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「女が名字を変えれば幸せになれるんだよ」という呪い

5月末日、大学生の頃から付き合っていた彼(今の夫)と結婚しました。

一度は婚姻後の夫婦の氏欄の部分を妻の氏にチェックしていたにも関わらず、最終的には夫の氏にチェックを入れて提出しました。(他にも色々ミスがあって、婚姻届は割と赤く染まりました。)


姓を変えたくなかった私が、結局彼の姓にしたのら何故か、そして今回味わった悔しさと絶望感を忘れないために(同時に忘れるために)備忘録として何があったかを綴っていきます。

そして、同じようなことで苦しんでる方の助けとなればいいなあと思ってます。

どうして彼の姓を名乗ることになったのか

後述するのですが、自分の両親とひと悶着ありました。

二人の主張(ただし、こちらが言い返すことは許されません。黙って聞くしかない「意見」です。)を一通り聞いて、思いました。

あ、この二人と同じ姓を彼に名乗らせたくねえな。

絶対に姓を変えたくなかった私が、変えたくなる魔法をかけてくれました、すごいですね。

そんなわけで、私が姓を変えることになりました。

登場人物

私:姓を変えることになった女。

彼:今の夫。父の会社で働いてる。

父:小さな町工場の割と偉い人。

母:専業主婦。

弟:私の弟。

後々この設定が効いてきます。伏線です。(


私の姓にしようとしていた話

婚姻届を出すにあたって、私と彼は、どちらの姓にするか決めかねていました。

二人ともどっちの姓にすべきか、確固たる理由がなかったため、次の方法で決めました。

そう、コイントスでね。

彼が投げて、私が表と指定。

表が出たので、私の姓にすることになりました。

その瞬間の彼の表情は忘れられませんね。まあ、この後のことを考えれば可愛い出来事です。


2回の顔合わせ

コロナがまだ沈静化しておらず(今もですが)、お互いの実家が県を跨いでいたので、両家揃っての顔合わせはできませんでした。

でも、当人たちとそれぞれの両親には会っておきたいよね、ってことで2回に分けて顔合わせをしました。4人揃っての顔合わせはコロナが落ち着いてからにしましょう。そんな予定でした。

初めに私側の両親と顔合わせ。ここでは姓の話は出ませんでした。というか、私はしませんでした。まさか、人格を否定されるほど口を出されると思わなかったので後でいいかと思ってました。また、彼も両親も姓に関しては何も言いませんでした。彼が言わなかったのは、何か思うとこがあったかもしれませんね。両親は女が姓を変えるものだ、そう信じて疑わなかったみたいです。


次に、彼のご両親と顔合わせ。お二人には彼からコイントスの日に話したようで、言及がありました。

本意は分かりませんが、面と向かっては否定されませんでした。でも、両親が植え付けてくれた呪いのおかげで彼のお父さんのあの台詞・・・もしかして?と考えてしまうことが増えました。そこで、その時の言葉をそのまま以下に記してみます。

こっちの名字になるものだと思ってたから、びっくりした。
(私の名字の部首を指して)僕と同じのが入るね。

と、怒涛の2日を終えました。残ったのは、ぽんぽんのお腹とお財布の多大なるダメージ、そしてこそばゆい幸せの予感でした。

1時間に渡る集中砲火

ある日、実家に寄ってご飯を食べた後のことでした。両親に色んなことを言われました。途中から机の上のぬいぐるみを愛でていたので、ニュアンスとか違うかもしれないけど、私が受け取った言葉を記していきたいと思います。

言葉の時系列はごちゃごちゃなので前後関係が変かもしれませんが、生温く見てやってください。

「名字、こっち(今では私の旧姓)のにするらしいじゃん。どうやって決めたん?」

「ジャンケンで決めたけど(めんどくさそうだから何故かコイントスとは言わなかった私である)」

「それって横着じゃない?え、なに?名字こっちにする理由あるの?」

「名字変えたくないからですけど。」

「いや、気持ちはどうでもいいんだわ。理由を聞いてるんだけど、理由を。」

「(気持ちは理由ではないかい)じゃあ、理由はありません。」

思ったより流れを覚えていないので、以下、言われたことを覚えてる限り列挙していきます。

「愛する人のために名字を変えることもできないのか!」

「あっちの両親のことも考えてくれ。」

「嫁入りした方が可愛がられるんだって。」

「あっちの親戚のおじさんとかがどう思うか分からんのか?」

「父の日にプレゼント?ゴマすりとしか思えんわな。名字変えさせておいてな。」

「僕たちが非常識な親と思われたくないんだわ。」

「(弟の名前)も言ってたわ。(彼の名前)だったら、しょうがないけどうちの名前にしてもいいよって」

は?許可制ですか!?!!?

「会社を乗っ取るのか?って社員みんな考えるぞ。」

「トヨタとか大きな企業でその名字を守りたいとかならわかるよ。」

え?それこそ乗っ取りって思われん?論理どこいった〜!!

