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【映画感想】シン・ウルトラマン【見返り美人】

 ポスターでも映画でも、随所にウルトラマンが肩越しに振り返り、その美しい背中からヒップへのラインを見せつける構図が目立ちますが、そういえばエロ系のイラストでも腰を捻って無理やり胸と尻を同時に見せる構図が定番ですね。などと思いつつ。ウルトラマンに胸はないけども!その銀色の筋肉質なアレがかえって以下略
 ゴジラをはじめ、特撮モノはめちゃくちゃ語りたがるオタクがたくさんいるので、そちらに譲るとして。私などただのニワカ。浅い感想しかしたためません。ついでに言うと、コメディ色が強く賛否両論ある「タロウ」世代の人間で、花火をきれいなお花と間違えて地球に降り立った子怪獣を母親の元へ帰す話(やさしい世界…)や、ウルトラ兄弟たちが何故か海辺でバーベキューしている回など、大変好きでした(記憶は曖昧です)

 長々と語っても仕方がないので、一言で本作の感想を言わせてもらえば、「前半はとてもおもしろかった! が、後半はなんか違う」でした。

 前半は文句なしにおもしろかったんですよ!
 ドリルからカパッと怪獣(字が違うけど変換面倒だからこれでいく)の顔が出てきたのを見て、「あらぁ💕」と思いましたし、そこからウルトラマンが現れて怪獣をブンブン振り回して倒すまでの流れは、ペンライトふって「がんばれぇ!」ってしたかった。
 放射線の害があるから、と前回とは違う戦い方をして、人類に配慮しているとわかり、わたしたちを守ってる!とわかったときの感動よ!
 …ただ、そこまででしたね、私の興奮は。
 そのあと、なんか小さな怪獣が出てきて、政治的なとこから日本を、ひいては地球をどうこうしようとしてきて、メフィラスに至ってはほぼ人間の姿でしたし、なんか…なんか違う!となってしまった。ウルトラマンもとい神永と、浅草の粋な居酒屋で一杯やるの図は大変好みでしたが(怪獣居酒屋、行ってみたいね)(新橋ならもっとよかったのにね!)
 対ザラブ戦のときの、美しい高層ビルの夜景の中での空中戦を見たときは、あぁ、これは令和のウルトラマンだぞ、シン・ウルトラマンだぞ!と興奮もしました。けど、その前段階のごちゃごちゃした話、必要?

 私としてはもっと歴代の、たくさんの怪獣が出てきて、それを仲間たちと共に知恵を出し合って打倒していく──それこそ、エヴァの使徒戦の総集編みたいなものを期待していたので、大人たちが難しい顔して延々と政治的な話を続ける展開には「なんか違うな?」となってしまった。
 後半も映画として楽しめたといえば楽しめたのですが(前作?「シン・ゴジラ」と世界観が繋がっていることが示唆されたりなんだり)「ウルトラマン」として見たかった展開かと言われると、うーん?
 シンゴジがその路線でも楽しく見れたのは、主人公たる「ゴジラ」が始終画面にいたからなんだなと思いました。ゴジラちゃんの成長過程をニコニコハラハラしながら見守りつつ、人類の叡智を応援する──矛盾しているけど、それを同時に可能にさせた作品だったのですね。
 そう、そして、冒頭のウルトラQオマージュで興奮した時にも気付くべきでしたが、私、ウルトラマンよりも怪獣が好きなのでは? いや、ウルトラマンとしての「好き」はウルトラマンタロウで見たファミリードラマ的な要素が好きなのであって、そこが補完されないからモヤモヤしているのでは?と。
 長澤まさみもとい浅見弘子も立ち位置も、あまりしっくり来なかった。彼女は近年の作品から、どちらかといえばコメディ色の強い女優さんですが、今回はそれが強く出過ぎたように思います。主人公が宇宙人ということで、ド真面目に大ボケをやらかすため、そのツッコミ役として必要だったことはわかるのですが。
 公安出身のアナリスト?というわりに、なんかの言語で宇宙人に確認を取る以外に能力の見せ場がなく、神永を「待つだけの女」となった印象が強い。偽ウルトラマンに捕まる→助けられる、巨大化させられる、などの流れも、必要以上に「ヒロイン」としての色が強くて、あー?となってしまった。シンゴジにおける石原さとみにはなかった、「おまえはウルトラマンの何なんだ」感があって……。
 いや、「バディ」としてピンチの彼を助ける、適宜ツッコミを入れるというシーンはあったんですけど、そこが主流ではない以上、一つの映画の中で「時間を重ねた絆」を演出するのは難しかったように思えます。「私だけはウルトラマンをわかってるのよ」感が、鼻につくんですよね。なるほど、これが嫉妬!?

 とはいえ、映画として面白いか、面白くないかと言われれば、断然「面白い」。
 特に禍特対のメンバーの個性は、前作?のシンゴジよりも人数が少なかった分、明確で大変よかった。眼鏡の既婚女性が早見あかりと聞いて、びえっ!?となったし、滝くんがジャニーズ出身と聞いて、ほわ!?となりました。
 他にも、どこに出てきたんだよ…みたいな人たちも大変多くて、ですね。
 2回目、3回目の試聴にも耐えられるのかなと思いました。

 ただ、ゼットンのあの形状は、なんか違う……って拒否反応を持ちました。なんなんです、あれ。空にうっすら浮かぶやつの姿に、岩井俊二『8日で死んだ怪獣の12日物語』に似たような絵を見た気がするんですけど、どうだったかな?
 案外シンマンの前日譚として、穴場的な作品かもしらん。コロナ禍の中、特異な状況で撮影された1つの作品としてもとても興味深いです。ダイマしときますね!
 
 応援上演があれば行きたい(無音でペンライトだけ振れるやつでも)けど、そうでなければ2回目の試聴は、テレビでの放送、アマプラでの配信を待つ感じですかね。
 ライダーが一段落したら、今度はドラマシリーズで「シン・ウルトラQ」を作ってくれ。頼むよ。

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