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まあお訳古今集 恋はいちごを添えて参拾弐

皆さん、こんにちは! 自称作家の あまおう まあお です☆

二月も半ばですが、買い置きの灯油を使い切りました……今買ってしまうと、今季中に使い切らないんじゃないか疑惑があって二の足を踏みまくってタップダンス状態なんですが……やっぱり朝は寒いですね。

昼になってくると今度はあたたかくて 花 粉 が飛びに飛んでる気配を感じてなんかチクチクしてくるんですが。
春になるのもいいんだけれど、う~ん;^ ^ という感じの今日この頃です……

まあ季節とか関係なく、今日も古今集でもやりましょうかね……クシュン!!

恋歌五 詠み人しらず
あはれともうとしも物を思ふとき などか涙のいとなかるらむ

あぁ! 感動しても悲しくとも心が動く時には。なぜとめどなく涙流れて止まらないんだろう…… #いちご訳

素直なお気持ち表明という感じですが、恋歌に入っている以上「あはれ」は恋の気持ちなのかもしれませんね。私にはもっと一般的な話に見えましたが。
「いとなかるらむ」は「いと流る」と「いとなし(ひまなし)」の掛詞のようなので、なんとなくそんな感じに訳しました。
#テストでは減点されそうです

恋歌五 詠み人しらず
身をうしと思ふに消えぬ物なれば かくても経ぬる世にこそありけれ

俺なんて何の価値もない。そう思ったところで消えてなくなるものでもないのだ。こうして流れてゆくのがこの世の定めだ…… #いちご訳

うっわ、暗!
恋歌にある以上、解釈としては失恋なんでしょうけど、なんかもう取り返しのつかないことしちゃった感がすごい。
引いてしまうほど重いんですが、平安時代では失恋が人生で一番キツいことだったんですかね? そんなメンタルじゃ現代社会生きてけねーぞ?
#何があった #詳細キボンヌ

恋歌五 藤原直子
あまの刈る藻にすむ虫の 我からとねをこそ泣かめ 世をばうらみじ

海人が刈る藻に棲むワレカラじゃないけれど。全部私のせいだと泣いて暮らしましょう。決してあなたを恨まない。#いちご訳

伊勢六十五段に収録の超有名な歌!
ワレカラってなんぞ? という方も多いでしょうが、実は現代もばっちり「ワレカラ」と呼ばれている節足動物です。なんかちっちゃいエビみたいなやつらしい。今度海行ったら探してみてね!
ワレカラ=我から(私のせい)の掛詞。直子は「なほいこ」さんと読みます。

恋歌五 因幡
あひ見ぬもうきも我が身のからころも 思ひ知らずもとくるひもかな

もう逢えないんです。悲しいんです。全部私がいけないんです。そんなことも知らずにこの紐ときたら勝手にするりと解けてしまうなんてね…… #いちご訳

下紐が解けるは、好きな人に会える予兆です。これ、学校で習った覚えがないんですが(テストに出ないので)、かなり頻出古典常識です。
技法うんぬんではないですが、非常に調子のよい一首で、口をついて出た感じがしますね。
因幡さんは基世王の娘で基世王が因幡権守なのでそう呼ばれているようですね。

恋歌五 菅野忠臣
つれなきを 今は恋ひじと思へども こゝろよわくもおつる涙か

脈なんかない。もう愛するのはよそうと決意したのに、ああまた心くじけて、涙が、ぽろり。#いちご訳

だからそういうとこ。そういうとこが女々しいんですって気づいて~!
いくらたおやかなのが流行ってるったって、ここまでくると「あはれ」で誤魔化せないでしょう。
恋せじと御手洗川にせしみそぎ神はうけずぞなりにけらしも
同じ恋歌ですがこちらは女々しくないですよ。
#あくまでも個人の趣味です

恋歌五 伊勢
人知れず絶えなましかばわびつゝも なき名ぞとだに言はましものを

誰にも知られていない恋だったらよかったのに。どんなに苦しくても私、ただの噂ですわと言って終われたはずよ。#いちご訳

歌うっま!! いや皆さんご存じだとは思いますけど。こんなん貰ったら返歌出せませんって(ごくり!)
なき名シリーズも少し前にありましたが、ちょっと趣向が違うのでシリーズ入りしていません。編集にもセンスを感じる。
「ましかば~まし」で反実仮想。あり得ない現実を際立たせる用法です。
#歌うま

恋歌五 詠み人しらず
それをだに思ふ事とて 我が宿を見きとないひそ 人の聞かくに

私の家(の中)を見たなんて言わないでくださいね。誰が聞くか分かりませんもの。今となってはそれだけが、あなたの誠意の示し方です。#いちご訳

めちゃくちゃリアルな伝言ですね。
前半の解釈で「思ふ」のは誰かという議論があるようです。私と考えると「他言無用だけが私の願いです」となり、あなただと「少しでも情があるなら言うな」となる。今回は後者で解釈しました。
思ふ、見る、言ふ、聞く。動詞がたくさん入っていて面白いですね!

