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日本語の論文を読んだら、日本語の奥深さに気づいた話。

僕は、ふだん論文なんて読みません。

ですが、たまたまGoogleで英語について調べ物をしていた時です。ページを開くと論文が表示されました。しかも、読んでみると意外に面白かったのです。

日本語における「タ」と「テイル」の対立』という論文です。少し堅苦しい内容です。

もちろん、専門的な話もあったので少し難しかったですが、日本語について書かれているので、ラクに読み進められました。

そして、読んでいると、あることに気付きました。それは、英文法の「過去形」と「過去進行形」の訳し方の話です。

本題に入る前に、「過去形」と「過去進行形」を軽くおさらいしておきましょう。

過去形と過去進行形

2つとも中学校で習う文法事項です。覚えていますか。

1. I went to the bar yesterday.
→過去形
2. I was having dinner at the restaurant when the phone rang.
→過去進行形

(日本語訳)
1. 私は昨日バーへ行った。
2. 電話が鳴った時、レストランでディナーをしていた。

過去形はふつう「〇〇した」と訳され、過去進行形は「〇〇していた」と訳されます。

「過去形」は、過去に起こった出来事を事実として述べているのに対して、「過去進行形」は、過去のある時点での進行している状況(背景)を説明する時に使います。

似たような文法用語に「現在進行形」があります。現在進行形は「イマ」を表しているので、いつの出来事かをわざわざ明記する必要はありません。

しかし、過去進行形では必ず明記する必要があります。「いつ行われたのか」が分からないと意味不明な文になってしまうからです。

そのため、「過去進行形」は過去のいつの話なのかが分かるように文を作ります。上の例文でも「過去形」と一緒に使われているのが見て取れると思います。

では、ここから本題に入りましょう。

「〇〇した」vs「〇〇していた」

先ほど、過去形は「〇〇した」と訳し、過去進行形は「〇〇していた」と訳すとお話しました。

ここからは、日本語について考えてみてください。「〇〇した」と「〇〇していた」は何が違うのでしょうか。

A 昨日、雑誌を買った。
B 昨日、雑誌を買っていた。

上の2つの日本語ですが、時制を考えてみると同じです。両方とも過去を表す時に使えます。

つまり、英語の「過去形」の文であっても、「〇〇した」と訳しても「〇〇していた」と訳しても日本語的には大差はないということになります。

では、次のシチュエーションだとどうでしょう。

友達から、山田くんが雑誌を昨日買っていたかどうかを聞かれたとしましょう。あなたは、上のAとBのどちらを答えますか!?

おそらく、Bだと思います。「そういや。山田くん雑誌買ってたよ」と言うはずです。

では、別のシチュエーションを見てみましょう。

友達から、あなたが雑誌を昨日買ったかどうかを聞かれたとしましょう。あなたは、上のAとBのどちらを答えますか!?

今度は、Aを答えると思います。「そうそう。昨日、雑誌買ったよ」というはずです。「雑誌買ってたよ」とは言いません。

ここから分かることは、「〇〇した」と「〇〇していた」というのは時制の違いではなく、動作主が誰なのかで決まると言えます。

つまり、1人称の場合は「〇〇した」となり、そうでない場合は「〇〇していた」と言えるのです。

1人称の場合→「〇〇した」
それ以外の場合→「〇〇していた」

しかし、こんな状況だとどうでしょう。

あなたは、昨日雑誌を買ったかどうかを思い出せなくて、カバンを開けました。そしたら、雑誌が入っていました。

この場合は、Bを選ぶと思います。雑誌を見た瞬間、「あ、買ってたよ」と言うはずです。

1人称にもかかわらず、Bとなるのです。先ほどのルールが覆されましたね。

自分でも事態がよく分かっていない時は、例外として「〇〇していた」となるのだと思います。

日本語は奥が深い

日本語って奥が深いですね。僕たちが使い分けられるのは、ルールとして覚えているのではなく感覚としてパターンが頭にあるからだと思います。

また、英語は、日本語と性質が違う言語なので、使い方の本質を理解しておかないと、勘違いをすることになります。

よく塾の生徒たちに「過去形」と「過去進行形」の違いを聞くと、口を揃えてみんな同じことを言います。「〇〇した」と「〇〇していた」の違いですと。

そんな時は、今日の話をしてみたいと思います。

おしまい。

追記

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