12宮をめぐる冥王星が歴史を変える（抄訳）
本稿は米国の占星術師、パトリック・ワトソン氏が自身のブログ（https://patrickwatsonastrology.com/）に書いていた2018年6月25日付で投稿した記事「A History of Pluto Through The Zodiac」の抄訳版です。The Zodiacとは「獣帯」＝黄道帯のことで、春分点から角度にして30°ずつ、占星術で使う12の星座（英語でSign サイン＝12宮）を示します。
（上はPatrick Watson氏のTwitterアカウント）
冥王星は記号として「♇」を使います（訳者注：他の記号もあるがフォント表示が出てこない：出し方があれば教えていただきたく）。
獣帯＝黄道12宮（サイン）の記号は春分点（黄経0°）から順に、牡羊座（白羊宮）♈️／牡牛座（金牛宮）♉️／双子座（双児宮）♊️／蟹座（巨蟹宮）♋️／獅子座（獅子宮）♌️／乙女座（処女宮）♍️／天秤座（天秤宮）♎️／射手座（人馬宮）♐️／山羊座（磨羯宮）♑️／水瓶座（宝瓶宮）♒️／魚座（双魚宮）♓️――となります。
冥王星がそれぞれのサインに入ると、どんなことが起きてきたのか。また今後冥王星が入るサインではどんなことが起きうるのか。ワトソン氏は記事中、「米国人なので米国の歴史に偏りがちなのは許してほしい」と書いていますが、いずれも分かりやすく解説が秀逸なので、簡単に訳してみました。
以下、各サインごとの解説を抄訳します（翻訳はDeepL様さまで、それを適宜修正していますが、小慣れていない部分も残ります）。
そもそも冥王星とは？ 大きなものを小さく、小さなものを大きく
冥王星は太陽系を１周するのに2世紀半近くかかる。他の惑星と比べて冥王星の軌道は極めて偏っており、黄道から大きく外れ、時には海王星よりも太陽に近く、14〜31年かけて１つのサインの中で過ごす。冥王星は1930年に発見された。当時の世界ではファシズムが台頭し、人類は原子核の基本的な力を認識し、一たび壊れると終末的な爆発が起こるということを知った時代だった。
したがって、冥王星は極端な概念――大きなものを小さくし、小さなものを大きくするという概念と一般的に関連している。また専制政治や腐敗、絶対的な支配と絶対的な権力、政府や銀行、企業の役員室などのエリートシステムにおける有力者とも関連がある。
この冥王星が各サインを通過するとき、その星座を支配する惑星のトピックを強化し、歪め、腐敗させ、分解し、変容させる。占星術師は時代のトラウマになりかねない冥王星の通過にしばしば注意を払うが、確かにある種の激動や変容、また死と再生を予感させる。
牡羊座♈️の冥王星 西部劇の“荒くれ者”が跋扈
このカーディナル（Cardinal 活動的）な火のサイン牡羊座♈️は火星が支配している。大胆さ、勇気、勇敢さ、情熱に関連しているが、同時に暴力、裏切り、悪役にもかかわる。牡羊座の冥王星は、これらの意味を強化し、歪め、腐敗させ、分解し、変容させる。この冥王星が♈️の時期、人々はグループとして大胆で起業家精神にあふれ、荒々しく、苦労する人が目立つかもしれない。♈️の冥王星と個人的な惑星やポイントとのアスペクトがある人は、「カウボーイ」のように無骨な個人主義者として際立つ可能性がある。
人々もその時代の特徴を引き継ぐ。1822年〜1853年の冥王星♈️の時代はリーダーシップや起業家精神、勇気といった概念を、専制、搾取、極悪に歪めた。「マニフェスト・デスティニー」（訳者注：Manifest Destiny＝「明白なる使命」として米国の西部開拓や原住民虐殺を正当化した標語）によってアメリカ白人が新たな領土を求めて積極的に西へ拡大した結果、アメリカ先住民の大量強制移住と大量虐殺が行なわれ、アフリカ人の奴隷化を巡る緊張は沸点に達した。
西部劇の強盗男爵、無法者、ガンマンたちの多くはこの時代に生まれた。また「スミス＆ウェッソン」「コルト」「ウィンチェスター」など著名な銃器メーカーもこの時代にその起源を持つ。これらの19世紀の銃のハンドルは、しばしば雄羊の角で作られた。「牡羊座」のイメージだ！つまり牡羊座の冥王星は、西部開拓時代の無骨な個人主義、暴力、無法が生まれるきっかけとなった野蛮さと残酷さを象徴する。
