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短編小説

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夢から着想を得ることが多いです。
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#詩

ことりとねこと(喧嘩の歌)

小鳥が7匹おりました ぱっぽーぱっぽーぱっぽっぽー 子猫がことりをつかまえに にゃーんにゃーんにゃんにゃんにゃん あっという間ににげました ばっさばっさのばっさっさ そのうち三びきつかまって 一生懸命逃げました ははどりおこってなきました こけこっこけこっこけこっこっ · めんどりこねこをおいまわし こねこはおびえて母ねこに 母ねこめんどりひっかいて フーッフーッシャーシャーシャー そしたらめんどり鷹をつれ ケーンケーンケケケンケーン 母ねこゆうかんたたかった

あなたがくれたもの(詩)

朝早くに通うカフェへの道のり ランニング中の人から立ち昇る雲 石畳の上に置かれたチェアでくつろぐ白髪のちぢれ毛 探すのは 静寂 さえずりの声 空の色 風の微笑み 木々のおしゃべり 地のうねりに耳傾ける日々 今 そこにあるのは 夢に誘われる線路の響き 深夜にひとり座るコインランドリーに落ちてくる ナットキングコールのペーパー・ムーン

夜の海(詩)

耳をすませてごらん 窓の外のもっと遠くの向こう側だよ そこの窓ぎわのいびきの向こう側 窓の外の、高くそびえ立つ魔女の山よりも外だよ 聞こえない 心の耳で聞いて ほんとに魔女が住んでるの? たくさん、たくさん さて、何がある? うみ ザザーンて言ってない? どぉーんてきこえた ざわざわざわって 砂浜を濡らして するするするって引いていく 波の形に残った泡が、ぽつぽつ白く残って 穴があちこちに開いている。 ほらまた来るよ どぉーん! ざざー ざわざわざわ… その音を聞いてね

青に染まりながら(詩)

飛行機雲を指差して 道行く人が次々に見上げた 鮮やかに映えた白い筋は みるみるうちにとけて消えていく 青は侵食する 青は広がる 青は飲み込んでいく 悠々とからだをのばし 我はここだ、ひとつだと なかったことのように うそぶいた その青に指をひたし すくって飲めば わたしもからだの中から青に染まり 青にひたり 青に姿を変え だが目を閉じればよみがえるのは 天頂を真っ二つに割る 白の軌跡