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セナのCA見聞録 Vol.49 祖父と二人のハワイ旅行 その2

「スタンバイの方、こちらに集合して下さい。」とカウンター職員が召集をかけると、一人、また一人とスタンバイ客に搭乗券が渡されていきました。

しかし、祖父と私の名前はなかなか呼ばれませんでした。

もう出発時刻まであと15分足らずというところで、最後の最後に私達二人の名前が呼ばれ、「以上です。」と締め切られました。

スタンバイで待っている人の中には同僚のCAもいて、その子は呼ばれなかったのですが、彼女は「私は日を改めてまた行けばいいから。セナちゃんとおじい様が乗れて私も嬉しい。私は昨日から待っているわけでもないし。おじい様とハワイ楽しんできてね。」と笑顔で見送ってくれました。

「おじいちゃん、やった。乗れるよ。今日は乗れる。ああ、良かった。さあ、急いで搭乗口へ行こう。」と座席に座って待つ祖父の手をひいて急ぐのですが、走ることなど到底できない祖父のペースにあわせ、ようやく搭乗口へ到着し、ゲート職員に搭乗券を見せると、彼女は「そんな! なんで? 今飛行機のドア閉めてきたところですよ。」と大慌てしました。

そして「ちょっと待った~! 飛行機行かないで~!」とジェットウェイを大急ぎで走り、ゲートをまさに今離れようとしている飛行機のドアを外側からコンコンと叩いて間一髪で停めてくれました。

座席番号は搭乗口の職員がコンピューター画面を見ながら、空席をチェックして、空いている席をマジックで手書き記入するので、この段階になっても二人並んで座れるのか、別々の席なのか、どこに座るのか全くわからないままでした。

一旦閉じた飛行機のドアをもう一度開けてもらい、恐縮しながら中に乗せてもらうと、先ほどのゲート職員は「はい、これがあなたたちの座席。」と私に搭乗券の半券を渡し、「では、いってらっしゃい。」と再びがっちりと飛行機のドアを閉め、搭乗口まで引き返していきました。

祖父と私はどの座席かを確認する間もなく、ドア口にいたCAも早く出発したいので、地上職員からチケットを直接受け取るなり、「こちらですよ。」と私たち二人を案内しました。

なんと😲

そこはファーストクラスでした。

しかも二人並んで最後部席に。

「おじいちゃん、すごい。ファーストクラスだよ。信じられない。」

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