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ゲーム「一限侍」 開発後記

明大祭2022 総合コンテンツ制作サークルで展示したゲーム「一限侍」を作るに至って考えてたこと、など書き残しておきます。
後輩に何らかの知見が残ればいいな、くらいのテンションで書きます。

こんな感じで実際にJoy-Conを振って、一限を物理的に斬るゲームです。こちらのリンクからダウンロードできるので、よろしかったらプレイしてってください!

何故、このゲームを作ろうと思い至ったか。

思考の過程と参考にしたゲームを紹介しようと思います。

去年の反省

キーボード入力をしないゲームを作りたい!という発想は去年作ったゲーム「高速シリョクケンサ」でもありました。これはWEBカメラから取得した映像をもとにOpenCVを用いて画像処理をして、指の向きを認識させています。
ただ、これが思ったよりも難しい。開発者は認識の仕組みを知っているのでそれなりに入力できます。しかし、初見の来場者となると難しい。
難しいのを楽しんでくれた人も大勢いたのですが、全く指の認識がされないままプレイしていた方も何人かいました。これが悔しかった。

考えられる原因としては以下の2つがありました。

  • ゲームに夢中になって、自分の手がWEBカメラの認識範囲から出てしまう

  • 普段指をそこまで正確に早く動かさないため、難しい

思ったよりも認識のアルゴリズムを考えないでプレイする人が多いんだなという印象を持ちました。(それはそう)
なので、今回はもう少し入力が簡単なものを作ろうと思っていました。

Joy-Conという武器

そこで登場するのがJoy-Conです。
Joy-ConをUnityに接続できるらしい。との情報は知っていました。
単純なコントローラーとして使うのだと面白くないな……
どうやら簡単に加速度やら傾きやらが取得できるらしい。
斬るゲームを作ろうと思い立ちました。

あとは、お世話になった先輩に「Joy-Con使ったゲーム作るといいよ!」とアドバイスをもらっていたこともあります。

なぜ一限を斬ろうと思ったのか

半年前くらいにガチャガチャコーナーで見かけたこれ、めっちゃ発想好きなんですよね。これのオマージュでもあります。
麻雀牌を切る、これをゲームとして実際に斬ってしまうのは面白いんじゃないかな?と思って参考にしました。

参考にしたゲーム

元々体を動かすゲームは小学生の頃から好きでした。
以下に今回制作にあたって参考にしたゲームを羅列・紹介していきます。

はじめてのWii シューティング

これは、2006年に発売されたWiiの操作に慣れるために発売されたソフト「はじめてのWii」のミニゲームの一つです。Wiiリモコンというポインタデバイスで、狙った位置の的を銃で撃つだけというシンプルな作りですが、これがものすごく面白い。弟と何時間もやっていたのを覚えています。

このゲームの面白さは以下にあると思います。
・狙った位置にポインタをすぐに動かして打たなければいけない瞬発力
・焦って狙いにいくと外してしまって、コンボが途切れるので、如何に焦らず連続して、かつ取りこぼしがないようにするかの動線を考えること
・的を撃ちぬいた時の音の快感

今回のゲームの参考にした作品では、これが最もベースになっています。
コンボボーナスだったり、複数レベルがあったりはほぼパクリですね。

ドラゴンクエストソード 仮面の女王と鏡の塔

2007年にスクウェア・エニックスから発売されたWiiソフトです。Wiiリモコンを剣に見立てて敵を斬り、盾に見立てて防御することで敵を倒していきます。
これもまた面白いんですよね。斬ったときの爽快感があったり、敵の魔法攻撃をタイミングよく斬ると打ち返せたり、攻守の切り替えで手が忙しかったりと、これも神ゲーです。

プレイしてくれた人の中に3人くらい「ドラゴンクエストソードじゃん!」って言ってくれた人がいて嬉しかったです。

主に斬る際の画面のUIなどを参考にしました。
時間があればエフェクト周りももう少し豪華にしたかったなと思います。

Wii Sports Resort チャンバラ

言わずと知れた神ゲー。2006年に発売された「Wii Sports」の後継版で、2009年に発売されました。Wii Sports では、Wiiリモコンにある加速度センサを用いてゲームが作られていました。Wii Sports Resort ではさらにジャイロセンサが追加されたWii リモコンプラスを使ってゲームができるようになっています。角速度が取得できるようになったので、ねじる動きや回転などを取得できるようになりました。天才です。
参考:社長が訊く『Wiiモーションプラス』

