魔王と魔女 ⑥

そんなある日、半分旅人のような生き方をしている
友人、リシューが魔女のいる山に遊びに行くと
知らせが来ました。

リシューは、魔女が10年前に恋した男性でした。
その時の恋は実りませんでしたが、
友人としていい関係が続いていました。

魔王も、リシューを知っていました。
魔王が王国を作る前、
少しの期間リシューと同じ場所に
いた時期がありました。
その時は魔女はそこにはいませんでした。

魔王にはなんでもお見通しなのです。
未来も過去も読み取ることができるのです。

魔女が彼に恋をしたことも見抜いて
何度か、旅人の友人について
いじってくることがありました。

嫉妬心??
魔女は、この手のことに疎いのです。
偉大な魔王が自分に嫉妬するとは
思ってもいませんでした。
そんな小さなことをこの魔王が??

魔女と楽しく過ごしていた時期の魔王は
いつも軽快で楽しく魔女をいつも笑顔にしましたが
この旅人のことになると
魔王の表情が一瞬固くなるのです。

なのに、魔王は自分からリシューの話を
し出すのです。

魔女は、魔王の固さを感じて
リシューの話はしない方がいい
ということだけを感じていましたが
それが魔王の嫉妬心であるとか
魔王が自分を独占したいと思っているとか
そういった考えまでは思いもつかなかったのでした。



魔王と距離を取ろうと思ったあたりから
魔女は自分の土地で何人かの余所者の男性と
遊びに出かけました。

魔王は遠くの王国にいながら
魔女がしていることは全てお見通しです。

魔女は、お見通しでも
構わないと思っていました。

魔王のことですから、
魔女の遊びを静観すると
思っていたのです。

しかし、魔王は静観どころか
多くのサイキックなイタズラを
仕掛けてきていました。

魔王は、魔女の意思を覆すことは
できません。
しかし、未来を読み取るのが不得意な魔女より
上手に未来を読み取ることができます。

例えば、次に会う余所者が
魔女のタイプではない、という場合
それを予言するような手紙が届くのです。
「ちょっと残念なことが起こるかもね。」
のように。

反対に、次に会う余所者は
魔女のどタイプ!!という場合
会う前からそれを予言する内容が
届くのです。
「おめでとう、よかったね。」
など。


怖いから!!!笑




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