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教員という職業はこの先の未来を生む仕事である

ティーチャーズイニシアティブの本「この先を生む人」で泣いた。

ティーチャーズ・イニシアティブとは?

皆さんはティーチャーズ・イニシアティブ(以下、TI)という団体をご存知だろうか?
教育に関わっている方やソーシャルビジネスをされている方であれば、一度は耳にしたことがあるかもしれない。
TIは2015年に設立された一般社団法人で教員研修を提供している法人である。
5年間で200名ほどの教員に研修(8ヶ月プログラム)を提供されてきた。TIプログラムを巣立った教員は現在全国各地の学校の変革を担う人材として注目されている。

先生=「この先を生む人」

先日TIの「この先を生む人」という書籍が出版された。先生とは「先に生まれた人」とよく言われるが、なんかしっくりこない人も多いのではないだろうか。
この本のタイトルは「この先を生む人」(=先生)である。このタイトルだけで、教職の素晴らしさが凝縮されており、私にとっては手に取った瞬間に鼻の奥がツンっとなるなんとも表現できない感情に襲われた。(私自身、元高校教諭であり、今でも教職という仕事は大好きな仕事だ。)

最近の私はというと、教員を辞めて現場を離れ、外資系IT企業で働き、大人に囲まれて生きている。読む本はほぼビジネス書であり、コロナの影響でオフラインイベントの開催や学校訪問もなかなか難しくなり、悲しいことに現場にいた時の感覚が薄れてきていた。。。
GIGAスクール構想をきっかけに、保護者たちが現場教員のリテラシーに不満や不安を抱いている声を耳にすることが多い1年であった。私自身も教員のボラティリティーには元々不安を感じていたこともあり、無自覚的に、自分の感覚が現場から遠いところに行ってしまっていたように思う。

そんな中手にすることになったのが「この先を生む人」である。

泣いて、閉じて、また泣いて。

電車の中で「この先を生む人」を読んでいたのだが、泣いた。流れる涙が止まらず、電車の中だったのでまずいまずい、と本をそっと閉じた。

なぜ涙が出たのか、それはこの本の中には先生たちの葛藤とともに、「子どもたちの成長に寄り添える教員という仕事の素晴らしさが凝縮されていた」のである。正直に申し上げると、学校に戻りたくなったのだ。

離れて気づく、教員という仕事の素晴らしさがある。
それは、子どもたちの成長の瞬間に寄り添える、ことである。
どんなに価値観の違う同僚も、ここだけは共通する「子どもたちのために」の精神。「子どもたちのために」だけで動ける人たちが教員という人種なのだ。皆が「子どもたちの成長」を心から願い、生き甲斐となっているからこそ学校の中に浸透し、共通価値観として根付いているのであろう。
未来をつくる人たちの成長に一番近くで見守り、寄り添える、こんなに未来にダイレクトにつながる仕事が他にあるだろうか。

子どもたちは決して学校世界だけで生きているわけではない。しかし、学校で過ごす時間は子どもたちにとってはあまりにも長く、その時間で学ぶこと、体験すること、関わる人から受ける影響の大きさは計り知れない。
どんなに素晴らしい教育政策が打ち出されたとしても、最後、その政策を具現化しデリバーするのはいつの時代も教員なのだ。人は何歳からでも変化できるのだということをこの本に登場する先生方は教えてくれる。そして、「この先を生む人」に登場するのは8人の先生であるが、全国で頑張る8人以外の先生たちもいることを忘れてはならない。

学校が抱える課題

また、この本を読むと教員が抱えるシステム上の課題がよく理解できる。「教員は世間知らずだ」「学校がいけてない」「動きが遅い」「社会変化スピードに学校だけ取り残されている」などというのは簡単だが、システムの中で身動きが取れなくなっているという構造上の課題を今学校は抱えている。決して、教員個人だけの問題ではない。そして長年解決されていない課題である。教育の統治機構構造の問題も大きいと考えている。(これに関しては長くなるので、別の機会に。)

職員室の心理的安全が実現し、自分らしさを表現できる教員が増えることができれば、学校という場はもっともっと素敵な場所になるに違いない。

教員という仕事が素晴らしい職業であることを再確認し、学校が恋しくなったとともに、現場で頑張る先生方に負けじと、私は私の志に向かい、アクセルを踏まねばならない、と「この先を生む人」を閉じて背筋を伸ばすのであった。





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