剣を使って2人でチャンバラをするという対戦ゲームとしての面白さがあります。これも時間があれば実装したかったなと思います。

ゼルダの伝説 スカイウォードソード HD

2011年にWiiソフトとして発売したゼルダの伝説 スカイウォードソードのSwitchでのHDリメイク版で、2021年発売のゲームです。

今まで列挙したゲームは全てWiiリモコンのゲームでしたが、Joy-Conで斬る動作を体現しているゲームとして参考にしました。
最初の大地に降り立ったくらいのところまでしかプレイしていないのですが、何もないところでJoy-Conを動かして一人で「なるほどなぁ」とか呟いて参考にしてました笑。あとでちゃんと最後までクリアします。

ポインターカーソルの動きと、ポインターの照準をリセットする操作などは参考にしました。

Beat Saber

2019年発売のVR ×リズムゲームです。正面から来るノーツをタイミングよく決められた方向に斬っていきます。これもめっちゃ面白いです。
構想段階として、斬る方向を設けたら面白いかもなという点で参考にしてはいました。ただ、あんまり画面がごちゃごちゃすると難しすぎるかもな……ということで今回は見送りました。

当日3日間の反省と課題

実際に展示して発生した問題点と改善策を羅列していきます。

1.カーソルが小さすぎて見えない

Xボタンでジャイロのリセットを実装したのだけれども、まあ見えない。
これは開発環境のディスプレイサイズと展示用のディスプレイのサイズが違ったせいで起きたミスでした。

解決策:カーソルを巨大化して対応しました。
ちゃんと展示サイズを考えて設計すべきでしたね。

2.来場者は思い思いに剣を振るので認識がガバガバになる

チュートリアルの操作説明

今回の斬る動作の入力は、上の画像のように説明していました。Joy-Conの薄い面を刀の面に見立てて切るように実装していたので、例えばJoy-Conを正面で持って面で叩くような動作だと、下への斬撃は出ません。
Joy-Conを捻って縦にした状態で切る必要があります。

最初の方の説明では、「刀をイメージして、包丁のように面で切る」と言っていましたが、伝わりませんでした。特に縦方向に切るのが伝わらない。ほとんどの人が面で叩くようにして振るので、入力されません。

解決策:100均で刀のおもちゃを購入しました。Joy-Conを捻って縦にするというのを実際に刀の柄を回して説明しました。目線の高さに合わせて回してあげるとすんなり理解してくれました。

3.難易度設定のミス

直前まで作ってたせいで、レベルデザインができていませんでした。一限を斬ると+1点の加点なのですが、斬ってはいけない牌としての二限と三限を斬ると「-2点」のペナルティでした。しかしこれでは、出現確率を鑑みると全部の牌を斬ってもそこそこの点数になってしまいます。

対応:ペナルティを-3点にしました。
余裕を持って作って、バグがないかのデバッグと同様にレベルデザインについても早期から吟味すべきでした。

4.ペナルティの提示ミス

上の反省と関連しますが、一限以外を切ることによるペナルティの提示を何もしていませんでした。牌がたくさん出てくると間違えて斬ったとしても、プレイヤーが間違えてたことに気づかずそのまま斬ってしまっていました。
スコア表記に減点が更新されてはいたのですが、斬っている最中はスコア表記を気にする余裕はありません。

解決策:二限、三限を切ってしまった際に、
①画面全体を赤点滅+②被弾ボイスの追加 をしました。

結果として、プレイヤーが二限三限を斬らないようになりました。分かりやすくペナルティを提示することはとても大事です。

(5.展示した際の良かった点)

チュートリアルを文字とイラストを交えてきちんと作っていたので、ゲーム概要と操作方法についてはそれとなく伝わりました。去年はチュートリアルと操作説明を用意していなかったので、全て口頭で説明しなくてはならず、口頭だとすぐに理解してもらえませんでした。これは良い判断でした。

最後に

大学の学園祭というのは、少し特殊な環境でのゲーム展示だと思います。
普段ゲームをやらないような地域のお年寄りがやってきたり、あまりチュートリアルを読まない小学生がやってきたり、ゲームが得意な大学生がやってきたりします。それこそWASD入力で前後左右移動なんてのに慣れてない層がほとんどでした。
それを、あえて逆手にとって、キーボード入力をしない直感的なゲームを作ってみました。思ったよりもウケが良くてとても楽しかったです。

一日で50人強の人にプレイしてもらって、操作を観察することによってフィードバックが得られるのは物凄く良い機会でした。たぶんそんな機会中々ないので、みんなも展示だそうね!

個人的に大学のサークル以外でも創作やってたりするので、宜しければTwitterのフォローお願いします!

長々と読んでいただきありがとうございました!

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