知らねばや かれなであまの足たゆくくる」と同じ方とは思えないお歌ですね。あふと「言」へば「こと」ぞ、で連想式につなげているという技法があるようです。事と言葉、で同音連想だとか。
さすが小町さん、凝ってるゥ!
#ツンデレのデレの方

恋歌三 凡河内躬恒
長しとも思ひぞはてぬ むかしよりあふ人からの秋のよなれば

秋の夜は必ず長いといえるでしょうか。誰に逢うかで変わってしまうと昔からいうではありませんか。 #いちご訳

……素敵!
時間の流れがあると仮定して、その速度は必ず一定ということになってはいますがジャネの法則に見られますように体感という点においてはうんぬんかんぬん
などと言わずスッキリまとめた三十一字。これはモテると思いますが……!
#いかがですか #即パクろう #今日から貴方もモッテモテ

さて、キリのいいところで今回はこんなもんですかね。個人的には「なき名」シリーズが楽しかったです^ ^ノ
現代でもよくあるらしく、週刊誌なんかに書き立てられて、うんざりしている方もおいででしたね。

千年の時は流れても、我が国はわりと、平和なようでございます。
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あと、新作じゃないけど、夏だしサクサク読めるやつとか置いてみますね。
ジャンク・シティ・ブギ!!

次は涼しくなった頃に更新したいものですね……それまで、どうぞご無事で……! 暑さに弱い あまおう まあお でした^ ^ノ

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