見出し画像

ひきこもりの煩悩

 子供部屋に引きこもり、19年後の冬旅にでた。
 部屋に無かった感性や言葉を雑多に拾い、部屋へと繋ぎ羽化を試みると浮かびあがる輪郭。
 その影に怯えた恐怖が吐き気になり、必死に食いしばり飲み込む。
 今飲んだ酸っぱい感性は毒になるか薬になるのか…
 不安が吐き気を戻すから、いっそ吐き捨てて排除しようと罵倒されながら一人と相談する。
 いつの間にかふと、足元に咲く花に綺麗が付いている事に感情が止まる。
 突然、理解せず渡された綺麗さに戸惑うも、持ち帰ろうと思い至り浮きたつ。途端ずっと食いしばっていた嘔吐物が溢れ、花を汚してしまったが後悔は無く。嘔吐の涙が20年目の春の感性になりました。
 

 孤独  凍みて 傷つき
 優しさ 染みて 涙

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?