牡牛座♉️の冥王星 奴隷制度の始まりと終わり、西部開拓
このフィクスト（fixed 固定）な土のサインは、物質的価値、感覚、財産、贅沢、忍耐、物体の永続性に関連する金星が支配している。♉️の冥王星はこれらの意味を強化し、歪め、腐敗させ、分解し、変容させる。
この時期の人々は、グループとして物質主義的で、のんびりしており、地に足がついていないことが目立つかもしれない。冥王星が、より個人的な惑星やポイントへのアスペクトを持つ人は、その実業家やホームステッダー（所有権を得るために法に従って政府の土地に定住する入植者）として目立つだろう。
人々もその時代の特徴を受け継ぐ。1852年から1884年の冥王星♉️の時期は、財産や価値の概念を一変させ、極端な富と貧困と機会を生み出した。1619年8月20日、最初のアフリカ人が奴隷としてアメリカ大陸につれてこられたのは冥王星が♉️12°にあった時である。1863年に冥王星が再びその位置に達したとき、エイブラハム・リンカーンの奴隷解放宣言によって、奴隷状態にあったアメリカ人に自由が与えられ、奴隷制度が内包する“財産”というねじれた概念に致命的な打撃を与えた。
法的な奴隷制度は廃止されたものの、産業経済がますます発展する中で、シェアクロッピング（小作農）や賃金奴隷が、自給自足の生活、貧困、借金で人々を縛り付けていた。同時に、最も影響力のある「ホームステッド法」が成立し、南部連合に参加しなかった人たちに何百万エーカーもの土地を自由に与えるというフリーソイラの願いが実現した。このチャンスを逃すまいと西へ西へと移動する入植者たちの大移動が、西部開拓時代を築いた。
一方で、この時代の第二次産業革命が生み出した富は、独占的な「産業界のキャプテン」や腐敗した「強盗男爵」によって集約され、企業とその指導者をかつてないほど幻想的に豊かにした。また全国銀行法が制定され、現在の州銀行と連邦銀行の制度が確立されたのもこの時期だった。さらにウォール街にニューヨーク証券取引所が開設され、その後100年以上にわたって世界の金融の中心地となったのもこの時期である。投資家にとって有利な相場を「強気（ブル Bull）」といい、ニューヨークの金融街には突進する雄牛の像があるほど。牡牛座♉️のイメージだ！
双子座♊️の冥王星 通信とメディアが華開く
このミュータブル（Mutable 柔軟）な風のサインは、コミュニケーション、言語、計算、変幻自在、曖昧さ、二元性に関連する水星が支配している。双子座♊️の冥王星は、これらの意味を強化し、歪め、腐敗させ、分解し、変容させる。
この時期の人々は集団として知的なイコノクラストとして際立っているかもしれない。♊️の冥王星と個人的な惑星やポイントとのアスペクトがある人は、その変容をもたらす作家やコミュニケーターとして目立つだろう。
人々はまた、その時代の特徴を受け継ぐ。1882年から1914年の冥王星♊️の時期は、コミュニケーション、二重性、不確定性といった水星人の概念を一変させた。この冥王星♊️の時期は、1887年から1902年にかけて海王星が双子座を同時通過して冥王星と合流していたため、特に劇的だった。
一般的に海王星と冥王星のコンジャンクション（合）は、サインの性質と一致する深遠な影響により、強力な想像力と境界の曖昧さという驚くべきダイナミズムをもたらす。
電話が主流になり、ラジオが発明され、蓄音機が初めて商品化され、音楽が初めて人々の家庭にもたらされた。この頃から、マス・コミュニケーションとマス・メディアの時代が始まり、初めて全国版の雑誌が発行され、標準的な情報や娯楽の流通が可能になり、広告にも革命が起きた。
特に電話の発明は、20世紀に向けてコミュニケーションのあり方を大きく変え、グローバルなコミュニケーションを可能にし、人々の間の時間と空間の境界を前例のない方法で曖昧にした。またアインシュタインの相対性理論とプランクの量子物理学が登場して古典力学を覆すとともに、時間、空間、エネルギー、物質に対する理解を不安定にし、相対化させたのもこの頃だ。
