超短編小説|偉大な魔法使い。
父は、魔法使いだった。
その言葉の通り、父はマントを羽織っていた。いつも僕の寝ている時間に帰ってきた。父が他の人にはできない仕事を任されていることも、魔法の力で多くの人々を救っていることも、僕は密かに知っていた。
けれど、不可思議な点はあった。
それは、父のマントが絵本に出てくる物とは、少し異なる色をしていることだった。絵本に出てくる魔法使いは、黒のマントを羽織っていた。けれど父の場合、それは白のマントだった。
母は毎晩、僕に絵本を読んでくれた。僕が眠りにつくまでの