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ある晴れた秋の日。 僕は公園のベンチに横になって、読書に勤しんでいた。積み重なった本を枕にして、心地の良い風をたくさん浴びていた。 あまりの気持ちよさに、時間を忘れて何時間もそこにいた。僕の右手だけがせわしくページをめくっている。そんな読書の秋。 通りすがる人たちは、明らかに僕を避けていた。まるで透明人間になったみたいだ。試しにじっと睨みつけてみたが、頑なに目を合わせてくれない。 彼らは上を見ている。 僕の頭上を覆ういちょうの木には、ぎんなんの実がなっていた。