見出し画像

個別株は信仰と握力

インデックス長期積立投資が素晴らしいのはわかっている。それでも個別株のロマンは捨てられない。。。そうですよね、不確実性の先にある夢を見たいですよね。じゃあその夢はどうやって見るのがよいのだろうか?と、一周回った感じのお話。


インデックスの凄みと凄くなさみ

時間軸さえ長期に持てば、誰であってもかなりの確率でインデックス投資で大成功できてしまう。この手法が編み出されたことは本当に革命的なことで、これほど世の中の多くの人の生活を潤した説はないのではないかと思います。もしかしたらノーベル平和賞(経済学じゃなくて)モノではないかとすら思います。なにせ何も考えなくてよいのだ、というか何も考えないほうが良い。心を無にしてせっせとインデックスを貯めていくだけ。何なら給与口座から毎月天引きで所得の20%をNISAで自動積立するという意思決定をするだけで、将来の成功の扉が開かれるわけで。本当にすごいです。

しかし、ではなぜ万人がそうしないのか?その理由も明確であるように思います。というのは、、、、このインデックス長期積立投資は、「詰まらない」という大きな弱点を持っているからです。あまりに洗練されていて、あまりに手がかからすぎて、そしてあまりに結果が予見できてしまうがゆえに、、、。

ということで、どれだけ「負ける負ける」と言われても、そして客観的な証拠を突きつけられたとしても、やっぱり個別株には魅力があります。いつぞやか、ちょっとしたきっかけで数十年前に投資したアップル株を売却して6000万円の収入があったのに税を支払わず罰せられた、というようなニュースが話題になったことがありましたが、そういう体験してみたいものです(税金はちゃんと払います。。。!)。

私もその魅力に負けて?個別株も持っています。始めたばかりのときは例に漏れず結構失敗しましたが、10年くらい前からはだいぶ良くなりました。直近だと特にMagnificent 7には大変お世話になっていて、いわゆるテンバガーも複数経験しましたし、日本株も数倍とは行きませんがそれなりになりました。でも正直特段勉強したわけではないし、リサーチしたわけでもないのです。ではなんで上手くいくようになったのか?なぜ良い投資ができるようになったのか?振り返ってみようと思います。

結論:信仰と握力

入りが長かった割にここからはあまり長いストーリーはありません。凄くシンプルでした。

  1. 「その会社の長期の成長ストーリーを信じて付き合っていけるか?」

  2. 「苦しいときも手放さずに持っていられる握力があるか?」

ほぼこの2つに尽きるように思います。

1.信仰について

やはり私の中ではMagnificent 7 が今のところ一番の成功です。ではなぜ10年以上前にこれらに投資できたか、というと、それらの会社の長い目で見た価値を信じられたかどうかでした。

長い目とは、それこそ10年、20年単単位です。例えば私には、「今年の業績」のようなものの予想は全く自信ありませんでしたが、反面以下のようなストーリーはかなりの確率で信じられるもののように思いました。

  • Amazonがテックを武器にして既存ビジネスを次々飲み込みながら更に巨大になっていく未来

  • Appleが最高のユーザー体験を元に囲い込みを強化しながら盤石の基盤を拡充していく未来

  • Googleが「世の中のあらゆるものを検索できる未来」に向けて継続的に投資を続け、そのうちいくつかが実を結ぶ未来

  • Microsoftが盤石のWindows基盤を元に更に揺るぎないテックビジネスを進める未来

  • 気候変動対策が更に深刻度を高めて行く中、モビリティの選択肢がEVへと寄っていき、そしてその社会変革をTESLAがリードする未来

ちなみに、METAについてはその未来はよくわからなかったので、投資しませんでした。一方NVIDIAには投資しており、ほぼまぐれ当たりですが、結果的にはとても素晴らしいパフォーマンスを上げています。

これらのストーリー、どれだけの精度だったか?例えば、生成AIの未来を予見できていたのか?といえば、もちろん完全にNOです。しかし、「テクノロジーにできることはまだかなりある」という点には確信がありました。つまり、確信の精度は粗くてよいようです。その代わり、粗い精度であっても「確信を持つこと」が大事なようだ、というのが振り返っての感覚です。

今ついにMagnificent 7ブームなのですが、しばらくはそれほどでもありませんでした。そして、結構下がった時もありました。TESLAなんてひどいもので、資金繰りの関係で倒産スレスレの状況だったときもありました。が、ここで手放さなかったのはやはり「TESLAはこれを乗り越えて未来を作っていくはずだ」というストーリーを信じていたからでした。多分この信仰がなかったら、倒産を乗り越えて少し株価が戻ったくらいで「やれやれ売り」していたかもしれないなあと思います。

2.握力について

個別の浮き沈みはまあいいのです。そんなものだろうと思うし、何かが沈んでいてもほかが良ければ結果的にはそれほど気にならない。問題は、全滅しかかっているのではないかと思うくらいの総崩れのときです。あまり覚えていませんが、何度かそういう時期があったように思います。

得てしてそういうときに限って、個人としても急にまとまったお金が必要になったりします。マンションの頭金が必要だ、とか、海外旅行に行くことになった、とか、子供の進学とか。そういうときに泣く泣く保有株を手放すのは下策ですが、でもそうしないと回らない場合は背に腹は変えられません。ここでどこまで手放さずに済むか、これを握力と考えています。

実はこの握力をつけるのはそれほど難しくないです。こういうときに個別株ではなく投信やETFが役に立ちます。まとまったお金が必要なときに最初に手放すのは投信やETF。場合によっては、「今が買い時」と考える場合そのナンピン買いの投資原資としても有効です。

こういうとき、世の中の資産本では「いざというときのために半年分の生活費は現金で持っておこう」という助言が一般的ですが、私はあまり現金はもたず、ほとんど投資に回しています。というのは、「いざというとき」とはいえ「今日今すぐ現金が必要」という事態はほぼ考えられず、数日間猶予があるならば、ETFを売るだけで十分間に合うからです。本当に本当に今すぐ入り用であればもちろんそれくらいの猶予は銀行にありますし、万万が一それで不足するようであれば、ETF売却金が入るまでの間だけでもキャッシングなりすればよいだけのことで。しかしこれまで一度もそういう事態にはなったことがないです。

と、なんだか偉そうな感じになってしまったのですが、今はたまたまMagnificent 7が盛り上がっているだけでバブルなのかもしれませんし、まだまだ試行錯誤している最中なので再現性が担保できるようなシロモノでは全くないのです。どちらかというと自分なりのやり方を忘れないように、いつか何か迷いが訪れた時などにここに立ち返れるように、そんな備忘録的なものとして。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?