最近読んだ漫画5タイトルまとめ『WORKING‼︎』『吊金先生』『兄ふんじゃった!』『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』『ホテル ヘルヘイム』
記事にしなかった漫画を含む5タイトル分まとめます。基本的にネタバレ無し。
①WORKING‼︎
11巻までしか読んでない。ガイドブック読んだ。5巻のドラマCD聴いた。シナリオドラマCDvol3聴いた。アニメ全部見た。
作者:高津カリノ
巻数:全13巻
個人的な点数:71点
北海道のファミレスを舞台にしたラブコメ4コマ漫画。
小さい者しか愛せない青年・小鳥遊、小学生にしか見えない女子高生・ぽぷら、男性恐怖症で男を殴ってしまう少女・まひる、ヤンキーっぽいが超ヘタレな大学生・佐藤、全てが謎に包まれているスパイっぽい青年・相馬、店長の側にいるために働いている・八千代、うざ可愛い家出少女・山田を中心にそれぞれが恋愛関係になったりならなかったりしながら進む。
関係性の矢のベクトルを変えることでラブコメを成立させている漫画。例えば小鳥遊はぽぷらの小学生的容貌に惹かれてバイトを始めたが、まひるの男性恐怖症を治療していく中でまひると惹かれあっていく。八千代は元スケバンの店長の身の回りの世話がしたくてバイトをしているが、佐藤の好意に気付き関係を深める。これまで囚われていた好きの固定観念を脱して、新たな魅力に目覚め恋仲になるという手法をとっている。
対してぽぷらや山田は恋仲と無縁でありがたい。マスコット的キャラクターに男をあてがわずに、ラブコメ要因とその他とキャラクターを切り分けているので安心して読むことができる。
八千代→佐藤の関係性は百合破壊ヘテロカプでもれが一番嫌いなやつなはずだけど佐藤くんがあまりにもヘタレすぎて全部許せた。佐藤くんが全キャラで一番好き。
バイト4年目にして八千代さんの誕生日を知ったからこれまで渡せなかったプレゼントを全部渡しちゃう佐藤くんを嫌いにはなれない。
キャラクターの個性が強く、キャラクター崩壊もないので、良いラブコメをしている。
しかし、アニメのクオリティがめちゃくちゃに高いので、わざわざ原作を読む必要があるかは疑問。アニメを見た後に原作読んだけど、正直原作から得られる固有の魅力みたいなものはなかった。アニメ見ればいいやんになってしまう。
あと小鳥遊くんの姉の一枝の元カレの峰岸がクソキャラすぎる。そもそも一枝自体小鳥遊家の中で魅力がない方のキャラなのに、その元カレという時点で興味はわかないし、自分のマゾ欲を満たすためにメインキャラクターたちにちょっかいをかけて怒声を浴びようとするさまは面白くもなんともなくただただ不快。シナリオを動かすためのキーマン的な役割もないし、必要悪とも思えない。とにかく登場しないで欲しかった。
どうでもいいけど僕は小鳥遊くんの妹のなずなちゃんが一番好きでつ。
②吊金先生
全部金で解決するヤンクミ
作者:加茂ユウジ
巻数:全2巻
個人的な点数:56点
何もかもを金で解決しようとする吊金先生と不良生徒たちの交流と更生を描いた教師もの。
不気味でありながらコミカルなデザインの吊金先生が生徒の悩みや問題を次々と金の力で解決していく。
校長に賄賂を渡して担任についた吊金は初手で10万を配布したりテストに報酬を用意したりと勉学に対する生徒のモチベーションを金で操作しようとする。
そんなある日、吊金のクラスの生徒が問題に巻き込まれる。吊金は金を使ってあらゆるコネクションを利用することで生徒を利用しようとする敵対者を返り討ちにしていく。
しかし、当然吊金のやり方に反発する生徒も出てくる。吊金は生徒から酷い扱いを受けながらも、それを受け入れ、更生の道を用意していく。
よくある教師ものだが教師ポジションの意外性に「金で解決する」という性格を用意している。面白くなくはないが、生徒が問題を起こし、それを解決するルーチンをこなしていくだけなので飽きる。
最後のほうで吊金先生の悲しい過去が回収されるが全2巻と短いのでかなり駆け足で回収される。終わり方も急いで畳んだ感がありあまり納得いかない。
もうちょい続けば生徒から先生に対する労いの回とか副担が主人公のサイドストーリーとかが描かれて愛着も湧いただろうなと感じた。
③兄ふんじゃった!