恋歌五 詠み人しらず
あふことのもはら絶えぬる時にこそ 人の恋しき事も知りけれ

完全に縁の切れたいま、やっと本当のことが分かりました。私はあなたが、好きでした…… #いちご訳

めっちゃドラマチックで歌としての出来栄えは最高だと思いますが、性格は全然よくない方ですね。
なんとなく「と、いうかわいそうな私」みたいなヒロイン感が鼻につきましたけどね。私がこういうタイプが極端に嫌いだからなのかもしれません。
#完全に個人の趣味 #ツンデレもほどほどに #男なら論外

恋歌五 詠み人しらず
わびはつる時さえもののかなしきは いづこをしのぶ涙なるらん

このどん底の底ですら、ふとあなたを思い出すのです。この涙、あなたの何を偲んでいるのでしょうか…… #いちご訳

一体何を偲んでるんですかね……?
「かなし」が現代語とニュアンス違いそうなのでふんわり訳しました。悲しいだけでなく愛しいという意味があります。
フられた後の気持ちってほんと人それぞれなんだなあ。少なくとも私はこういう心境ではないですね。
#人による #みんな失恋するんだね

恋歌五 藤原興風
怨みても泣きてもいはむ方ぞなき 鏡に見ゆるかげならずして

怨んでも泣いてもこの声は届かないんだ。この鏡に映る影はあなたじゃないんだから。#いちご訳

変わった歌ですねえ。
「方」の解釈によるみたいで、もう一つの解釈は「鏡に映る自分のほかに恨みを言う先がない」です。
鏡に映る影がやつれているんだとは思いますが、鏡に向かってぶつぶつ言ってるとしたら心療内科案件。実際には「言ってない」と取りました。
どちらにせよ、おいたわしや!

恋歌五 詠み人しらず
夕されば人なき床をうちはらひ嘆かんためとなれるわが身か

夕方に寝床を整えるのは、あなたが来ないと嘆くための準備よ。こんなことに慣れてしまってあたし、不憫ね。#いちご訳

はい技ありっ!
普通は寝床をどうにかするのは殿方が来るのを期待してのはずですが、一人で泣き伏すつもりのようです。こういう常識と違うことを言い出す技術、歌うまさんらしいですね。
そして「わたつみと荒れにし床を今さらに払はば袖やあわとうきなん」(恋歌四 伊勢)となるわけですね。
#歌うま

恋歌五 詠み人しらず
わたつみのわが身越す浪立ち返り あまのすむてふうらみつるかな

泣いて泣いてその涙が背丈を越して津波になって戻って来るこの浦で私、いつまでもあなたをお怨み申し上げます。#いちご訳

うらみ~ま~す~♪ みゆき姐さん、平安にもいた!
「あまのすむてふ」が失恋して「尼」になりますからね、まで言っているのかは分かりませんが、わりとこの時代の女子は出家するみたいですね。
似てるやつ
逢ふ事の渚にし寄る浪なればうらみてのみぞたちかへりける(元方)」
#どいつもこいつも

長らく続いたこのシリーズも、ついにゴールが見えてきました。おかげさまでなんだか さめざめ した感じの歌が多くてげんなりしてきますが、おそらく次回で完結します。
恋の終わりに希望の光は見いだせるのか!? それともこのまま嘆きの沼に引きずり込まれて終わるのか……最終回、乞うご期待!!

と、あおってはみましたが。実はすでに古今集は終わってこちらでは新古今集を始めております。
古今とはまた歌風が違っていますので、ご興味おありでしたらぜひ フォロー とご愛顧のほど、よろしくお願いいたします^ ^ノシ

以上、春風が吹けばクシャミ……自称花粉症とかじゃない作家 あまおう まあお がお送りいたしました~☆ またね!


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