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「あぁぁ。買わなきゃよかった」 男の手のひらには、一億円のマッチがあった。見た目は、普通の物と大差はなかった。少し大きいくらいだ。 あの男は、別の男からこのマッチを買ったらしい。そして、別の男もまた、さらに別の男から買ったらしい。 この男はついに、彼から一億円のマッチを買う。
私は男に問い詰めると、彼は気まずそうに「コロコロ変わる名探偵です」と答えた。手に汗を握り、目をギラギラさせている。 彼に出会ったのは、去年の夏だった。近所の住民から嫌がらせ被害に遭っていた私は、知人の紹介で名探偵を紹介してもらった。 異変に気づいたのは、相談してから1週間くらい経った日のこと。いつものように彼に被害を相談していると、大きなカミングアウトを受けた。 「実は、名探偵じゃないんだ。高校の教師なんだ」 私は唖然としてしまった。それでも、彼は少しずつだが