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課題レポート作成ガイド【STEP7:課題レポートの総仕上げ】早稲田大学 地域探究・貢献入試



はじめに

この記事は、課題レポート作成ガイド【STEP7:課題レポートの総仕上げ】です。

これまでの記事では、課題レポートの①-⑤を作成してきました。

① どのようなことを地域の課題と考えているか
② 志願者自身がその課題があることを意識したのはなぜか
③ その課題に関連して今までどのような活動を行ってきたのか
④ 本学のどの学部に入学し、何を学修したいと考えているか
⑤ 卒業後にどのように地域へ貢献することを考えているのか

今回は、作成したレポート全体をまとめ、提出に向けた最終チェックを行う方法について解説します。


1. ①-⑤の内容を見直す

【STEP1-6】では、①~⑤の項目を細分化し、それに対する回答を文章としてまとめました。ここでは、各項目の内容が具体的かつ一貫性を持って記述されているかを見直します。その際、以下のポイントに注意して確認しましょう。

  • 一貫性:各ステップの内容が矛盾していないか、ストーリーラインが一貫しているかを確認します。

  • 具体性:具体的な事例やデータを用いて説明されているか、抽象的な表現が多すぎないかをチェックします。

  • 論理性:論理的な展開になっているか、説明が飛躍していないかを確認します。


① どのようなことを地域の課題と考えているか

【Q1. 具体的な地域はどこですか?】
【Q2. その地域を選んだ理由は何ですか?】

 私が取り上げる地域は、石川県金沢市である。この地域を選んだ理由は、金沢市が歴史と文化に富み、観光地としても名高いが、観光資源の持続可能な活用が課題となっているからである。また、私は生まれてから小学4年生まで金沢市で過ごし、その地域の現状や課題を身近に感じていることも理由の一つである。

【Q3. その地域の主要な課題は何ですか?】
 金沢市の主要な課題は観光資源の持続可能な活用である。観光客の増加に伴い、環境負荷や歴史的建造物の保護が問題となっている。2023年の調査では、観光客の90%以上が「満足」と回答しているが、同時に「混雑具合」や「公共交通の利便性」に対する不満も見受けられる。観光客の増加は地域経済に貢献する一方で、環境への負荷も増大している。さらに、観光開発と歴史的建造物の保護のバランスを取ることが求められている。

【Q4. その課題はどのような背景や原因を持っていますか?】
 これらの課題は、新幹線の開通による観光産業の成長とそれに伴うインフラ整備の必要性、歴史的・文化的価値の高い建造物の保護と経済発展の間の対立、観光客の増加による地域住民の生活環境の悪化といった背景や原因を持っている。

【Q5. その課題は地域の住民や環境にどのような影響を与えていますか or 与える可能性がありますか?】
 これにより、地域住民の生活環境が悪化し、住民のストレスが増加する可能性がある。また、歴史的建造物や文化遺産が損なわれる可能性や、環境負荷の増大による自然景観の劣化が懸念される。具体的には、観光地周辺のゴミ問題や騒音、交通渋滞が住民にとってのストレス要因となっている。また、観光客の増加は地域のインフラに対する負担を増加させ、公共サービスの質を低下させるリスクもある。したがって、観光資源の持続可能な活用は、地域の経済発展と環境保護を両立させるために重要な課題である。


② 志願者自身がその課題があることを意識したのはなぜか

【Q1. その課題に関心を持った個人的な体験とその理由は何ですか?】
 私が観光資源の持続可能な活用に関心を持つようになったのは、金沢市での幼少期の体験が大きな要因である。小学4年生まで金沢市で過ごした際、観光地の混雑や環境の変化を身近に感じ、観光客の増加が地域の生活環境に与える影響を目の当たりにした。また、小学校時代には学校行事として歴史的建造物の保護活動に参加し、観光開発と文化遺産の保護のバランスの重要性を学んだ。これらの体験を通じて、観光資源の持続可能な活用が地域にとって重要な課題であると強く感じた。

【Q2. その課題に関連する情報や資料をどのように収集しましたか?】
 私は、金沢市の観光振興計画や地域資源活用に関する市の公式報告書を調査し、観光資源の活用に関する具体的な取り組みや課題を把握した。また、地元の新聞記事やオンラインニュースを通じて、観光客の動向や地域住民の声を調査した。さらに、地元の図書館で金沢市の歴史的建造物や文化遺産に関する書籍や論文を参照し、観光開発と文化遺産保護の現状についての理解を深めた。


③ その課題に関連して今までどのような活動を行ってきたのか

【Q1. 課題に関して今までにどのような活動を実践しましたか?】
 私は観光地の環境保護キャンペーンの企画・実施に参加し、観光客に対する環境保護の啓発を行った。また、地域の歴史的建造物の修復プロジェクトにボランティアとして参加し、現地の専門家からの指導を受けながら修復作業を行った。

