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No.4 スファレライト

4.スファレライト

これも前回のレッドベリルと同じイベントで買ったものなのだが、こちらはレッドベリルの場合とは逆で少し後悔のある品である。
2018年の東京ミネラルショーではレッドベリルを狙う以前にスファレライトをターゲットにしていた。ダイアモンド並みの屈折率にスフェーン以上の分散率を誇るスファレライト。ぜひ欲しい!できればルースで欲しい!と、そんな思いで探していた。
レッドベリル発見から数分後、私はようやくスファレライトのルースを発見した。それが今回の品である。これは産地不明で鑑定書もない状態で売られていたのだが、色もよく輝きもよかったので「まあ、いっか」と軽く考え購入した。
しかし、その考えが甘かった。
その数十分後、なんと別のブースで同じ質、同じ大きさ同じ値段で産地が明確なスファレライトのルースを発見してしまった。この時点で資金は0に近い状態だったので買う事は出来ず、私はただただ落胆することしかできなかった。
現在は「ルースは産地がはっきりしてないと嫌だ!」というような強いこだわりは無くなったのだが、それでも産地が分かっていた方がありがたいという気持ちはある。
ただ、このスファレライトはその点さえ気にしなければよいものである。インクルージョンやクラックはあるが黒ずみはなく、見事なハニーオレンジである。透明感もあるので圧巻の輝きも存分に味わえる。まさに貴族のようなルースだ。
今では十分気に入っているのだが、頭にはどうしてもあの苦い思い出がよぎってしまう。何とも複雑な気分になるスファレライトであった。

【補足】
①屈折率
石の中で光を屈折させる強さの割合。この数値が高ければ高いほど強く輝く。一般的な宝石は1.7ぐらいが多いのだが、ダイアモンドは驚異の2.417!人気の理由がよくわかる。
②分散率
プリズムの原理と同じで、光を波長の種類ごとに分けて屈折させる強さの割合。この数値が高ければ高いほど虹のような輝きがはっきり出る。ダイアモンドも割と強めなのだが、スフェーンとスファレライトはダイアモンド以上の屈折率を誇っている。

【参考書籍】
「決定版 宝石」
諏訪恭一 著  世界文化社  2013年

「ネイチャーガイド・シリーズ 宝石」
ロナウド・ルイス・ボネヴィッツ 文
伊藤伸子 訳   化学同人  2015年

「プロが教える鉱物・宝石のすべてがわかる本」
下林典正・石橋隆 監修
ナツメ社  2014年


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