ふたりはプリキュアMaxHeart 第45話「無限の闇 永遠の光」を忘れてしまった人へ
(本記事は「ふたりはプリキュアMaxHeart」のネタバレを含みます)
「ふたりはプリキュアMaxHeart」という作品を知っているでしょうか?だいたいの人は「昔見てたけど・・・なんだっけあの髪が黄色い子がでるやつよね?」みたいな反応を返
「九条ひかり」ちゃん、な。
(「プリキュアつながるぱずるん」 九条ひかり シャイニークイーンドレス)
髪が黄色い子じゃなくて九条ひかりちゃんな。
ふたりはプリキュアMaxHeartになってから新しく参加した3人目のプリキュアで
実はその正体は光の園=妖精界のクイーンが虹の園=人間界で人の姿として顕現した姿で
プリキュアになってからは「シャイニールミナス」として、戦闘面からは一歩ひいてキュアブラックとキュアホワイトの補助として戦う
めちゃくちゃ可愛い、もうお前プリキュアの中で、あ、プリキュアって言っても広義の意味のプリキュアなんだけど、もうお前プリキュアの中で一番可愛いよマジで愛してるが九条ひかり
「あ、もういいです。」
・・・
といった具合にほとんどの人にとって「ふたりはプリキュアMaxHeart」は「ふたりはプリキュア」の後にやってたなんかおまけ的なやつみたいな印象しかないのではないでしょうか(「ふたりはプリキュアSplash☆Star」とかいうドラゴンボールにいたっては更に印象が薄いのでは)。
さて、そんな悲しい立ち位置にある「ふたりはプリキュアMaxHeart」(以下、「MH」)ですけど、わたくし救済が最も好きなプリキュアの回というのが、他プリキュア16シリーズ(2020年現在)を差し置いて、MHに存在します。それが
第45話「無限の闇 永遠の光」です。アニメ、特に4クール以上に及ぶ長いアニメには「特に大事な回」言い換えると「その界隈では話数を口にするだけで全てを分かり合える回」が存在します。例えば【HUGっと!プリキュア 第15話「迷コンビ…?えみるとルールーのとある日」】
や、【アイカツ!第24話「エンジョイ♪オフタイム」】
【THE iDOLM@STER 第20話「約束」】
などなど、その界隈の上級オタクになると内容はおろかサブタイすら発することなく意思疎通を行うことができると言います。
では「無限の闇 永遠の光」はどうでしょうか。わたしの感想でしかないですが、プリキュア界隈ではそれほど重要視されていないように思えます。というよりも、他プリキュアシリーズの激エモ回が注目されるがあまり、MHの話題自体が起こりづらく、45話も忘れていっているように感じます。
そんな特に語り継がれているわけでもない回を俺が!思い出させてやるよ!ふたりはプリキュアMaxHeartを!
というわけでわたくしこと救済Pが最も好きなプリキュアの回である「無限の闇 永遠の光」の見所さんをお伝えしていきたいと思います。
しかし、この話をする前に、まずは知っておいてもらわなければならないことがあります。それはこの記事の冒頭でも触れた九条ひかりちゃんについてです。
「ふたりはプリキュア」の世界では一貫して「妖精たちの住む異世界」と「人間たちの住む世界」の2つの世界を根底に話が進んでいきます。「ふたりはプリキュアMaxHeart」およびその前身である「ふたりはプリキュア」では前者を「光の園」、後者を「虹の園」と呼んで区別しています。
「美墨なぎさ」や「雪城ほのか」を「キュアブラック」、「キュアホワイト」に変身させる「メップル」「ミップル」といった妖精も光の園に住んでいたわけです。
まぁここら辺は義務教育なんで当然しっていると思います。大事ななのはここからで、光を司っている存在であるクイーンは闇を司る存在であるジャアクキングとの激戦の末(「ふたりはプリキュア」最終回)、消耗し、そのかたちを維持することができなくなってしまいます。
クイーンのかたち(https://www.asahi.co.jp/precure_ss/oldsite/character/25.html より)
そんなクイーンはどうなってしまうかというと、クイーンを構成していた3つの要素に分裂してしまいます。その3つの要素というのが「命」「こころ」そして「志=12のハーティエル」。そのうち、クイーンの「命」が虹の園に降り立ち、人格を形成した存在がなにを隠そう九条ひかりちゃんなのです。つまり、ふたりはプリキュアMaxHeartは来るジャアクキングの復活に備えて12のハーティエルを揃えてクイーンを復活させることが目的なんです。
そんな九条ひかりちゃんですが、クイーンの頃の記憶は一切なく、日常生活を送るための最低限の常識しか備えていない。そのため、なぎさとほのかに会った当初は不思議ちゃん扱いされており、、、というか事実不思議ちゃんだった。
初対面の2人の前に現れて唐突にこんな台詞を吐いて消えていくひかりちゃん。まぁひかりちゃんもこの頃はなにがなんなのかわかっておらず、混乱していたため、本能的に惹かれたプリキュアに疑問をぶつけて消えていってしまうのも納得できる(ほんまか?)
