(482字)カミングアウトコンビニ #毎週ショートショート
「部活帰りにカムコンして帰ろうぜ」とリョータが言った。
「あぁ、」 と、四谷
「おっ!待ってましたッ」と相川が続けた。
梅雨が7月1週目にして明けたのだ。
太陽の真白い光が体育館の下窓からカッと差し込み格子柄の陰をコートラインまで伸ばしている。
午前中で既に気温31℃の締め切ったコート内は部員の汗と熱気で湿度を増しており、メッシュのバスパンから汗が垂れている。
カムコンとはバスケの練習後にリョータが思い付いたゲームで、近況報告した後アイス食ってスッキリするという遊びだ。
1番手は相川
「……で、そのアルバム聴いてて、歌詞カード見てたら気付いた時には涙が出てたって訳。心が揺れたんだよ。」
「医者の親父に家の汚点と言われた。見返す為に親父より難関大学受ける。」四谷が続いた
そしてリョータの番。
「今月だな。俺らにとって最後のインハイだ、俺は全てを賭けている。テーピングでガチガチにしていくから他には誰にも俺の脚の怪我の事を言うな。」
3人はいつものコンビニでいつもの様にカミングアウトをする。
部活の熱と告白の熱を冷ますように残り半分のガリガリくんを一気食いして爽やかな頭痛に笑った。
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