日本語の論文を読んだら、日本語の奥深さに気づいた話。
僕は、ふだん論文なんて読みません。
ですが、たまたまGoogleで英語について調べ物をしていた時です。ページを開くと論文が表示されました。しかも、読んでみると意外に面白かったのです。
『日本語における「タ」と「テイル」の対立』という論文です。少し堅苦しい内容です。
もちろん、専門的な話もあったので少し難しかったですが、日本語について書かれているので、ラクに読み進められました。
そして、読んでいると、あることに気付きました。それは、英文法の「過去形」と「過去進行形」の訳し方の話です。
本題に入る前に、「過去形」と「過去進行形」を軽くおさらいしておきましょう。
過去形と過去進行形
2つとも中学校で習う文法事項です。覚えていますか。
過去形はふつう「〇〇した」と訳され、過去進行形は「〇〇していた」と訳されます。
「過去形」は、過去に起こった出来事を事実として述べているのに対して、「過去進行形」は、過去のある時点での進行している状況(背景)を説明する時に使います。
似たような文法用語に「現在進行形」があります。現在進行形は「イマ」を表しているので、いつの出来事かをわざわざ明記する必要はありません。
しかし、過去進行形では必ず明記する必要があります。「いつ行われたのか」が分からないと意味不明な文になってしまうからです。
そのため、「過去進行形」は過去のいつの話なのかが分かるように文を作ります。上の例文でも「過去形」と一緒に使われているのが見て取れると思います。
では、ここから本題に入りましょう。
「〇〇した」vs「〇〇していた」
先ほど、過去形は「〇〇した」と訳し、過去進行形は「〇〇していた」と訳すとお話しました。
ここからは、日本語について考えてみてください。「〇〇した」と「〇〇していた」は何が違うのでしょうか。
上の2つの日本語ですが、時制を考えてみると同じです。両方とも過去を表す時に使えます。
つまり、英語の「過去形」の文であっても、「〇〇した」と訳しても「〇〇していた」と訳しても日本語的には大差はないということになります。
では、次のシチュエーションだとどうでしょう。
おそらく、Bだと思います。「そういや。山田くん雑誌買ってたよ」と言うはずです。
では、別のシチュエーションを見てみましょう。
今度は、Aを答えると思います。「そうそう。昨日、雑誌買ったよ」というはずです。「雑誌買ってたよ」とは言いません。
ここから分かることは、「〇〇した」と「〇〇していた」というのは時制の違いではなく、動作主が誰なのかで決まると言えます。
つまり、1人称の場合は「〇〇した」となり、そうでない場合は「〇〇していた」と言えるのです。
しかし、こんな状況だとどうでしょう。
この場合は、Bを選ぶと思います。雑誌を見た瞬間、「あ、買ってたよ」と言うはずです。
1人称にもかかわらず、Bとなるのです。先ほどのルールが覆されましたね。
自分でも事態がよく分かっていない時は、例外として「〇〇していた」となるのだと思います。
日本語は奥が深い
日本語って奥が深いですね。僕たちが使い分けられるのは、ルールとして覚えているのではなく感覚としてパターンが頭にあるからだと思います。
また、英語は、日本語と性質が違う言語なので、使い方の本質を理解しておかないと、勘違いをすることになります。
よく塾の生徒たちに「過去形」と「過去進行形」の違いを聞くと、口を揃えてみんな同じことを言います。「〇〇した」と「〇〇していた」の違いですと。
そんな時は、今日の話をしてみたいと思います。
おしまい。
追記
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