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やまとのショートストーリー|短編小説

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自作の短編小説をまとめています。 どれも短いお話なので、手軽に読めます。
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#本

超短編小説|プレゼント

 プレゼントは、決して贅沢とは言えなかった。 とても大きな箱に入っていたから、中身を見るまでは、期待に胸を膨らませていた。僕は「勝った!」と心の中でガッツポーズをした。けれど、包み紙を剥がし箱を開けたとき、僕の期待は紙飛行機のごとく急降下した。  箱の中身は、本だった。 大きな段ボールには、ぎっしりと詰め込まれた何十冊もの本が息を潜めていた。ふだん本なんてほとんど読まない僕にとって、そのプレゼントは苦痛だった。  試しに一冊手にとって、パラパラとめくってみても、難しい漢字