「(私の旧姓)は大した家じゃないじゃん。しがみつく理由ある?」

「てかなんで二人とも同じにするの?(名字を)」「はい?」「二人ともそのままの名字でいいじゃん。」「それは事実婚にしろってことですか?」「違うよ。」「ちょっと良くわかりませんが。現在の日本では事実婚以外無理ですね。」「まあ、今までも事実婚みたいなもんじゃん!何が変わるの?」

ここで会社の偉い人伏線が効いてきますね〜。ウザい。別姓でいけると思って上から言ってきてたのも吐き気がしますね。

「Aさん(会社の人。亭主関白)にどうやって説明すればいいかわからないんだけど。」

「あんたの友達にもなんて言うの?説明できるの?」

私の友達のこと妄想で決めつけるのほんとに吐き気がして、ここらへんでクラクラしてきた。名前を口に出されるだけでも反吐が出る。

「あちらの兄弟もお前のこと非常識なやつだって思うと思うよ。」

「私も変えるの嫌だったけど、真っ先に弟のこと考えたよ。」「僕は家族仲が良くなかったから、僕が名字変えてもよかった。」「でも、彼は家族仲が良いから考えろよ。」

↑ここの発言、ほんとに意味が分からなかったんだけど、誰か翻訳してくれません?結局女に名字変えさせてるやん。

「自分の弟の立場はどうなるとか考えないのか?」

「彼の幸せを考えてやれよ。」

「彼がさ、名字変えることでいちいち聞かれるの想像できん?」

「既成事実作れば済むとでも思ってたんか!?舐めんといてくれん?」

「あちらのご両親にも説明できんわ。」

「私ばっかり我慢してるとか思ってない?」

「婿養子とか周りになんて説明すればいいんだよ。」「婿養子じゃないんですけど。」「誰だって婿養子だって思うだろ!!!そういうことじゃないんだよ!!!」「はあ。じゃ私はあちらの養子になるんですね。」「そうじゃないだろ!!!」

(あ、もうウザすぎて無理。私が妥協するしか認めねえつもりだな)と、途中で面倒くさくなった私。

「彼の名字にしますんで、はい。もういいですか。」

「そういうことじゃないんだわ!ちゃんと説明しろよ!」(机叩く)

「非常識なことしてすみませんでした。浅はかでしたって言えばいいんですよね。」

「ああ、そうだね。」

たぶん、この発言で何かが崩れましたね。んで、ここから突然のポエム始まります。

「二人の幸せを思ってのことなんだよ。」

「よく話合って考えろよ。」

「順風満帆なこの先を送ってほしいんだよ。」

その後

実家で一泊する予定を変えて、家を飛び出そうとする私。

「えっ、どこにいくん?」

「彼のとこです。」

夜10時、横が凹んだ車に乗って泣きながら彼の家に向かう私。ヒプマイ効いて心を保ってた。

夜、いきなり来て泣いてる彼女を見てさぞ困ったことだったでしょう。申し訳なかったなあ。

「名字やっぱり変えよう。」「私が変えればいいんだよ」「いいんだよ。」のループしか発しない壊れた私に根気強く色々聞いてくれた彼には頭が上がりません。結局ほんとうの理由は伝えられぬまま彼の名字にすることを了承してくれてありがたかったです。

終わりに

この日以来、まともに両親とは話をしてません。

「なんで指輪見せてくれないの?」「入籍した日ちゃんと知らないんだけど・・・」と祖母にボヤいてるらしい。

きっと、彼らの中では非常識な娘が私達の言葉によって改心してくれたんだなと思ってるんじゃないかな。

これこそ私の妄想ですけど。でも、まさか私がここまで絶望してるとは思ってないんじゃないかな。

何があっても味方でいてくれると思ってた、どちらかといえば仲が良かった私と両親の関係はコイントスで大きく変わりました。

きっと、あのときコインが裏を向いてたら。私が裏を選んでいたら。同じ彼の名字にするという結果なのに、両親の闇を垣間見ることなく幸せな結婚を迎えたと思うと、少しぞっとします。

実家にはまだまだ私の荷物をたくさん置かせてもらっている、甘えてる状態なので、早く、早く抜け出さないといけないと思ってます。ここをどうにかしないと私のほぼ両親を無視している状態はアンフェアだと(私は)思うのです。

私は割と色んなことを気にしないタイプだと思ってたのですが、やり取りの翌日は会社を休んでしまいましたね。仕事も集中できんかっだろうし、目がパンパンに腫れてましたしね。マスクでもかくれてなかったです。

その日のご飯として食べていた食べ物は食べれなく(食べたくなく)なりました。好きだったのになあ。

もし・・・のお話

将来子供ができたとき、女の子でも男の子でも、名字はその当人たちの思うように決めてほしいと思う。私は下の世代に、私と同じような思いをしてほしくないです。何があっても味方でありたい、そんな風に思ってます。


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