助成金の報告会のために一時帰国(高齢者におけるポリファーマシーの現状と長期予後への影響)
こんにちは。
現在は日本に一時帰国しています。一時帰国している理由は、渡米前にいただいた助成金の報告会に出席するためです。
一般財団法人 医療経済研究・社会保険福祉協会の2017年(第21回)研究助成、成果報告会で発表をしてきました。
題名:高齢者におけるポリファーマシーの現状と長期予後への影響-地域住民を代表する大規模レセプトデータによる分析-
約32万人のレセプトデータを使い、ポリファーマシーの現状を調べました。
約32%の人も6剤以上のポリファーマシーの状態でした!!
ポリファーマシーの状態は薬物有害事象の発生増加に関連し、更に転倒発生のリスクファクターであると報告されています。また、また加齢に伴う肝腎機能の低下などによる薬物体内動態の変化から薬剤有害事象のリスクが高いとされています。しかし、我が国におけるポリファーマシーに関する報告は特定の医療機関を受診する患者を対象とするものが大半であり、実情はわかっていなません。
そこで、今回はリアルワールドの現状を把握するためにある都道府県の全レセプトデータを使わせていただき、現状は把握する研究を行いました!
日本の現状として、一人の患者が複数の病院にかかり、また複数の薬局を利用していることが原因であると考えられています。通常、患者の医療記録は病院ごとに作成されており、他の病院のカルテは確認できません。薬局の薬剤調剤履歴も同様に、他の薬局の履歴は確認ができていない状態となっているため複数の病院から投薬されてしまう現状があります。これによってポリファーマシーの状態へとつながってしまうと考えれています。
絶対数が悪いということではありませんが、ポリファーマシーの状況は注意しないといけません!ポリファーマシーの改善により、「処方カスケード」の予防や、医療費適切化にも関係していきます。
ポリファーマシーのことを知らない医療関係者も国民も多いので、今後さらに情報発信していきたいと思います!!
◆プロフィール情報
埼玉医科大学卒業後、都内の大学付属病院で初期研修を終了し、腎臓病学や高血圧学の臨床や研究に従事し、腎臓内科専門医や抗加齢医学専門医等の資格を取得。
予防医学やアンチエイジングの重要性を感じ、2016年より帝京大学公衆衛生大学院に入学し様々な研究に従事した。
2018年秋からハーバード大学公衆衛生大学院 (Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学中である。
◆資格
腎臓内科専門医、抗加齢医学専門医、内科学会認定医、日本医師会認定産業医、
公衆衛生学修士(Master of Public Health: MPH)
◆HP
https://activehealthlab.tokyo/
*本ブログにおける発言は個人的なものであり、所属組織を代表するものではありません。
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