表紙には「最強兄っぷりGAG‼︎」って書いてるけど「兄弟愛GAGまんが」らしい。
作者:小笠原真
巻数:全8巻
個人的な点数:60点
弟・テルキヨのことが好きすぎる兄・テルキヨの兄があの手この手でテルキヨを甘やかす過保護ギャグ漫画。
『兄ふんじゃった!』は全8巻を大きく序盤、中盤、終盤に分けることができる。序盤は
テルキヨがなにかを望む
兄が奇抜な方法で望みを叶えようとする
テルキヨが拒絶する
兄がなにやら名言っぽい言葉を放ち人々の心を打つ
奇抜なオチにテルキヨが突っ込んで終わる
のテンプレートに沿って進行する。
たとえばテルキヨにマラソン大会の日が迫ると
バイクに乗せて1位を掴み取ろうとする。
基本的にこのノリで進んでいくが、中盤に差し掛かると「ヤンキー」「委員長」「犬」「背後霊」などがメインキャラクターに加わり、テンプレートを捨ててストーリー漫画っぽくなる。
序盤ではこんな感じだったテルキヨの兄も
劇的に可愛くなる。
ていうか回が進むにつれてどんどん可愛らしい作画に変わっていく。堂々と、明確に萌えキャラも登場する。3話分くらいしか出てこんけど。
終盤は散りばめられていた伏線を回収しつつ兄が生死を彷徨うことになる。テルキヨは兄を救うために冒険に繰り出す。
ギャグ漫画の最終回は感動回でなければならないので、伏線を回収し、また第1話をセルフオマージュしたラストはそれなりにアツかったが、1話1話のギャグがそこまで面白くなく、テルキヨの勢いで乗り切っている感が否めないので退屈。序盤でキャラ付けのために作られた設定が終盤のシリアスの足を引っ張っているようにも感じた。
唯一、兄が外出したことに対する記者の「電撃おでかけということですか!?」「質問の意味がわかりませんか!?」だけ笑った。
④ あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。
アニメ視聴済み。めんまが美しくて泣く。
作者:超平和バスターズ、泉光
巻数:全3巻
個人的な点数:70点
とにかくめんまが美しい。
美しすぎる。
繊細なタッチの絵が『あの花』の儚い世界観と合っていて申し分ない。めんまは儚くも強く、優しくも気丈。めんまの美しさと力強さが線の細さや色の濃さを調整することでうまく表現されている。
シナリオはアニメとほとんど同じ。大コマや間を効果的に使うことでアニメの緩急が再現されている。
ラストはかなりあっさりと終わるのでさすがに泣かんかと思ったらなんかうるっときてしまった。昔、『あの花』の悪いところをしたり顔でだらだらと講釈垂れた後に「じゃあ泣かんかったん?」と訊かれて「ボロ泣きした」と返した過去がある。なんだかんだ言って『あの花』のシナリオには心動かされるし、めんまは美しい。
⑤ホテル ヘルヘイム
伝説のホテルマン・田中が廃業寸前のホテル・ヘルヘイムを再建するヒューマンドラマ。
作者:西修
巻数:全3巻
個人的な点数:63点
もはや伝承の類となっている伝説のホテルマンである田中が旧・支配人の頼みを受けて現・支配人であるメイちゃんの経営するホテル「ヘルヘイム」を再建するヒューマンドラマ漫画。
ホテル再建といっても運営や資金繰りといった経営の話を主軸にするのではなく、問題のあるお客様の悩みに寄り添うことで優良客となってもらったり、従業員と友情を育むことでサービスの質をあげる展開が多い。
全体的に絵が美しいので目(もく)で読める。東洋の地獄観によって練り上げられた和風テイストの空気感と、西洋の地獄観によって作り上げられた整った顔立ちのキャラクターによってページ全体に華がある。
完璧超人の主人公・田中は前髪おぼっちゃまな髪型にスラリとしたスレンダーな出立ちと洗練された印象を与える。対する支配人のメイちゃんはやわらかく愚直な印象を受けるキャラクターデザインに仕上がっており、田中とメイちゃんの対比によってバディとしてのアツさとドタバタ感が上手く演出されている。
絵やキャラクターデザインは申し分ないが、シナリオはなんとも言えない。
田中があまりにも完璧なので降り注ぐ困難はほとんど出来レース化している。田中によって本来眠っていた従業員たちの力が開花していく展開が描かれるが、それゆえに困難と成長、曇らせと乗り越えによるアツさはあまりない。
1、2巻は基本的にライバルや迷惑な客への対処に徹しているのでマンネリ気味になる。
最終巻は初出の設定と田中の出自が怒涛の勢いで明かされ突き抜けていく。作者自身、1から3巻はホテル ヘルヘイムの第1章だと語っているが、巻数が出ていれば田中やメイちゃんに奥行きが生まれ、もっと愛することができていたかもしれない。
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