その後もひかりちゃんの奇行は留まることを知らず、虹の園に居場所をつくるためになんとなぎさの所属するラクロス部のOGであるアカネさんを洗脳して自分のいとこだと思い込ませることで世帯を共にすることに成功する。
(洗脳中・・・)
まぁこれもね、これもひかりちゃんは無意識でやっちゃっただけで(たぶん)洗脳しよう!とか思って洗脳したわけじゃなくてね(たぶん)その咄嗟に力がでちゃったてきなね、ね。
というわけでなんとか家は確保できたのでホームレスにはならずにすんだけどひかりちゃんはなにぶん記憶がないので、なぜ自分は周りが当たり前に知っていることを知らないのか。なぜ自分には中学1年生になる前の記憶がないのかということに常に悩むようになってしまいます。
自分が何者なのかわからないまま戦いに巻き込まれていくだけでも相当なストレスであるにも関わらず、ひかりの不安材料はそれだけで終わりません。ひかりちゃんはなにも知らない自分と、プリキュアとして戦う2人を比べて、絶大な無力感を味わうことになります。
この無力感というのは以降、重要な要素となります。キュアブラック、キュアホワイトの敵はジャアクキングですが、シャイニールミナスの敵は己の中の無力感と言ってもいいくらいです。
2人を助けたい、みんなを助けたいという想いがあるにも関わらず、なにもできない自分を突きつけられ周囲には気丈に振舞うものの内心、焦りと不安に駆り立てられた状態が続きます。
「え、でもシャイニールミナスっていうくらいなんだから普通にプリキュアとして戦うんでしょ?」
そうだよな。うん、戦うよ、ひかりちゃん。戦うけどよ、悲しいかな
シャイニールミナスは初登場回からめちゃくちゃ弱いんです
プリキュアに限らず普通新キャラの初登場回というと既存キャラがピンチのところを新キャラが現れ救ってくれるというのがテンプレですが、シャイニールミナスは世に蔓延るプリキュア強さランキングでたびたび最下位にランクインされてしまうほどの力しかありません(ちなみにこれは誤りで最下位は少なくともありえません)。
このように(広義の)プリキュアに変身はできるものの
初登場時から思うように戦うことができず、以降も最終回までまともに肉弾戦を行うことはありません。(いちおうシャイニールミナスのおかげでキュアブラックとキュアホワイトの浄化技が強くなります)
その他、相手の動きを一時的に止める技などが使えるようになりますが、浄化技を打つまではほとんど活躍することはなく、相手の攻撃を避けるなどして時間稼ぎをします。
また、戦闘面以外においても、記憶がないが故に日常生活でとんちんかんなことをしてしまい、その度に無力感を味わうことになります。例えば、たこ焼き屋を営むアカネさんに言われておつかいに行った際も
このように化粧品コーナーでタコを注文してしまい
自己嫌悪に陥ってしまいます。
日常生活からプリキュアまで、いつ何時でもひかりちゃんから無力感が拭えることはありません。ひかりちゃんは常に己の中の無力感と戦っているのです。
さらに、ひかりちゃんの不安はまだあります。なぎさ、ほのか、それにメップルやミップル、ポルン(ひかりちゃんを変身させる妖精)には既に「ふたりはプリキュア」を通して築かれた関係性があります。比較的口数が少なく、穏やかなひかりちゃんは、その輪の中に入っていくことに、少なからず不安を感じてしまいます。
これはポルンがなぎさとほのかの話に加わったときのひかりちゃんです。ひかりちゃんははじめ、特にポルンとの付き合い方に悩まされます。それは、自分といるときには見せないポルンの元気な姿を見たときにいっそう感じます。
見てきたようにひかりちゃんは常に不安に付きまとわれています。しかし、ひかりちゃんはそれで終わりません。プリキュアとして、また人として立派になろうと、自分なりに努力します。
ある時は、アカネさんの屋台で出しているクレープを作る練習を、ある時は、アカネさんの屋台で出しているたこ焼きを作る練習を、ある時は・・・。ひかりちゃんは、誰よりも自分が弱いことを自覚しているからこそ、自分を変えようと作中を通して努力し続けるわけです。そんなひかりちゃんをなぎさとほのかが支えて、なぎさとほのかをひかりちゃんが支えるという2体1の関係性がMHの魅力であり、また九条ひかりちゃんの魅力でもあります。話が逸れました。
