あげたい本

描き続けておりました
淡いピンクのワンピースを着て
私はあなたを描き続けておりました

お顔を思い出せないの
青い花みたいに
何度も描いているのに
多分あなただったと思う
そう思いたいのです

せっかく罰金を支払って
私は意味なく生きてきたのです
あなたに意味を委ねても
よろしくはありませんか?
あなたに見つからないのなら
それでもよいのではないですか?

だからあなたが私に
髪飾りを差さない間は
あなたは私の全てでよいのです

困惑と混濁と
混ぜ合わせた香りの中に
ふと目が合ったなら
どうぞこの本を差し上げます
日本語もドイツ語も
なんの言語かもわかりませんが
きっと読めるはずです
温度があれば
それだけで十分、本になるのですよ

差し上げるから
どうぞここに

私が笑みを向けるのはあなただけです

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