【Q2. その活動の目的や目標は何でしたか?】
 観光地の環境保護キャンペーンの目的は、観光客に対して地域の環境保護の重要性を伝え、環境に優しい行動を促すことだった。具体的な目標として、観光地のゴミの量を減少させることを掲げた。また、歴史的建造物の修復プロジェクトの目的は、建造物の保存状態を改善し、地域文化の保護と継承に貢献することだった。目標として、修復プロジェクトを通じて建造物の保存状況を向上させることを目指した。

【Q3. その活動を通じて学んだことや得た知識は何ですか?】
 私は観光地での環境保護活動の難しさと、観光客とのコミュニケーションの重要性を学んだ。また、環境保護に関する具体的な知識や技術を得ることができた。さらに、歴史的建造物の修復には専門的な知識と技術が必要であることを実感し、建造物の修復に関する基本的な技術と知識を身につけた。

【Q4. その活動を通じて新たに気づいた課題や問題点は何ですか?】
 観光客に対する環境保護の啓発活動には、持続的な取り組みが必要であることに気づいた。一時的なキャンペーンだけでは効果が限られるため、継続的な活動が求められる。また、歴史的建造物の修復には、資金や人手の確保が大きな課題であることを発見した。ボランティア活動だけでは限界があり、専門家や地域住民との連携が必要であると感じた。


④本学のどの学部に入学し、何を学修したいと考えているか

【Q1. どの学部に入学を希望していますか?】
【Q2. その学部を選んだ理由は何ですか?】

 私は文化構想学部に入学を希望している。文化構想学部を選んだ理由は、メディアと文化の関係を深く学びたいと考えたからである。また、多様な文化背景を持つ学生と交流することで、自分の視野を広げたいと感じたためである。

【Q3. 志望する学部のどのような特色やカリキュラムに魅力を感じますか?】
 文化構想学部の表象・メディア論系のカリキュラムに魅力を感じた。このコースでは、現代のメディアが社会や文化に与える影響を多角的に学ぶことができる点が魅力的である。また、実践的なワークショップやフィールドワークの機会が多いことも魅力の一つである。

【Q4. その学びを通じて達成したい目標や目的は何ですか?】
 文化構想学部での学びを通じて、地域文化の保存とメディアを活用した観光振興の方法を探求したい。また、地元である金沢市の観光資源を持続可能に活用するための具体的な施策を提案できるようになりたいと考えている。

【Q5. その学部で提供されるプログラムや機会をどのように活用したいですか?】
 フィールドワークやインターンシップの機会を活用して、実際の地域課題に取り組む経験を積みたい。また、ゼミ活動やプロジェクトを通じて、現地の住民や他の学生と協力しながら課題解決に取り組みたいと考えている。


⑤ 卒業後にどのように地域へ貢献することを考えているのか

【Q1. 卒業後にどのような進路やキャリアプランを考えていますか?】
 卒業後は、地域の観光振興を支援するNPOや市役所の観光課での勤務を希望している。地域の観光資源の活用と保存に関わる仕事に従事し、将来的には観光戦略の立案や地域活性化プロジェクトのリーダーを目指す。

【Q2. 卒業後に地域へどのように貢献したいと考えていますか?】
 観光資源の持続可能な活用を推進することで、地域経済の活性化に寄与したい。また、地域文化の保存と継承を通じて、地域のアイデンティティを強化し、住民の誇りを高めたいと考えている。

【Q3. その貢献を通じて達成したい具体的な目標や成果は何ですか?】
 金沢市の観光地でのゴミ削減と環境保護意識の向上を実現すること、そして歴史的建造物の修復と保存を推進し、観光客の増加と地域経済の発展に寄与することを目指している。

2. 一つの文章に再編集する

2-1. チェックポイント

内容に問題がなければ、一つの文章として再編集します。文章全体の文法や表現に誤りがないかを確認します。以下のポイントに注意してチェックしましょう。

  • 文法:文法的な誤り誤字脱字がないかを確認します。

  • 表現:適切な表現が使われているか、冗長な表現や繰り返しがないかをチェックします。


2-2. 課題レポートの字数

地域探究・貢献入試では、課題レポートの字数は特に指定されていませんが、以下の条件が付されています。

【条件】
① 大学指定のwordファイルで「4ページ以内」に収める
② フォントサイズは「11ポイント以上」
③ 課題レポート中で項目番号の①~⑤を記す

この条件に従ってフォントサイズ「11ポイント」で作成する場合、課題レポートの字数は「2500-3000字」が目安となります(参考文献を除きます)。

3000字を超過する場合、4枚目に収まらない可能性があります。また、2500字未満の場合、参考文献を入れても4枚目に満たない可能性があります。したがって、課題レポートの①~⑤で「2500-3000字」+「参考文献」で4枚分を満たすのがベストです。