つまり♊️の冥王星は、相反するものの緊張とパラドックスという数学的対話によって、私たちの世界についての理解とコミュニケーションを、さらに深める存在だったのである。
蟹座♋️の冥王星 民族主義がファシズムへ、加工食品も登場
この水のサインは月が支配し、コミュニティや部族、子育てや家庭、食糧や栄養と関連している。 つまり蟹座♋️の冥王星は、これらの意味を強化し、歪め、腐らせ、分解し、変容させる。
この時期の人々は、集団として健全で、共同体主義的で、奉仕的であることが際立つかもしれない。冥王星から個人的な惑星やポイントへのアスペクトを持つ人は、変容する世話人や保護者として目立つだろう。
また人々は自分が生まれた時代の特徴を引き継ぐ。1914年から1939年の冥王星♋️の時期は、国を愛する気持ちを、第一次世界大戦とその直後の民族主義的な部族主義やファシズムに歪めた。この時代、多くの国で女性参政権が初めて認められ、女性や母親の役割に変化が生じた。さらにこの時代は、初めて工業化された加工食品、缶詰、冷凍食品が登場し、世界恐慌の際には食糧不足と配給が続いた。これは人と食の関係、市場や農場と政府との関係を根本から変え、家庭における日常の食事作りに影響を与えた。
獅子座♌️の冥王星 歪んだ独裁者が世界を蹂躙
この固定された火のサインは太陽が支配し、輝きや王族、リーダー、芸能界のスター、ヒーロー、知名度の高い場所にいる人、権力者と関連している。獅子座♌️の冥王星は、これらの意味を強化し、歪め、腐敗させ、分解し、変容させる。
この時期の人々は、集団として誇り高く堂々としているのが目立つ。冥王星と個人的な惑星やポイントとのアスペクトがある人は、ロックの神様やスーパースターとして抜きん出るかもしれない。
人々はその生まれた時代の特徴を引き継ぐ。1937年から1958年の冥王星♌️の期間は、世界の指導者たちをヒトラーやルーズベルトのような歪んだ悪の独裁者や善良な独裁者に仕立て上げた。核爆弾の驚異的で恐ろしい爆発によって、第二次世界大戦は終結した。その結果、出生率が大幅に上昇し、獅子座の冥王星の世代であるベビーブーマーが生まれた。
ハリウッドの黄金時代には多くの王や女王が“即位”したほか、最初のスーパーヒーロー・コミックがこの時期に出版され、しばしば原子力の時代の希望と恐怖を反映した。要するに、♌️の冥王星はまばゆいばかりの閃光を放ち、その後の数十年間、その子供たちの中で明るく燃え上がり、行く手を阻むものすべてを破壊した。
乙女座♍️の冥王星 電卓・コンピューターから環境保護へ
このミュータブルである土のサインは水星が支配し、実用性、技術性、謙虚さ、完璧さの追求、労働倫理、奉仕の誇りに関連している。乙女座♍️の冥王星は、これらの象徴に力を与え、歪め、腐敗させ、分解し、変容させたわけだ。
この時期の人々は、グループとして慎重かつ良心的であり、地球の生態系の再生と資源の賢明な管理に向けて道を切り開く可能性がある。冥王星と個人的な惑星やポイントとのアスペクトがある人は、その人の変革のためのスチュワードやトラブルシューターとして目立つかもしれない。
人々は自分が生まれた時代の特徴を受け継ぐ。1956年から1972年の乙女座の冥王星の期間は、計算、義務、奉仕、執政といった水星人の概念を一変させた。この冥王星♍️の時期は、1962年から1969年にかけて天王星も♍️を同時に通過し、冥王星とコンジャンクション（合）したため、特に劇的なものとなった。一般的に天王星と冥王星のコンジャンクションは、1960年代の力強い解放と個人主義の驚くべきダイナミックさを説明し、サインの性質と一致する深い影響を与えた。
この時期には電卓の発明、ATMの発明、「BASIC（ベーシック）」という使いやすいプログラミング言語の発明、インターネットの初期プロトタイプの発明、最初の電子メールの送信、最初のハイパーテキストリンク、最初のマウスクリック、最初のスーパーコンピュータなど、相互に関連する乙女座のテーマやトピックに、冥王星が焦点を当てた。♍️は医学的な関連性を持っており、メディケアとメディケイドが設立され、高齢者や貧困層のために医療費の補助が拡大されたのもこの時期だ。
