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車輪の下

私はアルバイトで家庭教師をしていますが、家庭教師をする上でのバイブルがあります。

『車輪の下』(ヘルマン・ヘッセ)です。

〜以下、ネタバレ注意〜

私と主人公のハンスには沢山共通点があると思っていて、書いてしまうと自慢になったり同情を買ったりしそうでやめておきますが、一文で言うと、

学校や親からの期待を裏切り、味方が誰もいなくなる

という経験。今は色々あったけれども親とも仲が良いし、友人もいるけれど、当時は思春期もあって相当堪えました。

『教育』は、時として人を殺すのだということを、車輪の下を読むと思い出されます。

家庭教師は軽い気持ちで始めたところはありましたが、今は命懸けでやっています。

塾講師との違いは大きく二つあると思っていて、

①親御様と密に連絡を取ることができる
②生徒様の生活の一部になれる

の二つなのですが、私の中で後者にとても責任を感じています。

家の中が辛い場所と化してほしくないからです。

生活の一部になるということは、ある意味家族の仲間入りをするということ。

互いにリスペクトをもって、なるべく叱らずに指導していきたい。

そのためにはまず私のことを好きになってもらって、自発的に学習を進めてもらう。

『叱れない』ことが私の弱みなのかもしれないけれど、『怒る』よりは余程ましだと思います。

以前、映画『縞模様のパジャマの少年』というユダヤ人大量虐殺の映画を観たのですが、冒頭でこんな言葉がありました(またもやネタバレ)。

『子どもとは、音、匂い、そして目に見えるものが全てである』

ざっと訳すとこんな感じだったはず。

家庭教師の生徒にもこのことを重視して指導しています。だから常に明るく振る舞っていないといけない。

私の指導を通して、勉強で自分に自信をもってもらいたい

受験対策であっても、このモットーは忘れずに、その上でスコアアップに導かせていただく。

親御様と話し合いながら、生徒様にどのように接するのが最適解かを日々模索しています。

結局、教育は命懸けだということ。

先日ショスタコーヴィチヴァイオリン協奏曲第一番を聴いていたら、真っ先に車輪の下のハンスのラストシーンの情景が浮かんだので、書いてみました。

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詩人が書く小説はおもしろい。

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