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おばあちゃんのおひざもと 第28話 熊ん蜂

「痛っ!」ふきを採りに行こうと思って裏を歩いてたら、急に熊ん蜂に脳天を刺されちゃって。「痛いっ」て手を当てたら、その手をまた刺されちゃってねえ。どでかい蜂の巣が軒下にあるのは前から知ってたけど、まさか襲われるとは思ってなかった。もう痛いなんてもんじゃないよ、あれは。心臓がドキドキして音が聞こえるくらいで、鼓動がどんどん早くなってきて、気失うかと思った。ハーハー言いながら、一人で地面を這うようにしてようやく家の中に上がってさあ。次第に刺されたところが熱もってパンパンに腫れてきて、ズキズキ痛み出して、もう何にも手につかない。夜になっても眠れない痛さ。毒が相当体に回ったんだね。腫れがひくまで何日もかかったよ。近所のおばさんから、蜂刺されには里芋の葉っぱをすりおろして塗るといいって聞いてね、すぐに試してみて。それを刺されたところに当てている間は案外と痛みと腫れがひいたみたいだった。蜂の巣の近くで遊んじゃダメだよ。刺された痛くて大変だから。」


*この本は第1話から46話まで、順番に各章の最初の頭文字一音をつなげていくと、あるメッセージ明らかになります。さて、どんなメッセージでしょうか。

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隠されたメッセージ。いろはかるたの小説版。最初から最後の章まで、各章の頭文字を書き出していくと、最後にこの本の核心が明らかになります。かるた同様、お遊び感覚でも楽しめる本です。

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