この時期、レイチェル・カーソンの『沈黙の春』やポール・エーリックの『人口爆弾』など、終末論的な主張によって、現代の環境保護運動が発展した。それらの著作では生態系が破壊される致命的なシナリオの可能性を裏付ける数字や事実が並べられていた。
このような意識の高まりが、特定の農薬の禁止やグリーンピース、環境保護庁、アースデイなどの設立につながった。レイチェル・カーソンは環境を救う方法として、自然の前に謙虚になり、自然の資源に対する欲望を自制することを提案した。これは♍️の謙虚さ、純粋さ、慎重さ、実用性を好む性質に合致している。
天秤座♎️の冥王星 伝統的な性別役割の見直しと平和運動
カーディナルな風のサインである天秤座♎️は金星が支配するサインで、バランスや人間関係、平等、平和、調和、美、愛に関連している。♎️の冥王星はこれらの意味を強化し、歪め、腐敗させ、分解し、変容させた。
この時期の人々は、不平等に対してアンバランスであること、あるいはグループとしてバランスを再定義する姿勢が目立つかもしれない。冥王星と個人的な惑星やポイントとのアスペクトを持つ人は、調和、平等、正義を求める変革的な反逆の心が浮かび上がってくるだろう。
また、人々はその時代の特徴を受け継ぐ。1971年から1984年の冥王星♎️の時期は、1971年から1976年にかけて天王星が同じ♎️に滞在していた。この時期は、無過失離婚の合法化による1970年代の離婚革命や、中絶の合法化による伝統的な性別役割の変容、現代の同性愛者の権利運動の始まりとほぼ一致する。また男女同権修正条項のキャンペーンが本格化した時期でもあり、女性同士を対立させることで敗北した時期でもあった。
70年代後半から80年代前半にかけては、ポルノ反対派のフェミニストとセックス肯定派のフェミニストが、ポルノ、売春、BDSMなどの問題で対立する「フェミニスト・セックス・ウォーズ」が繰り広げられた。またこの時期、♎️生まれのジョン・レノンが平和活動を展開し、「イマジン」「平和を願う」などを発表して、この時代の反戦運動と結びついた。
蠍座♏️の冥王星 魔術やホラーに馴染むミレニアル世代
このフィクストな水のサインは火星が支配し、不敬、猥褻、恐怖、また戦闘性、暗い事柄、秘密と関連している。蠍座♏️の冥王星は、これらの意味を強化し、歪め、腐敗させ、分解し、変容させる。
♏️は冥王星が最も長く滞在しないサインであり、このサインを通過することには興味深い意味がある。冥王星が最後に♏️にいた1983年から1995年には、社会学者たちからよく悪者にされ誤解されているミレニアル世代が誕生した時期とほぼ重なる。ミレニアル世代の何が蠍座的なのか？ 『ハリー・ポッター』で育った子供たちの世代で、組織的な宗教よりもオカルトや魔術に興味を示す。子供の頃に『グースバンプス（Goosebumps）』というホラーシリーズに夢中になったことが、ミレニアル世代のホラージャンル、特にゾンビ・アポカリプスのシナリオへの憧れにつながっている。ティム・バートンの魅力的で不気味な『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』をカルトヒットさせたのも彼らだ。10代の頃から彼らはエモく、HOT TOPIC（訳者注：カルチャー系ショップを展開するアメリカ企業）で買い物をした。
（参考記事）
https://note.com/amanjyoshi/n/nddfd4d245b29
また♏️は刃物、切り傷、傷跡を示す火星が支配しているサインであり、ミレニアル世代が職場でもタトゥーやピアスを大きく受け入れ、主流とすることで自分たちを際立たせているのは興味深い。またミレニアル世代は学校での銃乱射事件が悲惨なまでに多発する中、学校に通う最初の世代だった。
冥王星は大きなものを小さくし、小さなものを大きくする。それに従ってトラウマ、トリガー、マイクロアグレッションに対するミレニアル世代の感受性は、ヘイトスピーチを許容することがより極端なのか、それともそこから他者を守ることが極端すぎるのかという議論につながった。
