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No.34 トパーズ

34.トパーズ

温かみのあるインペリアルトパーズである。光の当て方によっては強く輝きくっきりとした印象がある。
このルース、実は中古品である。
どういうことかと言うと元々別のアクセサリーに使われていたものが誰かの手によって売られ、その際ルースを地金から外し「中古ルース」として売られていたところを私が購入したというわけだ。
とはいえ質は申し分ない。少々傷はあるが致命的な欠陥はない。おまけに取引先の管理もしっかりしていて、自社ではなくわざわざ大手の鑑定機関でルースを鑑別にかけ、その結果を記したソーティングまで同封してあった。そのため「トパーズである」と安心して購入できた。これで1.3ctとかなりのボリュームがありお値段5000円以下と言うのだからありがたいの一言に尽きる。
近頃Twitterにて噂を仕入れたのだが、最近のカップルは結婚指輪を作る際「とにかく大きさはこだわらないから最高品質のダイアモンドがいい」と言うらしい。個人的な意見だが「最高品質」と言うのは案外あてにならないと思っている。
理由は二つ。一つは最高品質だとしても、メレサイズのようなとても小さいものであれば質が低いものと大差ないからだ。私は持っているのだが、普通の方は10倍ルーペなど持ってはいないはずだ。10倍ルーペなどで細かく観察するのならまだしも、肉眼であれば2ミリや3ミリ程度のものなど差を判別することは難しいはずだ。つまり小さければ質の高低など大してわからないものである。
もう一つは「最高品質=自分好み」とは限らないからだ。ダイアモンド一つとっても「もっと透明感が欲しい」とか「少し色味があってもいいかも」とかいろいろあると思う。そもそもダイアモンドにこだわらずともルビーやサファイア、クリソベリルなどだって結婚指輪には適していると思う。
今回のルースだって中古だ。言っちゃえば「おさがり」である。だが質や管理体制は文句ない。特に管理体制に関してはかなり手厚かったため自分としては高評価だ。
大切なのはいかにその宝石や鉱物を愛せるか、もしくは好きでいられるか。それに尽きると思うのだ。
最後に、私はもし鉱物やルースを手放すことになったら、大事にしてくれる人やしっかりと石を扱ってくれる業者にお願いしたいと考えている。
石は人より何百年何千年と残るものだ。一個でも大事にしたいものである。


【補足】

①地金
アクセサリーなどでルースをとめる金属部分。

②ソーティング
「ソーティングメモ」とも。宝石の鑑別結果を簡易的に記したメモ。
大体袋にシールとして貼られてくる。

③メレ
小粒のルースのこと。大体0.1ct未満のルースを指すようだ。
メインのルースの周りの装飾として使うことが多い。

④10倍ルーペ
鉱物収集してる人は大体持ってる。プロの宝石商の方もこのぐらいの倍率のルーペを使うようだ(これ以上だと逆に使いづらいとか)。鉱物を細かく観察できるので、中にあるインクルージョンやクラックをよく観察できる。著者はLEDのペンライトと一緒に使用して鉱物を観察している。

⑤インペリアルトパーズ
シェリー酒のような少し赤みのあるオレンジのトパーズのこと。一般的に「トパーズ」と聞いて思い浮かぶものはこれだと思う。トパーズの中で断トツの人気。


【参考書籍】

「価値がわかる宝石図鑑」
諏訪恭一 著
ナツメ社  2016年


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