桜はこれから花開く、卒業の日 後編
「少し、考えさせて。」
予想外の答えに俯いていた顔を勢い良く上げてしまった。きちんと正面から顔を見つめたのはこの時が初めてだったかもしれない。いつも横顔や後ろ姿ばかり見つめていたから。相変わらず整った顔立ち。なんて、呑気に見とれている場合ではなかった。え、考えるって、何を?クエスチョンマークが頭を駆け巡る。ぽかんと立ち尽くす。返事は今度するね。そう言い残し、大滝くんは帰っていった。てっきり振られると思っていたから、拍子抜け。大滝くんが私に好意など微塵も抱いていないことは、