この世代には悪魔がいるかもしれないが、やがてミレニアル世代は集団として冷酷で、勇敢で、野蛮で、恐ろしくて、妥協しないことを証明するかもしれない。冥王星と個人的な惑星やポイントとのアスペクトがある人は、その変革的な象徴や抵抗者として目立つ可能性もある。
人々はまた、自分が生まれた時代の特徴を受け継ぐ。1983年から1995年の冥王星♏️の時期は、侵略、危険、秘密戦という概念を歪め、終末的な軍拡競争や壮大なスケールの死との接近戦に発展させた。核戦争への恐怖は映画「ザ・デイ・アフター」で描かれた恐ろしいほどリアルな核攻撃と、同じ時期に米ソが実際に核戦争寸前にまで対立したことで最高潮に達した。またチェルノブイリ原発事故は原子力発電がもたらす重大な危険性を強調した。 エイズは、セックスや血液の伝達によって何百万人もの人を亡きものにした。
ポップカルチャーの面では、古典的なカルトホラー映画が数多く公開された時期だった。家族向けの映画でも「ゴーストバスターズ」や「グレムリン」など、ダークでグロい超自然的な作品に傾倒し、ティム・バートンはダークでゴシックなおとぎ話の製作に全盛の時期でもあった。
また、冥王星♏️に特徴的なのはインダストリアル・ミュージックの出現だ。インダストリアル・ミュージックとは、暗くて過激な怒りに満ちた反音楽的な芸術形態で、侵犯的、暴力的、性的、不穏な話題やテーマに焦点を当て、ショック戦術の使用、ノイズ音楽の使用、ファシスト的象徴やオカルトへの媚びが特徴だ。マリリン・マンソン（Marilyn Manson ）や ナイン・インチ・ネイルズ（Nine Inch Nails）に代表されるように、この種の芸術が流行した。つまり♏️の冥王星は、私たちが奈落の底と背後から迫る黙示録を見たとき、私たちを前に進ませることになったのである。
射手座♐️の冥王星 ネット台頭で知識の中心が根本から変容
このミュータブルな火のサインは、知恵、知識、視野の拡大、信仰、宗教、過剰、富に関連する木星が支配している。 射手座♐️の冥王星は、これらの意味を強化し、歪め、腐らせ、分解し、変容させた。
この期間の人々は、グループとして熱心で賢明な存在として目立つかもしれない。冥王星と個人的な惑星やポイントとのアスペクトがある人は、その変革の先駆者、預言者として注目される可能性がある。
人々はその時代の特徴を引き継ぐ。1995年から2008年の冥王星♐️の時期には、百科事典、図書館、新聞といった知識の中心が根本的に変容し、インターネットとしても知られる情報スーパーハイウェイを通じて世界的にデジタル化された。印刷メディアは死に、本はキンドルやPDFに取って代わられ、百科事典はWikipediaのようなプロジェクトに取って代わられた。
この時代は「ドットコム・ブーム」の時代で、スクラップなインターネット新興企業が、やがてGoogleやFacebookといった、私たちのことを知りすぎている今日のモノリシックな企業の支配者となった。
またこの時代にはイスラム教徒やキリスト教徒、新無神論者の間で、宗教的・哲学的な分極化と過激化が並行して進み、特に9.11テロを契機として、その傾向が顕著になった。
この世代は、信じられないほどの富と信仰と知恵を手に入れることができるが、同時に過激主義や原理主義に対抗しなければならない。知識は力であり、この世代はそれを悪用する可能性があることを証明するかもしれない。
山羊座♑️の冥王星 米独立とリーマンショックの共通点
カーディナルな土のサインである山羊座♑️は土星に支配され、体系化や構造、現状維持、守旧派、法律や罰に関連している。 つまり♑️の冥王星は、これらの意味を強化し、歪め、腐らせ、分解し、変容させる。
この時期の人々は、グループとして野心的で決断力があることが目立つかもしれない。冥王星からより個人的な惑星やポイントへのアスペクトを持つ人は、その変革の建築家や専門家として出色な存在になるだろう。
人々はその時代の特徴を受け継ぎ、1762年から1778年の冥王星♑️の時代には、アメリカ独立戦争が始まり、世界最強だった大英帝国が一刀両断され、新たな勢力が誕生した時代である。現在の2008年から2024年の冥王星♑️の時期は、2008年の経済危機（リーマンショック）やウォール街の占拠、アラブの春、ウィキリークス、エドワード・スノーデン、ブレグジット、2016年の選挙などの過程で、天王星からのスクエアによって、すべての既成の権力がガタガタになるのを見た。
