ピンクのおふとんと私
見慣れない部屋に敷かれた、真新しいピンク色のふとん。それを見た瞬間、ほっとした。
好きな色は?と聞かれたら、迷わずピンクと答える私の、ふとん。
ピンクの子
気がついたら、私のカバンの中の雑貨はピンク色のものばかりになっている。
特にコレクションしているわけでもなかったのだが、どうやらいつの間にか「ピンク色のものはかわいい」という思考回路ができあがっていたんじゃないかと思う。
気づいたころには、物を選ぶとき、ピンク色であるということがひとつの基準になってすらいた。
ピンク色の展開がない場合、「ピンクじゃないけど……どうしよう」というところから検討がはじまる状態。
ピンク色のコートを着て、ピンク色のカバンを持って説明会に行ったせいで、就活先の担当者に「ピンクの子」として認知された。
ちなみに、縁あってその会社に内定をいただいたので、私は現役で「ピンクの子」である。
ピンク、と一口にいっても、いろいろな種類のピンクがある。きついピンク、淡いピンク、赤に近いピンク、紫に近いピンク。
小学生の頃好きだったのは濃いピンクだったが、だんだんと桜色に惹かれるようになった。
ただ桜色の雑貨は汚れやすいせいか、なかなか手に入らないのが中高生時代の悩みだった。
今はコーラルピンクからマゼンタあたりまでが守備範囲。
赤系統の色を薄くしたような色合いを見ると、目が惹かれてしまうのは小学生のころから変わらない。
ピンク色は帰る場所
そんな私の実家の部屋は、ピンク色のものが多かった。
といってもカーテンと布団カバーと椅子くらいのものだが、間違いなく私にとって心地よい空間だった。
しかし、そんなピンクに満ちた暮らしは、結婚によって一変することになる。
賃貸アパートの一室。
都合があって「最低限の荷物で」ということになり、そしてパートナーへの忖度もあり、全然ピンクじゃない部屋で暮らすことになった。
しかし、そんな部屋にピンク色の布団を敷いてみるとあら不思議。
あっというまに、「自分のねぐら」ができあがった。
あ、これは私の寝るところだ。ここは私の家だ。
それまで「慣れない場所」だった新居が、ニトリの布団カバーで一気に「おうち」になった。
私はそこまでピンクが好きだったのか……驚き半分、納得半分。なかば習性のようにピンク色の物を集めていたのだから、ピンク色に救われるくらい、おかしいことではないのかもしれない。
数日後、髪の毛をピンク色にしようかな……と思い立ったのはまた別のお話。
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