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タイムスリップコップ


私はオールドファッションを好み、古に思いを馳せて、過去に浪漫を感じるタチである。

つい先日下鴨古本市にて、一目惚れした本があった。
店主の脹脛に頬擦りして、気色悪がられながらも何とかまけてもらって入手した【世界の遺物集】
その初版は80年以上前の物であるが、非常に状態が良く緩む表情筋を無視して早速中身を確認することにした……が、これがまた、なんとも不思議な内容だった。
真っ赤な背景に浮かぶ黄金色の文字列たち。
それと色付きの美しいイラスト。パラパラとページを進めていると

時滑りの盃

そのページをみて身体がふわりと浮く。私は使い方を知っている。何故だろう。
目線を本から外して考え、再び手元に目を向けると本は消え視線を外す直前に見た盃が手元に残っている。

この盃を使うと、どの時代にいつ行けるかわからない上、滑って時空を彷徨うことになるリスクもある……


そうだった。
自分は滑って京都にたどり着いたのだったな。

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