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こんな本を読んだ『日本語教師のためのはじめてのコーチング』(吉田有美 アスク2022.12)

「日本語教師のための」ということからわかるように、対象者をはっきりさせた本です。

日本語教師になろうかというような人だけでなく、実際にその仕事をしている人にも、ヒントとなる問いかけが多くあります。

コーチングという言葉はビジネスでも聞く言葉ですが、誤解されがちな概念でもあります。

著者の吉田さんも「はじめに」で

「当初はコーチングを“相手にやる気を出させる手法と勘違いしていましたが、あとからコーチングは対人支援の方法であることを学びました。」(同書p.2から引用)

と書いているほどです。

企業で活躍されている方は、「利益重視」「効率重視」の考え方に慣れている(慣れきってしまっている)場合が多いようです。

企業とはそういうものなのでしょうし、それはそれでいいのでしょうが、行き過ぎるとその効率が悪くなることもあって、それを是正する手段としてコーチングがビジネスの現場で必要だと言われることもあるようです。

しかし、それは、二次的というか、結局は「利益」や「効率」を最適化するための手段としてコーチングを唱えているということです。

そういうものとは違い、この本で言っているコーチングは、もっと根本的に自分が何をしているのかについて深く考えるきっかけを与えてくれるものです。

本書を読むことによって「利益重視」「効率重視」の考え方にどっぷり漬かった方が、新たに周りの「人」や「社会」と向き合うきっかけになるかもしれません。

相手と向き合うために、自分のことも考えるという点とか、相手とともに考える姿勢の重要性など、いろいろと考えさせられるわけです。

「利益重視」「効率重視」の人ではなくても、得られるところは大いにあるように感じます。

はじめは日本語教育のため・・・という目的で読んでいた人でも、それだけにとどまらず、もっと広い、自分と周りの人との関係などについて、はっとさせられるところがある本です。

ということで、この本を日本語教師関係の方にお勧めします。

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