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きみはねCouples『とびきり甘くて、ちょっぴりほろ苦い物語』エロゲレビューNo.002

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品名:きみはねCouples 彼女と彼女の恋する2ヶ月ちょっと
評価:7/10
プレイ時間:やや短め
推奨攻略順:特に無し(シナリオ開放順)
発売日:2019/01/25
ブランド:BaseSon Light
定価:6800円(税別)
公式サイト:http://baseson.nexton-net.jp/baseson-light/kimihane-couples/

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FANZA(旧DMM-R18)で2020/05/15(金)23:59まで6800円→100円!



・ゲーム概要
緩い百合アニメを見ているような気分になれる作品。
百合エロゲーと身構えず、きららアニメ見るくらいの気分で楽しめるのでそういうのに抵抗がないなら買ってみると良い。というか買え。
公式サイトにダウンロード不要でスマホでも起動できる簡易体験版がある。
キャッチコピーは『BaseSon Lightが贈る、今、一番ハッピーなガールズ・ラブ・ストーリー』。

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ゲーム内容は過去に単品販売された『きみはね』に、続編『きみから』を合わせたセット完全版作品。
『きみはね』はクリアまで6時間ほど、共通ルート+個別ルート3本の3人でカップル3組のマルチカップリングクリスマス恋愛模様。
『きみから』はクリアまで8時間ほど、共通ルート+前作の後日談個別ルート3本+新規カップル1組のバレンタイン恋愛模様。
後日談と言いつつエロゲファンディスクの短いシナリオではなく『きみはね』と同程度の分量のシナリオなので楽しめる、というかシナリオとしてはこっちの方がしっかりしてる。その分ちょっとだけビターだけど。
総プレイ時間はやや短めって書いたけど定価を考えたら相応な分量なのかな?ミドルプライスのゲームは殆どやらないからちょっとわからないです。

まあ地の文足りなくて状況が分かりづらいとか、CG枚数少ないとか、エロシーン短いとか、足りないと感じる部分が有ることも事実だけど。

とはいえ100円はあまりにも破格なのでやっぱり文句はないです。

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あらすじは全寮制の女子校に通う、同室3人組の陽菜、倫、文。
その三人には小さい頃に天使を見た記憶があるという共通点を持っている。小さくても元気で明るくしっかりものの陽菜。
美人で成績優秀だけど中身は残念な倫。
優しくて天然で胸が大きい文。
共同生活を送る三人は、小さなきっかけで恋に落ちて、恋人同士になっていく。

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まずゲームを開始すると、太眉低身長癖っ毛変な声少女をバンっと出して目を引いて、高身長泣きぼくろクール(に見える)少女が寝起きをぐずってギャップを感じさせて、そのまま三人のやり取りでキャラが把握できる演出が秀逸。
キャラボイス増し増しの軽快な掛け合いで開始1分でゲームに引き込まれる。
最初の夜の、
倫「痛っ、ローはやめろ!」
陽菜「ミドルキック!」
ってやり取りの時点でかなり笑った。

その後もくどくない程度に軽快なギャグが頻繁に飛んできて読んでて楽しい。
個人的には特定のカップルと言うよりも同室の三人(四人)が好きになっていて、このグループをずっと見ていたいと思えるような作品。





※以外ネタバレ注意





・シナリオ
世にも珍しい?ほぼ全編三人称エロゲー。
掛け合いの小気味良さは本当に凄い。

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倫「わかったポン」←ここのギャグが作中で一二を争うくらい好き。
共通は三人の同室生活と、漫才が気持ちよくてもはや個別ルートよりも好きかもしれない。