3. 参考文献を提示する

課題レポート作成に際して参考にした書籍やオンライン記事、ウェブサイトなどを「参考文献」として、課題レポートの末尾に記載します。
記載方法は下記を参考にしてください。


3-1. 参考文献の書き方

  • 書籍:著者名、書名、出版社、発行年の順に記載します。書名は『』で記載します。

鈴木太郎『観光資源と地域社会の持続可能な発展』東京大学出版会、2019年
山田花子『文化遺産の保護と観光開発』日本評論社、2018年

  • 論文:著者名、論文タイトル、雑誌名、巻号、発行年、ページ範囲の順に記載します。論文タイトルは「」、雑誌名は『』で記載します。

佐藤美恵子「地域住民の観光客に対する意識調査」『地域社会学論集』第12巻第1号、2019年、pp.45-60
田中一郎「観光地の環境保護活動に関する研究」『環境学研究』第25巻第3号、2020年、pp.123-135

  • オンライン記事:著者名、記事タイトル、ウェブサイト名、アクセス日、URLの順に記載します。記事タイトルは「」で記載します。

金沢市観光協会「金沢市の観光振興計画」金沢市観光協会ウェブサイト、2023年6月30日、https://www.kanazawa-kankou.com/plan
北陸新聞「観光客増加による地域への影響」北陸新聞オンライン、2023年7月1日、https://www.hokuriku-news.co.jp/tourism-impact

  • 報告書:発行者、報告書タイトル、発行年の順に記載します。報告書タイトルは「」で記載します。

石川県「観光産業の現状と課題」石川県観光課、2023年
金沢市「金沢市地域資源活用計画」金沢市役所、2022年

  • ウェブサイト:ウェブサイト名、ページタイトル、アクセス日、URLの順に記載します。ページタイトルは「」で記載します。

金沢市公式ホームページ「金沢市の歴史的建造物」金沢市、https://www4.city.kanazawa.lg.jp/soshiki/rich_history.html
環境省「観光地の持続可能な発展に向けて」環境省ウェブサイト、2023年、https://www.env.go.jp/tourism_sustainability


3-2. 参考文献の記載方法

参考文献は以下の形式で課題レポートの末尾に記載します。
記載する際は、カテゴリーごとに五十音順で記載しましょう。

参考文献
鈴木太郎『観光資源と地域社会の持続可能な発展』東京大学出版会、2019年
山田花子『文化遺産の保護と観光開発』日本評論社、2018年
佐藤美恵子「地域住民の観光客に対する意識調査」『地域社会学論集』第12巻第1号、2019年、pp.45-60
田中一郎「観光地の環境保護活動に関する研究」『環境学研究』第25巻第3号、2020年、pp.123-135
金沢市観光協会「金沢市の観光振興計画」金沢市観光協会ウェブサイト、2023年6月30日、https://www.kanazawa-kankou.com/plan
北陸新聞「観光客増加による地域への影響」北陸新聞オンライン、2023年7月1日、https://www.hokuriku-news.co.jp/tourism-impact
金沢市公式ホームページ「金沢市の歴史的建造物」金沢市、https://www4.city.kanazawa.lg.jp/soshiki/rich_history.html
環境省「観光地の持続可能な発展に向けて」環境省ウェブサイト、2023年、https://www.env.go.jp/tourism_sustainability


4. 大学指定の書式に編集する


4-1. 編集の手順

STEP1:ホームページから「課題レポート PC用(様式③)」をダウンロードする


STEP2:作成した課題レポートの原稿(①~⑤+参考文献)をコピー&ペーストする

以下の2点に注意して、大学指定のwordファイルに課題レポートの原稿をコピー&ペースとしましょう。

  • ①~⑤の項目番号を付ける

  • 文字のサイズは11ポイント以上(2500字以上の場合は11ポイントを推奨)


STEP3:A4用紙に片面で印刷する

  • 記入した分量が3枚以内に収まる場合であっても、4枚目まで印刷します。

  • 両面印刷ではなく、片面で印刷します。


STEP4:各ページの「出願学部」「氏名」「ページ番号」を手書きで記入する

  • 「受験番号」は記入×(大学側で記入)

STEP5:他の出願書類とまとめて提出する

「出願書類チェックリスト」に従って、出願書類をまとめて課題レポートを提出しましょう。


4-2. 完成イメージ


まとめ

課題レポートの総仕上げとして、以上の手順を踏んで最終チェックを行いましょう。適切な内容、一貫性、具体性、論理性を持ったレポートを作成し、大学指定の書式に従って編集することで、より完成度の高いレポートが提出できます。

皆様の合格を心より願っております。

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