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なぜハーバードの研究者たちは毎日リンゴを食べるのか?②

こんにちは。
自分が所属しているハーバード大学公衆衛生大学院 (Harvard T.H. Chan School of Public Health)のDepartment of Social and Behavioral SciencesのLabでは同僚の研究者のほとんどがランチにリンゴを持ってくる。
美味しくて安いだけの理由で、ハーバード大学公衆衛生大学院に所属している、健康へのリテラシーが高い研究者が毎日のランチにリンゴを持ってくるはずがない。
そこでリテラシーの高い人たちがほぼ毎日食べているリンゴがどのぐらい健康に良いのか気になり、調べてみた。

アメリカで” An apple a day keeps doctor away.”ということわざがある。この意味は1日に1個のリンゴを食べれば、医者にかからなくてすむ。ということだ。

前回はリンゴが各種疾患の発症リスクを軽減させる効果がある研究を紹介したが、今回は具体的なメカニズムについて書いてみる。

① りんごには健康に対してよいとされているファイトケミカルが多く含まれている。
ファイトケミカルとは植物中に存在する化合物であり、一般的には「通常の身体機能維持には必要とされないが、健康によい影響を与えるかもしれない植物由来の化合物」を意味する。
1, Quercetin (クエルセチン)⇒抗炎症作用(慢性炎症の抑制効果)
2, Pectin(ペクチン)⇒① 便秘の改善、LDLコレステロールの改善 ②腸内細菌が短鎖脂肪酸を産生することを助け、その結果様々な腸の疾患に対して予防的な効果に働く。

*新たな動脈硬化の危険因子であると考えられている「慢性炎症」
慢性炎症とは、体内で静かに炎症が起きていく炎症のことである。
ケガをしたときに皮膚が赤くなり、痛みを感じ、はれたりする。これは体内で起こっている急性な炎症で、ケガや病気になった時に突然生じる「急性炎症」であることに対して、明らかな症状がないにも関わらず、体内で静かに炎症が起きていく炎症を「慢性炎症」という。
一般的な動脈硬化のリスク因子は喫煙、肥満や高血圧などが考えられているが、これらの古典的な危険因子以外にも体中で発生する慢性炎症が動脈硬化の原因であることが最近の研究で分かっている。


また、りんごをはじめ多くの果物には多くの食物繊維が含まれている。多くに食物繊維は体重の減少につながる可能性がある。

豊富なカリウム。カリウムは尿細管でナトリウムの排泄を促し、その結果血圧が下がることが期待される。
1,606人の参加者を含む22のランダム化比較試験と、約12万人を含む11のコホート研究のメタ解析で示されている。カリウム摂取の増加により、成人の高血圧患者で血圧が3.49(95%CI:1.82~5.15)mmHg低下する。
ただし、健康な人を対象としている試験であるので、腎不全や心不全の人はカリウムの摂取には注意してください!!

あと、リンゴなどの果物にふくまれている糖質はフルクトース(果糖)が多くグリセミック指数が低い(血糖値が上がりにくいということ)。というこも大きなポイントであると思っている。
グリセミック指数とは食べた後に血糖値がどのぐらい上昇しやすいかの指標!高ければ高いほど太りやすいのだ。

The reasons why you eat a apple for good heath is as followed;
① Phytochemical
Phytochemical is considered as a compound from natural plants, which have a benefit for our health.
② Fiber
A plenty of fiber may be associated with your weight loss.
③ Potassium
Potassium play a important role in exchange of sodium in the kidney, as a result  that make you decrease your blood pressure level. However, for those with kidney failure or heart failure, eating too much potassium may induce arrhythmia.

参考文献
1. Wojdyło A, Oszmiański J, Laskowski P. Polyphenolic compounds and antioxidant activity of new and old apple varieties. Journal of Agricultural and Food Chemistry. 2008 Jul 9;56(15):6520-30.
2. Gerhauser C. Cancer chemopreventive potential of apples, apple juice, and apple components. Planta medica. 2008 Oct;74(13):1608-24.
3. Koutsos A, Tuohy KM, Lovegrove JA. Apples and cardiovascular health—is the gut microbiota a core consideration?. Nutrients. 2015 May 26;7(6):3959-98.
4. Nancy J Aburto, Sara Hanson, Hialy Gutierrez, Lee Hooper, Paul Elliott, Francesco P Cappuccio. Effect of increased potassium intake on cardiovascular risk factors and disease: systematic review and meta-analyses. BMJ . 2013 Apr 03;346;f1378


◆プロフィール情報
大学卒業後、都内の大学付属病院で初期研修を終了し、腎臓病学や高血圧学の臨床や研究に従事し、抗加齢医学専門医や腎臓内科専門医等の資格を取得。
予防医学やアンチエイジングの重要性を感じ、2016年より公衆衛生大学院に入学し、「食生活や生活習慣等など日常生活を改善することで、身体だけでなく心もHappyに」をモットーに、予防医学やアンチエイジングに関する研究を行っている。
2018年秋からハーバード大学公衆衛生大学院に留学し、最先端のアンチエイジング及び予防医学について研究中である。
資格
腎臓内科専門医、抗加齢医学専門医、内科学会認定医、日本医師会認定産業医、
公衆衛生学修士(Master of Public Health: MPH)
◆HP
https://activehealthlab.tokyo/

*本ブログにおける発言は個人的なものであり、所属組織を代表するものではありません。

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