ここから本題に入ります。
話は飛んでとうとう12のハーティエルが揃い、クイーンのこころもなんだかんだ集まり、クイーンを復活させるために必要な要素が全て集まります。そう、「ふたりはプリキュアMaxHeart 第45話 無限の闇 永遠の光」です。しかも、目の前では今まさにジャアクキングが復活せんとしています。一刻もはやくクイーンを復活させなければ、虹の園、ひいては光の園の危機がそこまで迫っています。
3人に選択肢はありません。
復活。クイーンの復活。
それ以外にありえません。
いや、そもそも
クイーンの復活はプリキュアの使命であり
光の園の悲願でもあります。
そのためにこれまでの長い間
1から45話という長い時間の間
視聴者とともに
命をかけて戦ってきたのです。
クイーンの復活は
光の園に住む全ての妖精の
虹の園に住む全ての人間の
そしてメップルと
ミップルの
敵以外の全ての意思なのです。
しかし、クイーンを復活したら
クイーンの命であるひかりちゃんはどうなる?
いや、しかし
そんなことわかっている
わかった上で今ここに立っている
いつも無力感と戦っていたひかりちゃんが
生きとし生けるもの全てのために戦えるチャンスがめぐってきた
ひかりの覚悟はとうに決まっていた
それは、なぎさもほのかもわかっている。
九条ひかりは、クイーンとして今一度復活し、
ジャアクキングと戦う。
それが運命で
それが正解なんだ。
そして
とうとう決断は敵によって迫られます。
ずっと待っていた
ずっと、ずっと待っていた
当たり前だ。そのためだけに1年間、そのためだけに戦った。
ひかりちゃんも・・・。
そしてひかりちゃんはクイーンに
え?
待ってない!!!!!!!!!!!!?????????????????????????????!?!??!??!?!?!??!?!?!?!?!??!?!
ま、待ってない!?!?!?!?!?!?????!?!?!?!??!?!!!!
待ってない!?って言った!!!!!?????
い、いやき、聞き間違いだろ。巻き戻してかくに・・・
待ってない!!!!!!!!!!!!?????????????????????????????!?!??!??!?!?!??!?!?!?!?!??!?!
待ってないわけが、ないじゃないか!!!!!!!!!!!!!!
それじゃあいったい!なんのために!おれらは!!ここまで!!!プリキュアとして!!!!!戦ってきたんだよ!!!!!!!!
俺らのこれまでは!なんだったんだよ!!!!!!!!それに!俺らのこれからは!どうなんだよ!!!!!!!!!
全人類の、そして全妖精の願いは、命は、どうなんだよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
「待ってない」それは、これまでとこれからの、過去と未来の否定。プリキュアとしての使命の、全ての人間の願いの、全ての妖精の願いの、これまでの時間の、ふたりはプリキュアMaxHeartとして過ごしてきた全てに対する否定。
この世の全てよりたった1人の友人を選んだ
たった1人の友人のために、命を賭す覚悟をした
そんな、あまりにも強すぎる意志、世界をも巻き込んだ、ひかりへの愛
まさに
無限の闇と永遠の光の選択
それが「ふたりはプリキュアMaxHeart 第45話」。これが、なぎさ・ほのか・ひかりの関係性。
世界と九条ひかりを秤にかけて、後者を選択できるのが、MHなんだ
・・・
しかし、ひかりちゃんは結局クイーンとなってしまいます。ひかりちゃんはどうなってしまうのか、そして、虹の園と光の園の行方は・・・?それは自分の目で確かめてくれ!だってわたしの役目は「無限の闇 永遠の光」を思い出してもらうことなのだから。
そして、「ふたりはプリキュアMaxHeart」を見たこと無い人へ、MHはマジで熱い神のアニメなので、ぜひ「ふたりはプリキュア」を見終わった後に見ましょう。dアニメストアやアマゾンプライムで見ることができるので、マジで見ましょう。マジで。な。
死を覚悟したプリキュアと無限の愛の最終回を見てくれ。
僕はこの記事書くために見直してボロ泣きしました。
見てくれ
見てくれ
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