同時に世界中の政府は、腐敗、縁故資本主義、寡頭政治、権威主義に向かう傾向にある。アメリカは2022年に冥王星回帰（訳者注：アメリカ建国時の冥王星があった位置に再び冥王星が重なる回帰時期）を迎えるが、一方では中国が台頭している。最強の権力者が最も失うものが多く、最も屑で飢えた者が最も得るものが多い。
水瓶座♒️の冥王星 前回は啓蒙思想から合理主義へと暴走
このフィクスト（固定された）な風のサインは土星が支配しており、冷たい合理性、切り離し、抽象化、ストイックさに関連している。つまり、水瓶座♒️の冥王星は、こうした象徴性に力を与え、歪め、腐敗させ、分解し、変容させた。
この時期の人々はグループとして実用主義的、反抗的、懐疑的であることが際立つかもしれない。冥王星と個人的な惑星やポイントとのアスペクトがある人は、変幻自在の不適合者、抽象的な理論家、アンチヒーローとして目立つことになるであろう。
人々は生まれた時代の特徴を受け継ぐので、1778年から1798年の冥王星♒️の時代は、土星人の理性と懐疑の概念を、深い意味を持つ抽象的な構造の確立へと変化させたのである。
この時代には、アメリカ合衆国憲法の批准と世界的なメートル法が制定された。モーツァルト（1756年1月27日♒️生まれ）やハイドンなどが絶頂期を迎えたクラシック音楽時代には、啓蒙思想に基づく綺麗なハーモニーと秩序ある構造で頂点に立った。ジェレミー・ベンサム（♒️生まれ）が功利主義の理論を発表したのもこの頃で、完全に世俗的な法律と道徳のシステムである。
この時期の天王星と冥王星の対立はフランス革命と重なり、しばしば啓蒙主義的合理主義の暴走の例として指摘される。
2023年から2044年の♒️冥王星の時期は、合理的、科学的、世俗的、あるいはアルゴリズム的な根拠に基づいて、抽象的な法律や測定のシステムを根本的に変革し、改革する可能性がある。
魚座♓️の冥王星 蒸気機関が海の移動を変え、ロマン主義が台頭
このミュータブル（柔軟）な水のサインは、スピリチュアリズム、インスピレーション、信念、ビジョン、夢に関連する木星が支配している。魚座♓️の冥王星は、これらの意味を強化し、歪め、腐敗させ、分解し、変容させたわけだ。
この時期の人々は、グループとして霊感が強く、スピリチュアルな存在として目立つかもしれない。また冥王星と個人的な惑星やポイントとのアスペクトがある人は、変容の導師、芸術家、夢想家として浮上するだろう。
人々はその時代の特徴を受け継いでいる。1797年から1823年にかけての冥王星♓️の時期は、水という資源に大きな影響を与え、この時代に登場した最初の高圧蒸気機関によって、鉄道や海での移動に力を与えた。
この時期は、フランスを新しいローマ帝国にするという夢を追い求め、ナポレオン法典が施行された場所で自由主義的な改革を広めたナポレオンの興亡とほぼ重なる。
啓蒙主義の厳しい合理主義に反発して、自由な表現、奔放な感情、自然との孤独な瞑想、神話、神秘、超自然など、魚座の無境界を受け入れたロマン主義の始まりである。ベートーヴェンが聴力を失い始めたのもこの時期で、最もパワフルで有名な音楽を作曲し、ロマン派のサウンドトラックとなった。
今後の冥王星の動き
冥王星は2023年3月23日に水瓶座♒️に入り、その後は逆行に転じて6月11日に山羊座♑️にリグレスした（戻った）。そして2024年1月21日に再び♒️にイングレスする（入る）。
さらに、24年9月2日に2度目の♑️戻りをした後、24年11月20日に♒️に入り直して、以後は2042年3月9日に魚座♓️に入る。
山羊座♑️も水瓶座♒️も土星が支配するサインだが、カーディナル（行動的）だが土のサインである♑️と、フィックスト（固定）だが風のサインである♒️とでは変容を迫る象徴がだいぶ異なる。物質欲にまみれたエゴ剥き出しの世界が少しずつ変わっていく転機となるかどうか――。
（了）
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