きみはね部分は数言くらい話しただけでシーンが切り替わって、逆にテンポが悪く感じる。きみからではそう感じることはなかったけど。
恋人成立までの展開が早い、というか恋に落ちる切っ掛けが軽い(一応これには理由があるけど)。
他のキャラの気配がほぼ無いので、まるで箱庭に五人がいるだけのような違和感を時々感じる。
エロシーンのテキストが読み物として出来が良い。
きみはねの最後で「メリークリスマスアンドハッピーバースデー」って出るの良いよね。
きみから部分で台詞に()書きが入るのに若干慣れない。
きみからで主張が増してくるプレイ中の三人称の語りが若干うざかった。
まあ最終的になるほどって納得した上でもう一周して確認したくなったけど。
各章のサブタイトルが映画のモジリ? 確認してないけど映画の内容と章の内容がリンクしてたりするのかな。
聖夜子ルートを2巡目、3巡目のルートに混ぜるのは、ノエルが繰り返した世界の表現なんだろうけど、2本のルートが同時進行するので元のキャラのルートの印象が若干濁る感じがある。
あとセーブデータ残しとかないと読めなくなるのも若干不便かな。
聖夜子のおみくじの結果が段々良くなっていく演出とかは好きなんだけど。
共通のテキストとルートシナリオの切り替わりで、雰囲気に違和感を覚えるシーンがいくつかある。
天使って設定が非現実でありながら、ちゃんと受け入れられる設定と描写がされていて、マルチカップリングのゲーム内容にも合致してて上手い。
デバイスは色んな所にあるって説明を受けた上でも、トランシーバーと放送室の連発はデバイス多いな!?とはちょっと思ったけど。
あと選択肢=天使が見る世界の分岐点、なのかな。

「とびきり甘くて、ちょっぴりほろ苦い物語の主人公たち」と蟹パーティーで酔っ払った祥子のポエム。
この作品を一言で表した言葉なんだけど、自分もその物語の一部になるとはきっと本人は思ってないんだろうな。


/陽菜×文

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砂糖盛り盛りのめちゃ甘な話。
きみからのこの二人のルートが一番好きなシナリオ。
チャペルでエッチして(気付かれてないないと思ってる)倫にからかわれてるのがかわいい。
そのあと倫に(バレてないと思ってる)二人の関係を告白するシーンは結構お気に入りのギャグパート。
ふたりともしっかりしてるのに自身の恋愛に関してはポンコツでかわいいなー。

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照れ隠しで二人に冗談言いつつも倫が祝福するシーン好き。
きみからは女の子同士という部分に悩む百合ゲーらしいシナリオ。

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「だったら誰から何を言われようとあきらめるな!」って台詞でちょっと泣きそう。
両親と一緒にいられる時間が少なかった倫が、二人を家族のように想い、その幸せと永遠を願うと同時に、祈りを込めて宣言する姿に心を打たれた。

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「幸せに普通も普通じゃないもありません。すべてに祝福される価値があります」って台詞がこのゲームで一番好き。

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最後の二人が交互に語っていくシーンがいいよね。


/倫×陽菜

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首輪主従カップル。

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陽菜の告白の切ない思いが伝わってきてこっちまで悲しくなってくる。
倫が男子高校生みたいなメンタルしてて、そりゃ陽菜も怒るわってなるよね。
陽菜に指を噛まれて出来た傷を、愛おしく思ってるのが印象的。
陽菜の悩みを倫にはわからない、っていうふたりの関係性の描写が上手い。
その考え方が違う二人が、ぶつかってわかり合っていく王道なシナリオ。

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最後の倫の陽菜への告白が凄く良い。まあ言ってる相手はアーサー(犬)なんだけど。
チャペルでの告白からダンスシーンがタイトル画面の曲が流れるのも相まってとても好き。
二人で散歩してるシーンいいなぁ……。


/文×倫

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優しいおっぱいママが攻めになるのエロいよね。
テキスト分量的にも一番エロに力が入ってるシナリオ。

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良い雰囲気になったのにかかってきた電話にキレる倫の台詞の声の演技がとても良い。

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天使はいたからって倫の文に向ける笑顔が素敵。
文が天使すぎてきみからの倫のキャラが壊れるけどしょうがないよね。
もはや皮肉屋の倫の面影もない甘えっぷりと、それを万全に甘やかす文のラブラブっぷりが好き。
文がテレビに出たときの早口でテンションおかしい倫には常時笑ってた。
そのあとお互いに自立しようと頑張るシナリオも思春期の恋愛っぽくていい。
最後に抱き合ってるCGの雑誌の中身が倫の魅力を良く写してるんだろうなってわかるのが好き。


