【映画感想】シンエヴァ①【その死について】

※Twitterで公開していたものの再掲です。

 冗談で(半ば本気で)「エヴァの死」とこの完結を思っていたけど、当たらずとも遠からずだった。
 個々の物語としては良かった。
 私がエヴァリアタイ組でさえなければ、楽しく受け入れられたコンテンツだと思います。
 しかし多くのリアタイ勢がそうであるように、そして私よりも重症の方が多いであろうことも承知の上で、とりあえず吐き出させてくれ。感情のままに…。


 なんで、これをテレビ版最終話でやれなかったんですかね?

 お父さんは僕のことを愛してくれてるかな?
 お父さんは何を考えているんだろう?
 親子の対話が必要だね!
 じゃあ話そうね!

 なんで、これをテレビ版最終話でやれなかったんですかね?(2度目)

 この父子が対話をするために、世界は何度滅ぼされてんだ?(笑)
 (笑)じゃないよ!???

 エヴァは小難しい用語やかっこいい戦闘シーンを使いつつもシンプルに「他者との不理解」がテーマであった、と理解しています。
 テレビ版では「分かり合えなくても存在していい」という肯定を「おめでとう」と祝福される形で、旧劇では「気持ち悪い」と否定される中でもそれが他者がいる世界、自身の存在証明なのだと示す形で。
 とりわけ旧劇の「気持ち悪い」にはド刺さりして、分かり合えなくても、孤独でも、他人にどう思われても、存在していいのだという、逆説的な肯定が美少女からもらえるという大変素晴らしいオチになっていました。アスカに想いを馳せると心が壊れそうなので一旦横に置いておきますが、もう今日から私は「惣流原理主義」を名乗りますよ!あぁ、まったく!!式波ちゃんをああ描いたことで、私のアスカは死んで永遠になった!!!ありがとうございました!!!
 閑話休題。
 大人ケンスケの父親の墓場シーンから、「おまえの親父さんは生きているんだろ? 話し合えよ」的なことを言われたときには、マジで吐きそうになりました。
 それができない人々の物語だったのではないか?
 いろいろあって、大人になった、立派に切り盛りしている同級生に、「もう大人になれよ」と子ども時代を奪われたシンジが言われるんですよ。地獄かよ。
 ゲンドウが毒親か否かはともかくとして、「言葉さえ通じれば対話できる」というのは幻想です。まるで話の通じない人はいる。他人でもいるし、血縁にもいる。それは人が個人だから仕方ないこと。それがたまたま親と子であったり、兄と弟だったりするんじゃないですか。だから苦しい。
 その苦しさを、肯定したのがエヴァンゲリオンだという物語だと思っていました、よ。
 っはぁぁ。
 前作のテーマの否定は、まぁ、いい。
 予測されたこと。
 だってあんな形で終わらせて続編は?ってなったら、肯定しかない。うん。覚悟してた。
 は?ってなったのは、マリの描かれ方ですね。
 この新劇からのニューフェイス、マリちゃんがどういう立ち位置の子なのか、まるでわからないまま、最後を迎え、そしてシンジの手を取ってリクルートCMで締められたんですけど。
 母親の面影のあるレイからも初恋の少女であるアスカからも、そして父親の面影であったと無理矢理にこじつけられたとしか思えないカヲルからも離れ、シンジを別なところへ連れていく存在として生み出されたキャラクターなんですね。
 ご都合主義もここに極まれり、だろ。
 これはいけない。
 これはダメですよ、庵野監督。
 あなたは少年の救いのために、別の女を用意した。その女の背景をきちんと示さず、生身の人間として扱わずに、ましてや作中に二人の交流を描かず、ラストのためだけにそのキャラクタを描いた。
 いや、きちんと拾えば、マリの人となりは何となく分かる。エヴァに乗るのが楽しい、ワクワクする。ゲンドウの回想シーンから、ユイ以前に、彼らと親交があった存在、その縁の者でしょう。冬月を「先生」と呼ぶところからも、研究生か何かなのかもしれません。その時の動機もきっと「ワクワクする」があるんだと思います。
 で、親世代にいたと思しき少女を、シンジに充てがう理由は何?
 二人の交流も描かずに、何?
 エヴァの良さってリアリティのあるキャラ描写だったと思うのですけど、彼女だけ妙に浮いてるんですよね。なるほど、ラストで合点したよ。そりゃあ浮くわ。私は最後にこの子がラスボス的なエヴァと溶鉱炉に沈んでいくものとばかり思っていましたので…。
 監督の妻、安野モヨコのことは「さくらん」を読んだくらいのことしか知らないのですけど、よもやモデルじゃないでしょうね? 勘弁してくれ!!
 こんなんなら、第三村の、まったく名前も知らない、誰にも似ていない一般人の女と一緒になってメデタシエンドの方がまだマシだろうがぁぁぁ!!!
 つか、ダメだ。そして、やはりダメだ。
 惣流・アスカ・ラングレーについて、語らざるを得ない。私の永遠の少女。あなたが私のエヴァンゲリオンだった…。

その2へ続く!

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