/聖夜子×祥子

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好きな、というか記憶に残る台詞が多いルート。

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地上に降りた天使にここは天国だよって言うライターのセンスが凄い。
少しずつ明らかになってくる祥子の過去が気になってクリックが捗る。
その過去が綺麗に回収されるルート展開は流石。
「あは、あの人も本命じゃなかったら受け取ってくれれるかなぁ」
のかなぁの部分の掠れるような響きに、気丈に振る舞っていた聖夜子ちゃんの心が漏れ少し泣きそう。
祥子の語るノエルの思い出の、出会えた喜びと、一緒に居られなかった悲しみと、後悔の声の表現が凄い。
「あんたはあんたのために生きて」
「……あなたはあなたのために生きないんですか?」
って台詞は疑問形だけど、内心は祥子に<自分のために生きてほしい>という願いと、祥子が<自分のために生きていない>ことへの悲しみと、私(聖夜子)の言葉では<自分のために生きてもらうことが出来ない>という悔しさが詰まってる。
――待ってたんだ、勇敢なきみ。
すべてのピースがはまって、物語が動き始める瞬間が最高に盛り上がるよね。
「いくじなしだって、文句言ってました」
「くっそ、腹立つなあいつ……」←ここの台詞に滲み出る感情に少し泣きそう。
最後の聖夜子ちゃんの告白シーンいいなぁ……。

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あと二人の姿が重なる演出いいよね。


・キャラ
/夏目陽菜

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太眉低身長癖っ毛変な声少女。あと変な声(褒め言葉)。
120デシベルの騒音発生機。(嘘)
キャラデザの人にはグッドデザイン賞金賞を差し上げたい。
一番最初にこのキャラのドアップで一本釣りされたと言っても過言じゃないし。
ぐるりツッコミの本家。
陽菜ちゃんの「んんんん……!」がかわいい。
外ハネがなくなるとドアにぶつかっちゃうらしい(嘘)。
「あたしとえっちするのに、どうしてえっちな本を読むの?」って台詞とか、性的な感覚がちょっとズレてる感じがあるよね。
エロシーンではだいたい総受け。かわいい。


/緒方倫

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高身長黒髪ロング泣き黒子どてらジャージ眼鏡行方不明ガール。
朝起きられない赤ちゃん。
ちょいちょいぐるぐる目になるのがおもしろい。
クールに見えて臆病でポンコツで不器用。
必殺技は「200カンデラ」。
漫才の起点で中心。
「……わたし、群れるの苦手だから」で死ぬほど笑った。
倫「殺してっ殺してっ!」

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たまにCGで頬がうにょーんってなってるのが好き。
前屈で「どうよ?意外?意外?」の二回目の意外?のイントネーションがドヤ感に溢れてて素晴らしい。
官能小説好き。それ以外のサブカルチャーに明るいのも家に一人でいる時間が長かったって背景があるのかな。それを踏まえて官能小説好きなのを考えると、新しい一面が見えてきたり。
キャラ的に手間がかかるロングヘアーに違和感あったけど、昔両親に褒められてからずっと伸ばしてるとかいう過去があったりするんだろうか。
「おっぱいさん、おっぱいさん、ひとり飛ばして、おっぱいさん」って台詞がテンポよくて耳に残ってる。
陽菜文ルート最後の「わーい、わたしどてらだー」(棒読み)が好き。
個人的に一番好きなキャラ。


/浅生文

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一番普通で、だけどとても魅力的なキャラ。
左右に浮かぶおさげが好き。
唇を尖らせてる立ち絵いいよね。
怒った声も困った声も照れた声も最高。というか全部最高。
あの声で俺も怒られたい。
たまにお茶目なことを言うギャップが良い。
ペロッと舌を出して小悪魔なこと言うのもいいよね。

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あとエロシーンで攻めキャラになるのに笑う。大好き。
天使のことになると周りが見えなくなるのがかわいい。
ぬいぐるみのことになると早口になるのもかわいい。
「♪5日と20日、5日と20日は消費税ゼロ~」って声がかわいい。
もはや存在のすべてがかわいいのでは?


/鷹岡聖夜子(みやこ)

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天然で食欲旺盛でよく寝る子。
陽菜の寝つきよさと倫の朝の弱さを併せ持ったおやすみモンスター。
聖夜子の翼のようにふわりと広がった髪がナイスデザイン。
一生懸命カニをほじくる聖夜子ちゃんかわいい。
聖夜子「私も自慢できる特技が欲しいです!」
三人「よく寝る?」
「幸せに普通も普通じゃないもありません。すべてに祝福される価値があります」って台詞がこの作品で一番好き。(二回目)
素直で純粋なのが眩しくて、ひねくれた祥子との組み合わせが良い。
自分の気持ちを正直に言えるのが強いところ。
祥子への想いがいじらしくてかわいい。抱きしめたくなる。というか祥子が抱きしめてやれ。

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息が白いのを試す「ほぉ……ほぉ……」の発音がかわいい。


/鷹岡祥子

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最初うざくてだんだんおもしろくなってくる五歳児。
祥子のまとめて長く伸びた後ろ髪が好き。
陽菜×文カップルにアドバイスを求められて、言うに困って聖夜子のコメントを丸パクリする祥子に笑う。
「……愛されるのってヤバイ」って顔真っ赤にするのが印象的。
こんな見た目と言動でヘタレ受けなのが面白い。
健康のために禁煙しようね。


・グラフィック
優しいタッチで作品の雰囲気にマッチしててとても良い。
制服、私服、部屋着、下着とどれもデザインが良い。
特に各人のマフラーに個性が出ててグッド。
マフラーは各ルートで特徴的な使われ方するから印象に残りやすいよね。
陽菜のちっちゃくて、でも力強いキャラデザインが秀逸。

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ベッド背景でアイコンが出る演出がそこに生活しているのを感じられて好き。
背景が細かく変化してるのも、同上。
選択肢が小物のアイコンになってるのもオシャレでいいよね。
あとクリア後タイトル画面の下着絵は控えめに言って最高。
唯一お風呂の文に若干違和感。あと聖夜子の立ち絵の一部にも。

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きみからクリア後の三人がカメラを向けてるデザインの意味はなんなんだろう。
<<カメラ=デバイス>>として<<観測している天使=プレイヤー>>をこちらにおいでよと誘ってるのかな?みんなでこっちを見上げてる構図だし。
俺も女子だったらこの空間に実際に入りたいわー! ……はい、ごめんなさい。

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マイベストCGは抱き合う文倫。やっぱりデザインが対になってるから組み合わせると映えるんだなぁ。



・エロシーン
全14シーン。
1シーン1CGでテキスト量も少ない。
そういえばエロシーンに効果音が無いな。
でも雰囲気が<<プレイヤーを抜かせるためのエロシーン>>じゃなくて<<物語の中の一部にあるヒロインたちの触れ合いを書いたエロシーン>>って感じで個人的には読んでてキャラとカップルの理解度が深まるから好き。
文倫は筆がのったのか凄い長いのでこれが一番実用的かな?



・音楽
全9曲。
BGMはどれも雰囲気にあってる。
曲名「きみはね」と「恋人たちの凱旋」が好き。
主題歌/挿入歌無しでちょっと寂しい。
でもタイトルのBGMとエンディングのBGMをシナリオの要所でうまく使っているのが印象的だから、挿入歌無いことが完全なデメリットでもないかな。
感動的なお話ではなく、あくまで彼女たちの日常の一幕で、その日常は本編後も続いていくという雰囲気には、挿入歌無しの方が合ってるとも思えるし。
まあそういう意図の演出なのか、予算の都合なのかはわからないけれど。



・システム
バックログジャンプが無い以外は基本的には快適。
今時珍しい画面が4:3スタイル。キャラが斜めに並ぶCGに懐かしさを感じる。
ウィンドウサイズ可変が結構うれしい。

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細かいことだけど二人以上が喋るときに頭を一文字分ずらされてるのが読みやすくて好き。

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タイトル画面変わる演出が最高。
あときみはね/きみから並んだトップのデザインも好き。
EXTRA解放が1ルートクリア後なのは若干懐かしさを感じる。
エンディングはctrlを押すと高速再生できる(小ネタ)。
セーブデータ枠は50個でちょっと少ない。
贅沢言うなら右クリックの機能を変更したかったかな。
既読の文字色変更はもっと分かりやすい方が嬉しかったかも。
画面切り替えで中央に表示されるテキスト(メッセージ)もバックログに入ってたら嬉しかったかな。
(おま完でなければ)既読スキップすると未読の一行目までスキップされる不具合がある。
フルコンプ前にBGMモードを表示したら未解放BGMのタイトルが表示されてて(あっ)てなったのはナイショ(実害はそんなになかったけど)。



・最後に
軽快な漫才と三人(五人)の空気感がとても良い作品。
カップルの組み合わせで見えてくるキャラクターの一面に夢中になれる。
足りないと感じる部分もあるけど作品をクリアしたあとはプレイしてよかったと思える良作。
セール終了までにこれ書くためにまだ一周しか出来てないから、シナリオの読み込みが浅いのは許して。
DMMの在庫復帰からプレイして突貫の感想なので後で加筆したい。


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